ベトナム・ラオスバイクの旅:第13話~パークセーの街を出て一気にベトナム国境へ~
これまで、初日はホーチミンからバンメトートまで北上し、ダライヌア、ダライサップの滝を見に行きました。
2日目はラック湖の大自然を象に乗って楽しみ、中部高原の自然を堪能した後でプレイクに向けて北上しました。
3日目はプレイクの街を楽しんでから、ラオス国境近くまで北上し、バイクに乗ったまま国境を通過し、ラオスのセーコーンで1泊しました。
4日目は南ラオスの滝を巡ってチャムパーサックまで来ました。
5日目は世界遺産ワットプーを見学し、その後周辺遺跡をめぐりました!
6日目はシーパンドーンに宿泊し、メコン川に浮かぶ島々を巡りました。その後、南ラオスの代表都市、パークセーで一泊。
そして7日目、パークセーから一気にベトナムを目指します。
目次
パークセーで迎える朝
おはようございます。朝起きて窓を開けるとこんな風景が広がっていました。とっても空気がキレイで気持ちが良くなりますね!こうしてみると屋根の殆どは瓦でどこも同じ色をしているんですね。 日本人経営のこのゲストハウスをチェックアウトして、昨日は中に入らなかったパークセーで一番大きな市場に向かいます。
タラート・ダオファン(Talat Daofan)
機能も訪れたパークセー新市場、正式名称ではタラート・ダオファンと言います。タラートが市場なので、ダオファン市場ですね。ベトナムと同じスタイルに駐輪場にバイクを停めて駐車券をもらって市場に歩きます。 まず目に入ったのが生鮮食品売り場。色とりどりの野菜とフルーツが売られています。
この売り場を通って中に入ると食堂になっていました。ベトナムもそうなのですが、市場の中の食堂は地元の料理が美味しく食べられるのでお勧めです。ただ、この時はあまりお腹が空いていなかったので食べずにスルーしてしまいました。
10時前という中途半端な時間に訪れたせいかほとんど食事をしている人はいませんでしたが、きっと朝昼には賑わってるのでしょう。それにしても広い食堂ですね。ホーチミンのベンタイン市場よりも食べるスペースだけで言うと大きいような気がします。 食堂からさらに歩くと衣服や日用品が売られていました。
こうしてみるとベトナムの市場もラオスの市場もさほど変わらない気がします。 建物の外にもダンボースを敷いて商売しているお店がありました。
布やカゴなどが売られています。似たようなお店がひしめく中、どのくらいの売上があるのか気になるところ。
こちらは香木屋さんでしょうか、ちょうど商談中でした。 市場をぶらぶらした後はパークセーの名所の一つになっている金の大仏に向かいます。
日本ラオス友好橋(Lao-Nippon Bridge)
市場から南に走るとすぐにメコン川があるのですが、その川を渡る橋がこの日本ラオス友好橋。日本の式年所によって2000年に完成した橋で、ラオスからメコン川を渡る橋としては唯一の国内橋になっています。
ちなみにメコン川を渡る橋は全部で5つあるのですが、他の4つは全て対岸がタイの国際橋です。タイとラオスを結ぶ4つ目の第4タイ・ラオス友好橋は来月、12月11日開通です。この橋が開通すると中国の昆明からラオスを通ってタイまで道路が繋がるとのことで、タイと中国の資金援助で作られているそうです。 この橋をわたってすぐ左に大仏への入り口があります。
プーサラオ(Phu Salao)の黄金の大仏
大仏へはここを登っていくようです。写真ではわかりにくいのですが、これがかなりの急斜面。しかもこの階段で終わりじゃないんです。
階段が終わると、そこにはまた階段が。ラオスに登山しに来たのかと思ってしまいます。これを登りきれば絶景が待っているに違いないとひらすら登ります。
大仏まであと少し。もはや階段が植物に埋もれています。ここで転んだらこの植物の中に倒れて大変なことになりそうですね。手すりがないので慎重に登りましょう。
こちらが光り輝く大きな大仏です。ちなみに、前回の記事でパークセーホテルのルーフトップバーからの景色をお伝えしましたが、この大仏がライトアップされているのが見えていました。街のどこからでも見える街のシンボルのような大仏です。
下を見ると先ほどの日本ラオス友好橋とパークセーの町並みが広がっていました。大仏の下に座ってしばらく休憩。タイ人と思われる観光客が車で来ていました。わざわざ階段を登らなくても道路があったんですね・・。 ちなみにこの奥に見えている範囲がラオス第2の都市、パークセーの全てです。以前の記事でベトナムのプレイクという地方都市の様子を書きましたが、そっちのほうがよっぽど大きいのがお分かり頂けますでしょうか。自然たっぷりでゆっくり過ごすには本当にいいところでした。 来た道を戻ってパークセーへ。
パークセーの昼食
軽く運動してお腹が空いたので昼食を食べることにしました。
こちらのMeng Kyというお店が美味しいという噂なので行ってみました。
アヒルの肉が入ったラオス料理の「ミー・ナム」です。スープに入れるか分けるか聞かれたので、分けてもらいました。ベトナム風に言うとミー・コー・ヴィット(Mi Kho Vit)でしょうか。
お店の奥で離れた手つきでアヒルがさばかれていました。ベトナムでもこのような光景はたまに見られますが、生きている動物を食べて生きているということを日々気付かされます。 でもその場でさばいているだけのことはあって美味しいのです。 お腹もいっぱいになったのでパークセーを出て走り出します。
パークセーから13号線を北上
走りだしてまず見えるのがパークセー国際空港。ちょうどバイクの空気が減っていたので空港の正面の街のバイク屋で空港を見ながら空気の補充。飛行機はこの時間は飛んでいませんでした。便数もそれほど多くなさそうです。ちなみにホーチミンからも直行便が出ています。 空港を出てどんどん北に向かっていきます。織物の街などいくつかあるようなのですが見つからず、結局そのままずっと北まで走り続けてしまいました。
国道の左右には広大な大自然が広がっています。ところどころに家が建っていて人々が生活している様子を見ることができます。家の間隔もまばらで、草原(湿原)や水田の中にポツリと立っているイメージです。
ガス欠で国道沿いのローカルガソリンスタンドに入る
そろそろガソリンが無いかなーと思いながらも、全然ガソリンスタンドがないので諦めて走っていたその時、ついにエンジンが止まってしまいました。完全にガス欠です。 近くの売店の人に「ガソリンがなくなっちゃったのですが、どこで買えますか?」とボディーランゲージを駆使して聞いたところ、どうやらすぐ戻ったところに売ってるらしい事がわかりました。 下り坂をちょっとだけバイクを押して歩いたところにガソリンスタンドがありました。
こんなところでガソリン売ってたんですね、全然気づきませんでした。ベトナムだと機械がむき出しでで屋外に置かれているのですが、小屋に入っていました。
バイクを押して中に入ると2人の若い店員さんが出てきたので、ガソリンを指さして「これをください」と伝えます。ここはラオスローカル、英語は全く通じません。でもそのあたりはボディーランゲージでなんとかなるものですね!慣れた手つきでガソリンをバイクに給油していきます。これで一安心。
さて、給油も終わってお金も払ったのでいざ出発!と思うとエンジンがかかりません。ガソリンがまだ回ってないのかなと思いながら暫く待つも全くかかりません。店員の男の子もこちらをじーっと見ています。そうこうしているうちに油の匂いが漂ってきました。
ん、これは、ディーゼル(軽油)の匂い・・・・。
またもやジェスチャーで「これは軽油か!?」と聞くと、向こうも気づいたようで、あれ、違うの入れちゃったか!という様子です。僕が思わず緑色の液体のタンクを指さしたのがいけないのですが、軽油のバイクなんかないんだから気づいて欲しかったところ。でもこんな大型(に見える)バイクなんて見たことないから仕方ないのかな。ちなみにベトナムのガソリンは緑色なので思わずそちらを指さしてしまったのですが、ラオスのガソリンは赤色に着色されている方でした。
その辺に転がっていたポリタンクにガソリンタンクの下からガソリンを抜いていきます。最後の1滴まで、タンクの入口から息を吹き込んで丁寧に抜いてくれました。ありがたい。そして正しいガソリンをもう一度給油。ちょっと軽油と混ざっちゃうけど大丈夫かなーと思っていたのですが、無事にエンジンがかかりました。彼らも一安心した表情をして、お互いに笑って別れを告げます。
ラオス、いい国です。
ただ、軽油が混ざったガソリンで走るのもあまり良くないと思ったので次に見つけたガソリンスタンドでいつもより多めに給油して軽油を薄めました。
これでもう大丈夫、何も心配なく走って行けます。
引き続きサワンナケート(Savannakhet)までの道を北上
気を取り直して、と言っても全然落ち込んでも慌ててもいないのですが、引き続き国道13号線を北上します。この国道13号線、番号こそ13と中途半端なのですが、ラオスを南北に貫き、ラオスの大都市をつないでいるラオス国内では最も主要な道路です。舗装状態はとてもよく、道も地平線までまっすぐに続いているのでとても走りやすく、ツーリングとしては最高です!ただ、ずっと同じ景色なのでちょっと飽きちゃうこともありますね・・。
と思ってたら目の前に急に飛び出してくる動物がいました。車も歩行者も少ないのですが、動物が忘れた頃に飛び出してくるから油断はできません。
ブレーキを掛けて止まると何事もなかったかのように横断していきます。完全にマイペース。もっとゆっくり走れということでしょうか。
この写真でも道路脇に民家があるのが見えるかと思います。こんな道路の脇に学校もありました。
こちら、看板を見ると小学校と中学校が一緒になっているようです。それにしてもとっても小さい校舎です。生徒はどのくらいいるのでしょうか。ちょうど授業中なのか、生徒の姿は見えませんでした。
走っているうちに周りに民家が増えてきました。もう少しでサワンナケートです。
サワンナケートは直進、首都のビエンチャンへは右折してサワンナケート市街をバイパスするようです。ベトナム方面に行くには右折のほうが近いのですが、せっかくなのでサワンナケートに向かいます。この看板からしばらく走るとサワンナケートに到着しました。
サワンナケート(Savannakhet)市街
サワンナケートに到着しました。こちらもラオス屈指の大都市なのですが、ベトナムに比べると地方都市といった感じです。
この通り側サワンナケートの目抜き通り、中心街です。バイクや車も少なくとてものどかでした。
シーパンドーンでチェーンがはずれてからチェーンの調整を何もしておらず、チェーンの調子が悪くなっていたので腕の良さそうなバイク屋を見つけて修理してもらいます。ホンダのバイクは世界中どこでも直せるのがいいですね。
街中を走っているとベトナム語が書かれているベトナム寺院を見つけました。もはやタイ国境の近くなのですが、やはりベトナム人も多いのでしょうか。
ちなみにこの後近くの食堂でご飯を食べたのですが、メニューの一部しか注文できずによくわからない卵ご飯を食べました。
美味しかったのですが、なにか物足りない。某ガイドブックでは絶賛されていたのですが、一人客はどうでもいいと言わんばかりの接客でした。
ご飯も食べたので市内の川沿いの道まで出てきました。パークセーではメコン川沿いに飲み屋がたくさん並んでいたのですが、こちらは遊歩道のようになっています。
ちなみにこの川の対岸に見える街はタイのムクダハン(Mukdahan)です。この川を渡ればタイまで行けちゃいます。どうやらタイのほうがスーパーマーケット等が大きいらしく、在住の日本人などは国境をわたって買い物に行ったりするそうです。
ちなみにこちらが国境。2006年に日本のODAにより第2タイ・ラオス友好橋が架けられ、車でそのまま国境を渡れるようになっています。ここはベトナムのダナンからラオス、タイを経由してミャンマーのモーラミャイン(Mawlamyaing)までインドシナ半島を横断する東西経済回廊の一部になっています。この東西回廊が全通することでシンガポールを船で経由せずともインドシナ半島の東西を行き来することができるようになりました。
ここからベトナムまではその東西経済回廊(ラオス国道9号線)を通って行きます。
東西経済回廊を通ってベトナム方面へ
サワンナケートも見学したことだし、まだ日が落ちていないのでそのままベトナム方面に走ることにします。完全にノープランなのですが、日が落ちたら近くのホテルにでも宿泊するということでとりあえず出発。
出発するとすぐにニコンの工場を建設しているのが見えました。サワンナケートはタイ国境の町ということもあり、経済特区や保税区にもなっているようです。きっとこの工場で生産された部品がタイの工場へと運ばれるのでしょう。将来的にはベトナムのダナン港からの輸出もあるかもしれませんね。ちなみにこのツーリングは8月15日で、この工場は10月から稼働が始まっているようです。ニコンの他にもトヨタなどたくさんの会社がサワンナケートに進出しているようです。
走りだしてすぐのガソリンスタンドにはとても大きな2両編成のトラックが給油に来ていました。さすがは東西回廊、物流の要所になっています。
ちなみにそんなラオス国道9号線ですが日本製でした。この石碑には2001年と刻まれています。東南アジアの大都市もそうですが、自分のバイクで都市間を走ると道路や橋など日本の存在感が半端ないです。こういう日本政府の努力から日本人の評判は成り立っているんですよね。
なんと道の駅もありました。道の駅とは書いていないのですが、看板には「LAO-JAPAN FRIENDSHIP PHALANXAI ROADSIDE STATION」と書かれています。ロードサイドステーション、完全に道の駅です。ちなみにいまさらですが、ラオスは英語ではLaosですが、ラオス国内ではLaoと呼ばれています。ベトナム語でもLao(ラオ)と言います。英語ではラオ人の複数形でLaosとなったようです。
日本で道の駅全駅制覇というよくわからないことをしていた私としてとても気になったので中にはいってみたのですが、残念ながら営業していませんでした。ラオスには高速道路がなく、事実上この国道が高速道路のようになっているのでこういう休憩所はとても大事ですね。
道路脇でサッカーをしているところにも出会いました。やはりサッカーは世界共通のようです。ちゃんとしたスポーツシューズを履いている人が多いのでサッカースクールか何かでしょうか。
それからしばらくはひたすら西に向かって走り続けました。気づくと日も暗くなっていましたが、地図を見るとかなりベトナム国境に近くなってきたのでもう少し行けるかなとそのまま走ります。
国境手前の街ドン(Dong)に宿泊
国境の手前にちょっと気になるものを見つけたので、今日は国境を超えずに手前で宿泊することにして近くにあったゲストハウスにチェックイン。
ベトナム語にとっても親近感が湧きます。看板が読めると一気に安心するものですね。ただ、中にはいってご飯が食べたいと言うと、今はないと言われてしまいました。会話はカタコトのベトナム語ですが、ボディーランゲージではなくてちゃんと話せる喜びを噛み締めます。
チェックインしようとバイクを停めると何かがおかしい。よく見るとリアキャリアが折れて、テールランプの上に荷物が乗っていました。テールランプも重みで少し歪んでいます。これはやばいということでとりあえず近くのバイク屋で外してもらい、ゴムひもを買って括りつけます。このままダナンまで走るのはちょっと不安・・・。でも走るしかないですね。
おなかがすいたので近くの食堂を探すとありました。どう見てもベトナム風。
メニューはどうやら無いようなのですが、なにか食べたいと言うとこちらが出てきました。ちなみにゲストハウスもこの食堂も店員はベトナム人。
ベトナム料理がとっても懐かしくて美味しいと思ってしまう今日このごろ。店員が近くの韓国人グループを紹介してくれましたが、全く会話にならずに終了。どうやら韓国人だと思われたようです。日本人で、ホーチミンに住んでいると話し始めると店員さんとの会話が弾みます。というのは言い過ぎでボディーランゲージに比べて弾むという程度であり、ベトナム語はカタコトなのでそんなに弾みません。笑
次回:ベトナム戦争の痕跡をたどりベトナムへ
次回はラオス、ベトナム両国に遺されたベトナム戦争の痕跡をたどりながらベトナムのホイアンへ向かいます。
ルートマップ
A:タラート・ダオファン
B:プーサラオ(Phu Salao)
C:サワンナケート
D:国境付近の街ドン(Dong)
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。