ベトナム・ラオスバイクの旅:第11話~メコン川に浮かぶシーパンドーン~
夏休みを取ってツーリングに出かけてきたお話の第11話です。
これまで、初日はホーチミンからバンメトートまで北上し、ダライヌア、ダライサップの滝を見に行きました。
2日目はラック湖の大自然を象に乗って楽しみ、中部高原の自然を堪能した後でプレイクに向けて北上しました。
3日目はプレイクの街を楽しんでから、ラオス国境近くまで北上し、バイクに乗ったまま国境を通過し、ラオスのセーコーンで1泊しました。
4日目は南ラオスの滝を巡ってチャムパーサックまで来ました。
5日目は世界遺産ワットプーを見学し、その後周辺遺跡をめぐりました!
そして今回、シーパンドーンに宿泊し、メコン川に浮かぶ島々を巡ります!
目次
デッド島(Don Det)に上陸
ナーカサンという町からボートに乗りデット島に上陸します。島が近づいてくると、川沿いにはレストランが並び、ほとんどの看板には英語が書かれていました。欧米人の姿も多いです。
上陸すると周りは完全に観光地化されており、欧米人観光客が沢山いました。レストランやゲストハウスがたくさんあったのでこの辺りで泊まろうかとも思ったのですが、静かなところがいいなと思ったのでコーン島に泊まることにしました。デット島からコーン島へは鉄道橋と呼ばれる橋を渡って行きます。
デット島からコーン島(Don Khon)へ
いざ、コーン島へ!と島内の細い道を走ります。どんどん周りの景色が変わっていき、たくさんあったゲストハウスではなく田んぼに囲まれてきます。既に太陽も沈み、どんどん暗くなっていきます。
早くコーン島に行こう、とバイクを走らせていると急にガシャ、という音がして前に進まなくなってしまいました。チェーンが外れてしまったようです。周りには何もないし、誰もいないし、どんどん暗くなるし最悪町まで押していこうかなと考えたのですが、外れたということはつけられるはず、と思ってチェーンを回してみるとバッチリ付きました。これで一安心。チェーンが外れるほどに伸びきったチェーン、早く調整しなきゃ。スコールの中を油も刺さずに走っていたからチェーンには過酷な環境でしたね・・・。
コーン島の夜
コーン島に付き、川沿いのゲストハウスに宿泊することを決めて向かいのレストランへ。
メニューを見手も良くわからないので、ラープが食べたい、と言うとちゃんとありました。ラオス語のアルファベット表記も書いておいて欲しい所です。
来ました、これがラープです!レモングラスなどの香草と肉を炒めたもので、もち米と一緒に頂きます。これがとっても美味しくて大満足でした。食事の後はゲストハウスのハンモックとチェアーでまったり。各部屋にこれがついてるんです、最高です!
しばらく夜風にあたりながらまったりして就寝。まったりとか言いながらパソコンで仕事のメールの返信などしていましたが。笑
コーン島の目覚め
朝起きると緑に囲まれたゲストハウスの全景が見えました。PAN's guesthouseというゲストハウスです。安くて快適でとってもいいところでした。
メコン川を見ながら朝ごはん
チェックアウトして朝ごはん!ということでノックノーイ(Noknoy)というレストランへ。実は昨晩ここのゲストハウスに泊まろうと思ったものの満室だったという経緯があるのです。ここは鉄道橋からほど近いメコン川沿いなので行きたいと思っていたのでした。
レストランに入ると店番が机の上で寝ていました。
写真を撮ってると撮られていることに気づいたのか起き上がりました。眠そうに入口を見つめる店番・・・。
と、犬の写真を撮っててもお腹はいっぱいにならないので席についてメニューをもらいます。
やはりメニューはラオス語と英語の表記。ベトナム料理もそうなのですが、東南アジアの料理って英語で書かれてもよくわからないんですよね・・・。日本料理も”Tenpura”とか”Sushi”って言ったほうが、英語で説明されるよりもわかりやすいと思います。
店内からはメコン川と鉄道橋をを望めます。鉄道橋はフランスが統治していた時代の名残で、ラオス初の鉄道が走っていました。鉄道については後ほど書きますね。
しばらくして出てきたFried Noodleはベトナムの焼きそばとも、日本の焼きそばとも違うのですが至って普通の味。味は美味しかったです。後ろに見えるカップはラオスコーヒー。ラオスのコーヒー、ほんとうに美味しいのでお勧めです。
コーン島の入場料
実はこのコーン島、入場料を支払う必要があります。昨日は夜遅かったので料金所が閉まっていたのですが、島の入口に料金所があります。
料金は25,000キープ。ちなみにラオス人は15,000キープのようです。料金は1日単位なので宿泊する場合は複数回支払う必要があります。ちなみにこのチケットはソムパミットの滝と共通チケットなのですが、ソムパミットの滝ってコーン島に入場してからじゃないと行けないと思うので共通の意味が無いような気がします。どうなんでしょう。
料金所の向かいにはコーン島の見どころ一覧とここからの距離が書かれています。一番遠いイルカウォッチングが4km。徒歩じゃ厳しい距離ですね。ちなみにほとんどのスポットを本記事で掲載しているので訪問する際には是非参考にしてもらえればと思います。
ラオス初の鉄道跡
ここ、コーン島には100年前にラオス初の鉄道が走っていました。当時の蒸気機関車が保存されています。
当時インドシナを統治していたフランスはメコン川に船を運航させることで物資を輸送しようとしていたのですが、ここシーパンドーンのあたりはどこを通っても滝に阻まれてしまい船を運行させることができなかったのです。そこで、この滝を迂回するべく、船を載せて走る鉄道が敷設されました。
地図を見るとコーン島の南端からデット島の北部まで走っていたようですね。ちなみに両島を結ぶ部分には橋がかけられました。それが朝食を食べながら見ていた鉄道橋です。
ラオス初の鉄道は100年も前に完成されていたとは驚きですね。ちなみに現在は2009年からタイからの列車がラオス北部に乗り入れているのがラオス唯一の鉄道です。今後はラオス・ベトナム間の国際鉄道計画もあるようなので今後が楽しみですね。
ソムパミットの滝(Tat Somphamit)
リーピーの滝ともよばれているソムパミットの滝に向かいます。
コーン島内には鉄道橋を除いて舗装路は一切ありません。写真のような道を進みます。この景色、国は違うのに懐かしい気分にさせてくれます。
こちらがソムパミットの滝の入口。左の赤い建物でチケットを売っているのですがコーン島入場券と共通なのでチケットの確認のみ。
ソムパミットの滝までは10分ほど歩きます。小さな川を越えていきます。川に浮かぶ島にも川が流れているんですね。どこから何処までをひとつの島と数えればいいのだろうかと疑問に思ってしまいました。
緑の中をしばらく歩くと轟音が聞こえてきました。いよいよ滝とご対面です。
ソムパミットの滝です!なんというか、これ、完全に洪水です。今は雨季なので水量が多いのかもしれないのですが、私の中の滝という概念が変わりました。
川のほとりにハンモックがあったのでしばし休憩。布ではなくて植物で編まれたハンモックなので上に寝ても形は変わりません。個人的には布のハンモックのほうが好きですが、これもこれでゆったりと過ごせます。
ちょっとだけ休憩して次の見どころに向かいましょう。
川イルカウォッチングでカンボジアに侵入!?
実はこのメコン川には川イルカが住んでいて、コーン島の隣の島から見ることができるそうです。これは行くしか無い!ということで島の南端までバイクを飛ばします。
飛ばす、といっても相変わらずこんな道なので飛ばす気にもならずにゆっくりと進みます。最高の休日です。
島の南端につくと船着場がありました。向かいの島まで1隻60,000キープとのこと。人が集まるのを待つといつになるかわからないので一人で乗船。英語が話せる若いガイドが船を運転し、そのまま向こうの島も案内してくれるようです。
何の変哲もない普通の小さな船ですが、実はこの船が国境を越えていくのです。対岸の島はカンボジア領。今まさにラオスからカンボジアに移動しています。
メコン川に浮かぶ島から島へ移動しただけなのですが、島につくとそこにたなびいているのはカンボジアの国旗。パスポートも提示せずに国境を超えてしまいました。ちなみに入国料として20,000キープ徴収されます。入管手続はどうなっているのでしょうか。
カンボジア国旗の隣には日本国旗がありますが、10カ国以上の国旗が建てられていました。
川イルカは座って川を見ていると見つけられるということです。ちょうどお昼の時間なので昼ごはんを食べながら見ようということでガイドにご飯が食べたいというと裏手にあった小屋に案内してくれました。どうやら彼はラオス語、英語の他にカンボジア語も少し話せるようで、カンボジア語で色々と食堂のおばちゃんと話しています。肉、玉ねぎ、ライス、でいい?と聞かれたので、全くわからないけどOK!と答えました。
川沿いのテーブルに移動してカンボジアのアンコールビールを片手にランチ。この料理もカンボジア料理とのことでした。本当に国境越えたんだなぁと思いつつも全く実感なし。でもランチが美味しいからどうでもいいですね。
ちなみに写真に見えている対岸の森はラオスです。私がいるところはカンボジアです。ガイドにビール飲むか?と聞くと7upがいいとのことなので1本おごってあげました。
しばらく川を見ていると欧米人の集団がカヤックで渡ってきました。ボートではなく、カヤックでも渡れるんですね。自分で船を漕いで国境を渡るって面白そうです。
私の隣りに座って、イルカはどこだ??あそこだ!!のようなことを言っている気がします。が、フランス語なので何もわかりません。ベトナムからバイクで来た、と話すと、今度ハノイからホーチミンまでバイクで縦断したいんだよ!ベトナムは外国人でもバイクは買えるのか??と聞かれたので色々と答えておきました。いつか彼らの誰かがベトナムを縦断しているかもしれません。
川イルカがの姿はたまに見えるのですが、遠くてはっきりは見えません。もっと近づいて見れないの?とガイドに相談すると30,000キープで行くよ、とのことなので船を出してもらいました。
僕をガイドしてくれた彼はまだ18歳とのこと。川イルカをすぐに見つけては教えてくれます。が、姿を表す時間があまりに短いので写真は撮れず。是非実物に会いに行ってみてください。そろそろOK、帰ろうといってコーン島に向かいました。 ラオスに帰国です。
船着場に戻るともう1台の蒸気機関車がありました。展示内容は先ほどの蒸気機関車と殆ど変わらないのですが、どうやらレールの幅が違います。2種類の鉄道が走っていたようです。
横では蹴鞠のような遊びをしている若者がいました。
彼らはどうやら船のガイドのようで、観光客が来るとイルカ見に行くか?と営業していました。欧米人観光客はそれは高いよ!入国料って何?ビザは?パスポートはいらないの??と色々と聞いた上で後でまた来るよ、と言って結局帰っていきました。彼らは普通に商売をしているし、別にぼったくろうとしていないはずなのに観光客の方は信じていない様子・・・。うーん。
手動でバイクへの空気補充
バイクで帰ろうとすると悪路を走ってきたせいかタイヤの空気がないことに気づきました。さっきのガイドが近くにいたので空気入れられるところ無い?と聞くとこっちにあるよ!といって集落の中へ連れて行ってくれました。
集落に入る道には門番が・・。近づくと面倒そうに道を開けてくれました。道を開けても写真撮ってるので早く通ってくれよ、とか思っていたかもしれません。彼はどんどん集落の奥へ行き、普通の家の前で止まりました。どうやら彼の家に連れてきたようです。
バイクの空気入れなんてあるのかなぁ、と思ってたら・・・
なんと手動で空気を入れだしました。この自転車用の空気入れってバイクでも使えたんですね・・・。知りませんでした。
彼は「ラオスには無料サービスっていうのはないんだよ」と言って1万キープを請求しました。この商魂の強さは素晴らしい。街のバイク屋の2倍くらいの値段ですが、この島では完全に供給が少なくて適正価格だと思ったのでそのまま支払い。しかも手動で頑張って空気入れてるから多めにあげてもいいかなと思ったほどです。ちなみに1万キープは約110円です。
コーンパーソーイの滝へ
空気も入れてもらい快適になったバイクでコーンパーソーイの滝に向かいます。バイクは快適でも道路は完全に悪路。途中道が川になっているところもありました。
こんな道だと少し空気が少ない方が走りやすいかもしれません。悪路を進むこと10分、滝の入口の看板がありました。滝にはチケットブースなどはなく、小さなレストランが1件あるのみです。
滝に行こう、とバイクを止めるとなんとベトナムナンバーのバイクがいました。
右の奥に止めたのが私のバイクです。左のバイクも同じナンバープレートですね!ラオスではベトナム国境の街を除いてベトナムのバイクを全く見かけなかったので嬉しくなります。
ホンダのWinというバイクかなと思ったらインドネシアと書かれたコピーバイクでした。タンクには「SPERO W」、エンジンには「DETECH」の刻印があります。調べても何も情報がありませんでした。
滝へは吊り橋を渡っていくようです。
吊り橋の下がまたすごいことになっています。これだけでもかなりの滝。
やはり氾濫しているようにしか見えません・・。インターネットで検索すると水がとても少ない時の写真があり、全く印象が違いました。雨季と乾季ではこうも違うものなんですね・・・。雨季の大スケールの滝もいいものでしたが、乾季にもまた訪れたいところです。
お目当てのコーンパーソーイの滝へは吊り橋からさらに奥に、けもの道のような小道を通っていきます。
奥に見える茶色い川がコーンパーソーイの滝です。
川まで来ました。マイナスイオンとか言ってられないような濁流と轟音なのですが、これはリフレッシュされているのでしょうか。
ふと左手を見ると滝の支流がありました。これだけでも一つの滝として観光地にできそうな規模です。目の前にはまともな柵がないのですが落ちたら絶対助からないですよね、これ。
滝を見た後はバイクを停めたところまで戻り、レストランで7upを買って一休み。
丸太で作られたテーブルセットで一休みしている間にも滝の轟音が鳴り響いています。雨季のメコン川って凄いですね・・・。隣に停めてあったベトナムナンバーのバイクはまだそこにあって、オーナーの姿は見つけられませんでした。見つけたところでどうするわけでもないのですが。
コーン島&デット島の鉄道跡
コーン島の見どころを全て回ったのでデット島に戻ります。コーン島にきた時もこの鉄道橋を通ったのですが、暗くて景色を楽しめなかったのでここで楽しんでおきます。
一日中小雨が降ったりやんだりしていたので橋の上には水たまりができていました。橋の幅員は狭く、元々鉄道用の橋だったことを主張しているようです。
デット島へ橋をわたってしばらく走ると埠頭跡があります。
埠頭跡と言ってもコンクリートの建造物が残るだけなのですが、今もきちんと保存されています。
これでデット島&コーン島の見どころは全て回りました。今回はバイクだったのですが、レンタサイクルで島をゆっくり回ったり、島内のリゾートのプールでゆっくりするような旅もよさそうですね。
デット島のゲストハウス街
デット島の船着場までは昨晩と同じくゲストハウス街を通っていきます。
観光客向けのレストラン、ゲストハウスが並んでいます。どこもこの島の大自然を活用しており、このゆっくりとした時間の流れに身を任せるには最高の環境だと思います。
この黄色の看板、WiFi SOMETIMESと書いてあります。旅中はWiFiが飛んでるのに繋がらないことが多かったのですが、こう書かれるともう文句も言えないですね。ラオスの地方部ではインターネットのインフラはまだまだ未発達のようです。
ナーカサン(Nakasang)へ
島からは来た時と同じボートで対岸のナーカサンに戻ります。
他のバイクと一緒になったのは初めてだったのですが、この船バイク2台乗っても大丈夫なんですね。今回も、いつもと同じく2つのボートに板を渡したような双胴船です。
むき出しのエンジンを棒1本で操縦する船長。
コーンパペンの滝(Tat Khone Phapheng)
ナーカサンから国道13号線をさらに南下してコーンパペンの滝に向かいます。
途中にコーンパペンリゾートという立派な看板がありました。ゴルフ場がメインのようなリゾートです。
10分ほど13号線を走るとコーンパペンの滝の看板がありました。
この看板のところで国道から右折します。ちなみに、この国道13号線をあと数キロ進むとカンボジア国境です。今回は目的地が別のところにあったのでカンボジアへは行っていないのですが、ベトナム、カンボジア、ラオスツーリングも良さそうですね!
コーンパペンの滝はかなり観光地化されていました。
コーンパペンの滝まではきれいな遊歩道になっており、お土産物屋さんもあります。
展望台には30人ほどの観光客で賑わっていました。今までで一番賑わっていたところかもしれません。
展望台で昨晩泊まった宿の店主と再開しました。どうやら今日はガイドの仕事をしているようです。
滝は相変わらず氾濫しているようにしか見えません。これは乾季にも行って比べてみたいですね。
次回:ラオス南部の大都市パークセー
ラオス、カンボジア国境のシーパンドーンを楽しんだのでラオス南部の大都市、パークセーへと向かいます!
ルートマップ
A:デット島船着場
B:PAN's guesthouse
C:ソムパミットの滝
D:川イルカウォッチングへの船着場
E:コーンパーソーイの滝
F:コーンパペンの滝
[authorcredit]
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。