カンボジアツーリング第9回~カンボジアの奥地を山越え縦断~
昨日はバッタンバンの街を観光してきました。バッタンバンの街は色々と見どころもあり、ゆったりしていて居心地が良かったのですが、今日は山を超えて海沿いのタイ国境の街、ココンに向かいます。
バッタンバンの朝
バッタンバンの川沿いのカフェで朝ごはんを頂いて、今日のプランを立てます。
プランと言っても今日中に山を超えることが目的。山を超えた後のことはノープラン。
カフェの中には何故かホーンと宮内庁御用達と書かれた箱がありました。宮内庁御用達のホーンかと思ったら、あとで調べるところによるとこの箱は花瓶などが入っているもののようでした。きっと日本語がかっこいいから飾られたのでしょう。
店を出ると托鉢をしている僧侶たちに出会いました。カンボジアにいる、と強く実感できる瞬間です。
国道5号線を東へ
バッタンバンを出てカンボジア国道5号線を東、プノンペン方面に走ります。
この国道5号線はタイのバンコクからベトナムのホーチミンを最短距離で結ぶ南部経済回廊としてとても重要な道です。カンボジア国内は2車線の舗装道路。
これから険しい山へと入っていくので道中でバイク屋を見つけて気になるところを調整しておきます。
荷物が落下した荷台も出来る限りの補修を施します。バイク屋の人もよくわからない顔をしていたので工具だけ借りて自分で補修。チェーンにも古いエンジンオイルを注油してもらいました。「何もしてないからお金はいらないよ」とボディーランゲージで言っていましたがそれでは申し訳ないので少しだけお代を渡して出発。
メンテナンスが終わって国道5号線を走り出します。街から少し離れると交通量も一気に少なくなってとても快適な道になりました。
快適な国道もすぐに終わり、ここから山奥へと入っていきます。
カンボジアの原生林を越えてゆく
一気に道幅が狭くなるのですが舗装もきれいで快適な一本道。こんな風景がずっと続けばいいなと思って走っていたのですが、そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれます。
早速分かれ道が。看板もないので角にある商店で道を聞きます。聞くといっても全く言葉が通じないので目的地の地名を連呼して方向を教えてもらいます。
次の交差点は看板はあるのですがクメール語の表記しかないので読めません。ここれも写真右側にいる商店のおばちゃんに道を聞きます。どうやら右に曲がれば良さそうです。
交差点を曲がると早速舗装が終わりました。集落はまだまだ続いているようで走りやすいダートの両脇には民家や農地が並んでいます。
途中牛の大群に出会いました。ベトナムでもたまにあるのですが、道を完全に塞いでいます。牛を避けながら通過します。
しばらく走ると道路脇にはテントが立ち並び、よく見ると日本国旗が表示されています。どうやらこの辺りはまだ地雷が残っているようで地雷撤去を行っているようでした。この道を通って日本の協力隊の方々は毎日通勤しているのでしょう。
しばらくすると市場のある交差点がありました。ここでも道がわからないので聞くしかありません。
市場を越えてしばらくするとまた分かれ道があります。喉が渇いたので正面の商店で道を聞きながら休憩することに。
発泡スチロールのドリンクを打っている箱を勝手に開けてレッドブルを取り出します。建物の中にある椅子に座って一休み。交差点は左折すればいいそうです。
左折するといよいよ人影もなくなり道は穴だらけになりました。馬の背を走るように穴を避けてゆっくり進みます。
ひどく荒れた道がずっと続いていて、雨が降って固まったようなところも多くありました。これが雨季だったらぬかるんでて私のバイクではなかなか走れなかったかもしれません。雨季に行く場合はオフロードバイクが必須です。
橋も今にも壊れそうで、一人で走っているのが心細くなるような道が続きます。
道がなくなるように見えるところも。本来の道は右方向に曲がっているのですが、轍は直線的に荒野の中へと続いています。
荒れた道にも慣れてきた、と思っていたことに轍にハマりました。スタンドを立てていないのに完全にハマってしまい、抜けるのに一苦労。軽いバイクで良かった。
ちなみにこの写真にあるように後ろの荷物を積んだ箱は何度も道路に転がり落ちてしまったので途中から紐で括りつけました。ツーリングにゴムひもは必須ですね。
更に奥に進むと道の様子もどんどん悪くなっていきます。この水たまり、深さが20cmくらいはありました。バイクのは相葉奥に見える左上に上る道を登っていけるのですが、車だと右奥へと川の中を更に進むしかありません。
ここも、バイクは右側の側道?を走るのですが車は池へとダイブして進むしかありません。もはや普通車は通行不能です。
側道にはバイクの幅の橋がかかっていました。川に橋があるってこんなにも嬉しい事なんですね。
たまに対向車はあっても全く人気のない道をずっと進んでいたところに急に商店が現れました。
商店の向かい側には学校と思われる建物もあります。数軒の家がある小さな集落でした。
水分補給と休憩。帰り際に写真を撮ったら皆いい顔をしてくれました。全く言葉が通じなくてもこういうふれあいは嬉しいですね。
走りだして10分、また川が現れました。茶色ではなく綺麗な水の川です。
対向車が来たので道を譲ります。かなり悪路に強そうな車。こういう車でないとここは通れないのでしょう。
橋のない川にもかなり慣れてきました、というかもう気にしていられません。ただ、これが雨季で水量が増えていたら通りたくないですね。。
道に橋があるともう嬉しくて仕方がありません。
途中の民家では結婚式の準備をしていました。今晩はこの悪路を通って多くの人がここに訪れるのでしょう。
悪路に入ってから3時間、遂に舗装路に戻ってきました。右折して写真奥方面に進むのですが、手前は国道5号線です。今回は一番距離が短い道を通ってきたのですが、国道を通ってきたほうが距離は2倍でも早く来れたかもしれません。
今までとは全く違う、大きな街に来ました。
交差点にあるガソリンスタンドでガソリンを補給して、道を訪ねます。
ファンタの空き瓶1本がガソリン1リットル。更に山奥へ進むので2リットル補給。
交差点を左折と教えてもらい、山奥へ。
走りだすとすぐに集落は終わり、荒れた道に戻りました。
天気の良い高原の道、景色は最高なのですが油断していると道に大きな穴がいていたりと、気が抜けません。
大きな湖とエコツーリズム拠点
しばらくすると正面に湖が現れました。Google Mapでは湖の中を道が一直線で走っているのですが、橋があるようには見えません。嫌な予感がする、、と思ったらその予感通り、最近ダムが作られて地図にあった道はもう水没しているようでした。
ダム湖の周りをグルグルと迂回していきます。地図で測った距離よりも50キロほど走行距離が増えたのではないでしょうか。
昔の道は湖の中へと消えていきます。湖の中をよく見ると木々だけではなく建物が水没しているのも見えました。街が1つ、消えたようです。
エコツーリズムの拠点を発見しました。久しぶりに英語を見たので思わず立ち寄ることに。言葉が通じるって嬉しいですよね。
どうやらここでは農業体験や野鳥観察、宿泊などが出来る施設のようでした。英語を話せるスタッフは外国人旅行者を迎えに行っているということで残念ながらあまり会話はできず。欧米人の利用が多そうです。
この辺は道がきれいで走りやすかったです。左のほうが交通量が多いような感じなのですが、正解は右とのこと。
もう一軒、ゲストハウスがありました。ゲストハウスがあるということは、目的地ココンは近いと思ったのですが、全然そんなことはありませんでした。
川では子どもたちが水遊びをしています。カンボジアは自然がとても豊かです。
中国の援助によるダム建設現場
しばらくく走ると発電所がありました。看板を見ると一目瞭然、中国の援助により建設されています。
道路看板も今まで見なかったような独特なタイプ。
よく見ると、クメール語と中国語表記。一番下は英語かとおもいきやどうやらクメール語のローマ字表記と英語が混在しているようです。なんとか漢字が読めるので良かったのですが、これは難しい。
中国語はわからないのですが、海外市場を開拓しよう!と書かれているような気がします。かなり大きな発電所です。
管理棟と発電所の間の道だけ舗装されており、その他の道は全く舗装されていないのが驚き。舗装路と悪路が交互にやってきます。
午後7時、景色はきれいなのですが夜が近づいてきました。日が暮れるまでに下山したいところです。
どんどん日が暮れていきます・・・。
大きな舗装路に来た!と思ったのですが、これも建物間だけでした。
とても荒れた大きな穴だらけの道を大型トラックが往来しています。これではどんどん道が悪くなるのも頷けます。中国語(とクメール語で)悪路だからゆっくり走ろうと書かれています。・・・たぶん。
走りながら、公共工事における中国の価格競争力が恐ろしいと感じました。道路も舗装せず、且つその工法に慣れた労働者を多数送り込んでいるとなると日本に比べるとかなり安価でダムが作れるはずです。
そろそろココンの街のはずなのですがガソリンが危ういということで最後の給油。普段はボトルのガソリンを買ってもガソリンスタンドの2割増しといった良心価格なのですが、ここは2倍以上しました。。買うしかないので買います。
完全に日が暮れてしまいました。地図を見ると残り数十キロ、1時間以内には着くはずです。暗闇のダートをゆっくりゆっくり降りていきます。
7時前にココンに到着
町の入口にカフェがありました。見た目がオシャレだったのと、疲れていたので迷わず入りました。
コーヒーと、サンドイッチをオーダー。疲れた時はコーヒーが最高です。英語もかなり通じました。WiFiがあったので今晩泊まるホテルを探します。やはり国境の観光地、色々とありそうです。
活気のある川沿いのマーケット。お腹は空いていたのですが、まずはホテルにチェックイン。ホテルは欧米人バックパッカーが多い安宿にしました。大きな駐車場があり、バイク駐輪も安心です。
インターネットが使える所でご飯を食べよう、ということで結局欧米人経営の店でフランスパンを使ったハンバーガー。疲れた体に染み渡ります。実はカンボジアツーリングなのにクメール料理をほとんど食べていなかった気がします。
一日中ダートの悪路をひたすら走り続けたのでホテルに帰ってすぐに就寝。
走ってきた感想
普段は、「カンボジアツーリング、オススメです!」と言うところなのですが今回のルートはあまりおすすめしません。ダートが300キロひたすら続いていて、本当に走り切れないと夜の道は危ないので・・・。ちなみに道中欧米人のオフロードバイクとマウンテンバイク(自転車)とすれ違ったので、外国人が全くいないわけではありません。実は私も走破前は欧米人の旅行記「Pailin to Koh Kong」という記事を参考にしてこのルートに挑戦することを決めました。
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。