ベトナム最古の大学があった学問の中心「文廟」
1000年近く前にベトナムで初めて開設された大学。その大学があったのが、こちらの文廟です。1070年に孔子を祀るために建てられた、別名「孔子廟」とも呼ばれているこの文廟。境内の石碑は「世界記録遺産」にも登録されています。
今回はそんな文廟を紹介します。
第一の門 文廟門
文廟の入り口がこちらの文廟門。ベトナム仏教建築によくみられる三関門となっており、左右に虎と龍の絵が彫られています。石造りでどっしりとした歴史を感じる門です。
チケット売り場は文廟門のすぐ左側に設置されています。文廟の開園時間は、夏季(4/15-10/15)は7:30~17:30、冬季(10/16-4/14)は8:00~17:00となっています。
チケットの料金は、大人30,000VND、学生(要学生証明書)15,000VND、15歳以下無料で、パンフレットを購入する場合は別途8000VNDとなっています。
今では観光客は皆中央の門を通りますが、当時は中央の門は通常閉じられており、文廟で儀式が行われる時だけ王や高官だけが通ることができたそうです。この中央の門から続くレンガの道は「皇帝の道」と呼ばれていたそうです。
文廟門の中央の門をくぐると赤煉瓦の道がまっすぐ正面に伸びています。こちらが「皇帝の道」と呼ばれていた道で、赤煉瓦はバッチャン焼きなのだそうです。
バッチャン焼きは、ハノイから10Kmほどの川沿いの街「バッチャン村」で造られているレンガや陶器などの焼き物です。バッチャン焼きに興味のある方は以下からバッチャン村レポートもお読みいただけます。
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第二の門 大中門
赤レンガの「皇帝の道」をまっすぐ歩くと次に現れるのが「大中門」です。オレンジ色が黒味がかかった屋根の瓦が歴史を感じさせます。
屋根の上には跳ねる鯉の姿が!赤い柱と、陶器の埋め込まれた鯉の像が特徴的な門です。
こちらの門の左右にも小さな門が用意されており、こちらも当時は通常使われていたわけではないようです。
第三の門 奎文閣
3つ目に登場する門が、有名な「奎文閣」です。ハノイの象徴の一つとなっているこの奎文閣は1805年に造られたものだそうです。
2階の四方に丸い窓が開いているのが特徴的ですね。
この奎文閣をくぐると正面に四角い池があります。そしてこの池の左右に、「世界記憶遺産」にも登録された石碑が並びます。
こちらがその石碑「進士題名碑」です。科挙(官吏登用試験)に合格した人の名前がずらりと列記されています。
石碑は全部で82。1442年から300年間、合計1304人の名前が並びます。3年に一度の科挙試験、一握りの合格者がいかに秀でた頭脳で狭き門を潜り抜けてきたか、想像するだけでも大変そうです。
第四の門 大成門~ 拝堂・大聖殿
四角い池をまわり、向かい側にあるのが「大成門」という門です。こちらも赤い柱で支えられています。
ここをくぐると広場があります。そしてその広場の先にあるのが「拝堂」と「大聖殿」で、ここが孔子を祀る「孔子廟」すなわち「文廟」となっています。
拝堂
まずはこちらの拝堂。中央に祭壇がおかれており、周りには金色の文字や彫刻など様々な装飾がされています。この建物をそのまま奥へ進むとあるのが、「大聖殿」です。
大聖殿
こちらが大聖殿の入り口です。入り口から入ると正面に孔子像が姿を現します。
こちらがその孔子像です。大聖殿には、この孔子像を囲むように左右に4体の像が並べられています。この四体の像は、孔子の4人の高弟だそう。
正面左、向かって左が孟子像、右が曾子像。
正面右、左が顔子象、右が子思像です。
大聖殿を一度出て、今度は建物の裏手に回り、さらに奥にある建物に進みます。
第五の門 啓聖門~ 国子監
大聖殿をぐるっと裏手に回ったその真後ろにある門、こちらが啓聖門です。そして、この門をくぐった先にあるのが、ベトナム最古の大学である「国子監」です。
なかなか広い広場の先に立派な建物が見えます。これが国子監です。正面にあるのが前堂、左右にも同じく細長い建物があり、かつてはここで授業が行われていたそうです。
広間を横切り、前堂へと進みます。
国子監 前堂
前堂内では楽器演奏が行われており、椅子も並べてあり休憩することができます。お土産品の販売も行っており、学問に関連したお土産が多く取り揃えられていました。
前堂をさらに奥に進むとその先に後堂があります。
国子監 後堂
後堂を入るとする正面に鎮座するのが朱文安(チュウ・ヴァン・アン)の像です。朱文安は、14世紀にここ国子監で教師として皇太子に教育を施していた人物で、現在でも彼の名前の学校などがあるほど有名な人物だそうです。
後堂内には、当時使われていた学生の衣服や境内の模型、科挙に用いられた文書などが展示されており、2階へ上がると文廟や国子監、進士題名碑などの建立に寄与した3人の像が鎮座しています。2階の窓から建物を見下ろすこともでき、ここで少しゆっくりしていくのも良いでしょう。
欧米人観光客などにも人気の文廟。古くから学問の中心となってきたこの地でゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか?
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