ベトナムの数々の民族について学ぶならハノイにある民族学博物館へ!(前編:館内展示)
少数民族というとみなさん何を思い浮かべますか?雑貨屋さんでよく見かける可愛らしいポーチやブレスレットを思い起こす方も多いのではないでしょうか。
ベトナムには54の民族が住んでいます。そうした人々にかかわる展示が豊富で、都会では見ることのできない、独特な文化やしきたりをとても詳しく知ることができる博物館がハノイにあります。それが「民族学博物館」です。
ハノイ中心部から若干離れていますがタクシーで十分移動できる距離にあり、ただ眺めるだけでも楽しく、「ベトナムの民族についてしっかり学びたい!」という方の期待にも十分応えてくれる博物館です。今回はそんな「民族学博物館」を紹介します!
民族学博物館(本館)
園内に入る入り口の所にあるチケット売り場でチケットを購入します。チケットは大人40,000VND、学生(要学生証)15,000VND、子供(7~14歳)10,000VND、6歳以下無料で、カメラ・ビデオカメラの持ち込みは追加で50,000VNDかかります。
パンフレットは各館の入口にて日本語のパンフレットをもらうことができます。中に解説も載っており、かなり良心的!
園内入ってすぐ正面にある半円型の建物が民族学博物館(本館)になります。館内入ってすぐ中央のホールがあり、その左右にパンフレットの置いてあるインフォメーションカウンターとバッグを預けることのできるロッカーがあります。ロッカーは無料で使用することができます。
1階展示
館内マップにかいてある順路通り、1階から見学していきましょう。
1階でまず現れたのはこちらの写真パネル。この博物館で展示されている、ベトナムを構成する54の民族それぞれの写真が1枚ずつ貼られています。
54の民族は、そのうちでも5つの言語系に分類されます。人口の86%がベト族(キン族)で、通常私たちが街でかかわる機会が多いのがこのベト族の人たちなのですが、それ以外の53の民族が少数民族と呼ばれているそうです。
1階では、ベト族、ムオン族、トー族、チュット族の展示と、企画展示を見ることができます。
パネルの次に現れるのが、こちらの自転車。魚を捕る竹籠をこれでもかというほど積んで、もはや自転車が見えませんが、ここまで行かずとも似たように自転車に沢山の荷物を載せて走る光景は街中でも時々見かけますよね。
こちらは動物の顔をしたお面たち。子供たちがおもちゃとして遊ぶ凧なども展示されています。
こちらはハノイ周辺で伝統的に造られてきた笠づくりの様子です。今でもハノイではこうした傘を日常的にかぶっている人達を見かけますよね。
こちらはムオン族の葬儀の様子です。葬儀はとても重要な儀式の一つで、祖先のもとに魂を送り出すための様々なしきたりがあるそうです。葬儀で着用する衣装の色なども決まっているそうで、こちらのシーンでも伝統的な織物が使用されています。
葬儀ではありますが、鮮やかな衣装や織物が美しいですね。
半円を描くようにして展示されている1階の展示を見学したら、次は回廊を上って2階へ。建物も光が差し込んでおしゃれな造りとなっています。
2階展示
2階ではタイ・カダイ語系、モン・ザオ語系、チベット・ビルマ語系、モン・クメール語系、オーストロネシア語系の民族、加えてチャム族、漢族、クメール族にまつわる展示を見ることができます。
博物館内2階のフロアに突如現れるこちらの家は、タイ語系民族の家です。
家の内部も展示になっています。こちらはタイ語系民族の衣装。
機織りの様子や土器を作っている様子も再現されています。
こちらのカラフルなブロックがいくつも連なる木は、タイ語系民族の「Ritual Tree」と呼ばれるもので、この木の周りで人々は歌い、踊りながら神に感謝をささげる儀式を行うそうです。
こちらはモン族の機織りの様子。モン族は「麻」で有名な民族で、糸を紡ぎ、その糸を織って布にしていきます。灰の混ざった水と一緒に煮込み、色付けを行うそうです。
こちらはオーストロネシア語系民族による、葬儀に用いられた像です。ユニークな形や表情の像がずらりと並ぶ不思議な光景を見ることができます。
1階、2階と見学が終わると、こちらで民族学博物館(本館)の展示は終了となります。園内のもう一つの大きな博物館(別館)へ向かいましょう。
民族学博物館(別館)
本館を出てそのまますぐ左手に見えるのが別館です。ここではベトナムに限らず東南アジアや欧米、オセアニアなど、世界中のコレクションも展示されています。
1階展示
広々としたロビーが広がっており、右側が展示室、左側の一面のガラスの向こうには中庭に広がる民族の家の屋外展示が見えます。右側手前の入口から展示室に入っていきましょう。
1階展示室では、「東南アジア(SoutheastAsia)」の国々に関わる展示が行われています。民族の衣装や装飾品、人形などが多く展示されています。
手前に見えるのは中国の女性ものの衣装です。所々鮮やかな色が用いられており華やかな印象を受けます。
こちらはインドネシアの影絵です。その国へ行ったことがない方でも、数々の展示から国の雰囲気を感じることができるのではないでしょうか。
1階展示室は様々な文化を比較しながらその文化の特徴を感じられ、面白い展示となっていました。
2階展示
1階展示室の見学が終わったらエレベーターかスロープで2階へ。
2階は3つの展示室に分かれており、インドネシアのガラス絵の展示と金子量重(KanekoKazushige)氏のコレクションの展示、そして世界各国の文化にまつわる展示の3つの展示が行われていました。
特に金子氏の寄贈したコレクションと、レ・タイン・コイ氏夫妻の寄贈したアフリカ・中南米・オセアニアの古い文化的遺物は、「アジアの片鱗」、「世界一周」という題で、民族学博物館設立20周年を企画して新しく常設展になったものです。
こちらの水色ベースの展示室では、インドネシアのガラス絵の展示が行われています。
美しいガラス絵の数々を多数見ることができます。ユニークな絵が多く色彩も美しいです。
インドネシアガラス絵の展示の隣の展示室が、日本のアジア民俗学者で図書館学情報学者の金子量重氏が遺贈したコレクションの展示となっています。
展示品はインドネシアの宗教遺物や日本の陶磁器、インドの仮面など、金子氏が東南アジアを回って集めたものだそうです。
また、韓国の伝統衣装も展示されていました。こちらはハンボクという伝統衣装です。展示室では、金子氏が寄贈したコレクション560点のうち138点を展示しているそうです。
最後に一番奥の展示室にあるのが「世界一周」と名付けられた、世界各国の文化的遺産の数々。
こちらの展示室では、パリのソルボンヌ大学で教鞭を執っているレ・タイン・コイ氏夫妻が寄贈したアフリカ、中南米、オセアニアの文化的遺物の数々です。
展示室では、レ・タイン・コイ氏夫妻が寄贈した330点のうち、200点が展示されているそうです。
北南米アメリカ、そしてアジアの文化的遺物の展示も行われています。各エリアごとの展示数はそれほど多くはありませんが、世界中の文化を比べて違いを知ることができ、こちらもとても面白い展示となっていました。
いかがだったでしょうか?実はこちらの民族学博物館、今紹介した館内展示以外にも屋外展示も豊富なのです!後半では、民族学博物館の屋外展示の数々をご紹介します!
ベトナム民族学博物館(Bảo tàng dân tộc học Việt Nam)住所:Nguyễn Văn Huyên, Nghĩa Đô, Cầu Giấy, Hà Nội
ハノイの[エンターテイメント/博物館・美術館]
前編で紹介した民族学博物館。実は館内展示だけにとどまらず、屋外にも沢山の展示があるのです!天気の良い日なら、屋外展示をゆっくり眺めて回るだけでお散歩気分で楽しむことができるでしょう。 後編ではそんな民族学博物館の屋外展示をご紹介します! ※前半「ベトナムの数々の民族に…