ベトナム・チャンパ王国の紹介~クイニョンにあるビンディン遺跡群~

ベトナム・チャンパ王国の紹介~クイニョンにあるビンディン遺跡群~

更新日:2017年6月10日 (取材日:2017年4月30日) / ライター: Sayaka

2世紀末〜17世紀、ベトナムに存在した偉大な王国、チャンパ王国。今回は、ベトナムに6つある様式のうちの「ビンディン遺跡群」をご紹介します。ビンディン遺跡群は10世紀〜14世紀にかけてベトナム南部クイニョン郊外に建てられた8つの遺跡です。

ビンディン遺跡の特徴

遺跡が見通しのよい高台に建てられていることが多いようです。遠くからでも遺跡が見えるよう、遺跡の規模が大きく、装飾が少ない遺跡が多いことも特徴です。また、砂岩彫刻が多く用いられるようになり、これは、クメール彫刻やジャワ文化の影響と考えられ、チャンパが国際色豊かだった様子が伺えます。

雁塔(がんとう)Thap Nhan

小高い丘の上に堂々と佇む遺跡

小高い丘の上に堂々と佇む遺跡

雁塔はトゥイホア市の小高い山の上にあります。遺跡は11世紀頃に建てられたとされていますが、その前からこの地域はチャンパ王国の主要都市として栄えていたようです。

遺跡の中はきれいにされ、花やお供え物がたくさん。

遺跡の中はきれいにされ、花やお供え物がたくさん。

抗仏独立戦争で遺跡の一部が吹き飛んでしまいましたが、今は修復されています。現在も地元の人々が信仰にくる場所となっています。

遺跡横には小さなお寺とお墓がありました。

遺跡横には小さなお寺とお墓がありました。

遺跡横の丘の上には、ベトナム戦争時に作られた高射砲や、チャム族のお墓が残されています。

ライトアップされた遺跡

ライトアップされた遺跡

夜は遺跡がライトアップされ、さらに神秘的な装いになります。昼と夜の2つの姿を楽しめる遺跡です。雁塔のある公園内は見学無料。駐輪場代は3000ドンです。

ビンラム Binh Ram

田園、人々の生活の場に佇む遺跡

田園、人々の生活の場に佇む遺跡

ビンディン遺跡の特徴は遺跡が高台に建てられているということですが、このビンラムはクイニョン市郊外の田園地帯にある珍しい遺跡です。その理由として、ここビンラムから東に3kmの所にティナイ湾があり、ティナイの港を中心に栄えていたと考えられています。クイニョン市近郊のこの地域は11世紀頃から発展してきたチャンパの政治中心地でした。また、アジア近郊の地域でも政治的統合体が現れたり、中国やイスラムから商人がやって来て海上交易が活発になる等、東南アジアの状況が大きく変化した時代でした。チャンパ王国もその中で躍動したと言われています。

遺跡の横は民家

遺跡の横は民家

こちらの遺跡は、田園や民家等の生活空間の中にあります。遺跡の保護の為柵で囲われていますが、よく見ると柵の中に稲が干してあったりします。チャム人にとっては信仰の場であったこの遺跡も、現代のベトナム人にとっては、あまり重要度の高い物ではないのかもしれません。この遺跡は、柵の外から無料で見学できます。説明が欲しかったりもっと近くで見学したい場合は、連絡をすれば説明に来てくれると看板に書いてありましたが、連絡先が書いてありませんでした。

銀塔 Banh It

町を一望できる高台にある遺跡

町を一望できる高台にある遺跡

11世紀初頭に建てられたビンディン遺跡の中でもっとも有名な遺跡です。国道1号線を望む丘の上にあり、都市の中から遺跡を眺められるよう建物の規模が大きく造られています。

遺跡へは長い階段を上っていきます

遺跡へは長い階段を上っていきます

入口で入場料(8000ドン)駐輪場代(3000ドン)を支払い、階段を登っていくと堂々とそびえ立つ遺跡が見えてきます。

遺跡と遺跡が重なって織りなす景色

遺跡と遺跡が重なって織りなす景色

最初に現れる遺跡の門越しに次の遺跡を覗くと、形がピッタリ合わさります。これはぜひ写真のおさめたい景色ですね。

頂上の寺院

頂上の寺院

建物の装飾や彫刻は少ないですが、建物自体が大きく、都市から見上げることができるように建てられた寺院だそうです。

花やお線香がお供えしてあります

花やお線香がお供えしてあります

こちらも遺跡内はきれいにされ、お花やお線香等がお供えしてありました。

360度の絶景を楽しめます。

360度の絶景を楽しめます。

何も遮る物のない丘の上に建つ銀塔からの眺めは絶景です。南シナ海とクイニョン市内を見渡すことができます。

象牙塔 Dong Duong

巨大な3つの塔

巨大な3つの塔

象牙棟は11〜12世紀に造られた建物で、チャンパ遺跡の中では最も大きな遺跡です。また、ビンディン遺跡の中でも最も砂岩彫刻が多く用いられているのも特徴的です。発掘された多くの彫刻はクイニョン博物館に展示してあります。

北副祠堂に残る破風のレリーフ

北副祠堂に残る破風のレリーフ

他の側面は崩れてしまい彫刻が残っていませんが、北副祠堂に残る破風のレリーフが見事です。遺跡が風化していて危険なので、あまり近づかないようにしましょう。

建物も跡らしき物も

建物も跡らしき物も

広い敷地内には、建物が建っていたような跡も残されています。

石に掘られた彫刻

石に掘られた彫刻

ヒンドゥー教の聖霊獣の姿も

ヒンドゥー教の聖霊獣の姿も

また、ヒンドゥー教の遺跡に見られる聖霊獣の彫刻もありました。これらは古代インドの神話や叙事詩にも登場するもので、当時インドから伝わった物なのかもしれません。こちらの遺跡は、入場料8000ドンでした。

フンタン Hung Tanh

きれいに整備された公園内にある遺跡

きれいに整備された公園内にある遺跡

クイニョンの町中にある遺跡で、ビンディン省の文化局によって修復が行われ、今ではきれいな管理された公園の中にあります。

独特な形をした建物

独特な形をした建物

12世紀初頭に建てられた建物で、最初は3塔によって構成されていたそうですが、今では2塔だけ残されています。

遺跡内には、リンガとヨニが安置されています

遺跡内には、リンガとヨニが安置されています

祠堂内には、ヒンドゥー教の遺跡によく見られる、女性を象徴するヨニと男性を象徴するリンガが安置されています。こちらの遺跡の入場料は8000ドン、駐輪場代が3000ドンでした。

トゥーティエン Thu Thien

田園の中に突然現れる遺跡

田園の中に突然現れる遺跡

トゥーティエンは金塔や銅塔と同じ13世紀中期までに建設された建物で、内部にも装飾が施されているのが特徴的です。しかし、ベトナム戦争が終わった1975年に、内部に埋め込まれていた彫刻は収集家達の手によって国外に持ち出されてしまい、現在は行方不明になっているそうです。建物側面の彫刻や屋根の部分のデザインは細かく美しいです。

トゥーティエンへ向かう道

トゥーティエンへ向かう道

トゥーティエンも田園の中にポツンとある遺跡。田園の細い道を進んでいくとちょっぴり寂しそうに佇む遺跡がありました。

遺跡の敷地内に畑が…

遺跡の敷地内に畑が…

こちらの遺跡も一応保護の為の柵がありましたが、壊れていて自由に入れてしまいます。そして遺跡敷地内に畑が…。近所の住民さんの畑でしょうか。

遺跡の中には一応祭壇がありました。

遺跡の中には一応祭壇がありました。

祠堂の中には一応祭壇がありましたが、他の遺跡のようにお供え物はありませんでした。トゥーティエン、なんだかちょっぴり寂しそうに見えました。こちらの遺跡は、無料で見学できます。

銅塔 Chanh Tien

銅塔は、金塔やトゥーティエンと同じ13世紀初頭に建設されたたてもので、チャンパの政治的中心のひとつとして建てられたと考えられています。

発掘された遺跡

発掘された遺跡

銅塔の特徴は、塔の4隅にある柱の補強柱として砂岩が用いられたことです。今まで砂岩は装飾的な役割が多かったのですが、ここから補強としての役割も生まれてきます。これは、クメールの技術を取り入れたとされていて、クメールとチャンパの技術が融合した建物とされています。

祠堂内の祭壇

祠堂内の祭壇

こちらの遺跡は管理されていることもあり、祭壇もきれいにされお花やお線香がお供えしてありました。チケット売り場もあり、入場料は8000ドンでした。

金塔 Thoc Loc

山の上に建つ金塔

山の上に建つ金塔

13世紀初期に建てられたビンディン様式の中では比較的新しい建物です。

町中からよく見える遺跡

町中からよく見える遺跡

小高い丘の頂上にある金塔は、遠くからでも眺めることができる見通しの良い場所に建っています。ただ、金塔のある丘は道らしき物が見当たらず…丘の周囲を回っても登る道が見つからず、やむなく断念。丘の麓から眺めることしかできませんでした。

まとめ

高台に建てられることが多かったビンディン遺跡群。市民が信仰しやすいよう町から見えるように寺院を建てたのが伺える遺跡でした。建物の保存状態はまちまちで風化が進む遺跡もありましたが、チャンパ王国の神秘的な雰囲気を感じることがで来ました。次回は、クアンナム遺跡群をご紹介します。

ライター情報

Sayaka

Sayaka

ベトナム生活5年目。料理、手芸、描画、子ども、動物、雑貨、自然が好き!そして、何より人と関わることが好き! たくさんの人にベトナムの良さを知ってもらいたい。ベトナムの生活・観光を楽しんでもらいたい。そんな時に役立つ情報をお届けしていきたいです。

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