交通違反で没収されたバイクはどこへ行く?警察からのバイク取り戻しレポート
ベトナムでバイクを運転しているといつかはお世話になるのが交通警察。長く住んでいる人なら、白バイにクリーム色の服を着て2人乗りをしているのを見たことがあるでしょう。交差点の近くなどで取り締まりを行っていることも多いです。多くの場合はお金(=賄賂)を渡すことですぐに釈放されるのですが、お金がない場合や、賄賂を受け取らない警官だった場合は正規の違反処理となり、バイクが数日間没収されることになります。この没収されたバイクはどこに行くのでしょうか?どうやったら返ってくるのでしょうか?先日友人のバイクを取り返しに行ってきましたのでレポートします。
目次
バイクを取り戻しに警察署へ
交通違反でバイクを没収されるといつ警察署に出頭せよという書類が渡されます。今回4区で捕まったとのことで、指定された警察署は8区。足となるバイクを没収されたベトナム人にとっては交通費もバカにならないところです。
こちらが8区の警察署。南サイゴン交通警察と書かれています。大通りからちょっとヘム(路地)の中に入ったところにありました。向かいにはローカルカフェがあり、カフェのおばちゃんが警察署内にコーヒーをデリバリーしています。このコーヒー店、かなり儲かりそうです。。
中に入るとおなじみの警察車両。交通警察はベトナム語ではカンサットジャオトン(Cảnh sát giao thông/警察交通)と言います。なお、略称のCSGTと表記されることも多いです。奥にとまっているトラックが違反のバイクを没収するときに使われるトラック。取り締まりの時にトラックが停まっているときはそのまま持っていかれることもあるので注意しましょう。
隣にあるここのオフィスに違反した時の書類を持っていきます。ドアの上ではPhòng xử lý vi phạm hành chính(房処理違反行政)と書かれています。写真を撮ったのは3月ですが、ドアはテト(旧正月)の飾り付けが残っていてなんだか親しみやすい感じも受けます。そんなことは一切ないのですが。
ここでお金を支払ってバイクが戻ってくると思ったのですがそんなことはなく、指定された機関でお金を払うように指示する書面を受け取りました。お金を払ってから、その証明書を持ってまたここに来るようです。
ホーチミン国庫へ
1区の中心、グェンフエ(Nguyen Hue)通りにあるホーチミン国庫も指定場所に指定されていたのでそこでお金を支払います。ホーチミン市で一番高い建物、ビテクスコ・フィナンシャルタワーの隣にある建物が国庫。銃を持った警官が警備しています。
指定金額を支払い、受領印をもらったらまた8区の交通警察へ。ちなみに、通行帯違反で140万ドンでしたが、人によって金額が異なっていたりするという話もあります。
再び交通警察へ、しかし受け付けられず
再び交通警察に出向き、同じ部屋で受領印のついた書類を提出します。が、しかし、
「ホーチミン国庫での支払いは無効だ、もう一度支払うように」
と突き返されてしまいました。支払い通知の書類を見せてもらったのですが、そこにはしっかりと「8区のベッティンバンク又はホーチミン国庫」と書かれていました。原文にも8区のベッティンバンクが太字で記載されていましたが・・・。もう一度ホーチミン国庫に戻って書類を見せて確認するも、
「ここでの支払いで問題ない」
という回答。でも交通警察がダメと言ったらバイクは帰ってきません。どうやら後で取り戻す手続きもありそうということで指定された銀行へ。
こちらで再度140万ドンを支払い、受領印をもらいます。
そして今度こそ、と再度警察署へ。もう3回目です。 この時、指定された出頭日時を1週間ほど過ぎてしまっており、既にバイクは保管場に送られてしまっていました。9区の保管場にあるということで、また新しい書類をもらい9区へ。
9区にあるバイク保管場でバイクと対面
8区の警察署から9区の保管場に行くわけですが、番号は隣でもとっても遠いのが9区。ちなみにホーチミンで有名なテーマパークスイティエン公園があるのが9区です。
ベトナム人にとって違反金額140万ドンは当然大きいのですが、この交通費もほんとに馬鹿になりません・・。この保管場はバスが通っている道からも奥に入っているのでバイクタクシーなどに乗り換えないといけないでしょう。
駐輪場と書かれた門を入ると倉庫がいくつか並んでいました。
係員がその中の一つのシャッターを開けます。すると・・・・
このバイクの数々。どのバイクも埃だらけになっています。バイクのシートには白いペンで日付が書かれており、違反日か収容日を表しているのだと思います。
倉庫の端にはもはや動かないだろう、というバイクも。違反で没収されたまま放置している人も多いのでしょうか。ちなみにここの係員、iPhoneを持っていました。交通警察のバイク保管ビジネス、これは儲かりそうですね。いよいよバイクが来た!ということで動作確認。タイヤの空気はだいぶ減ってるけどエンジンもかかるし帰れそう!と思ったら・・・何かが足りない。
そうです、ブレーキキャリパーがないので前輪のブレーキが全く効きません。これを指摘すると、他のバイクから取ってつけるから待てとのこと。そんなのありなんですね・・・きっと他のバイクの人に取られてしまったのでしょう。しばらくすると係員が他のバイクから部品を外して持ってきました。きっとこうやってまた新たな被害者が出るのですね。
修理中です。さくさくっとブレーキが装着されました。外装部品のツメが割れても気にしないのがベトナム。組み上がってもネジが残っていましたがそれも気にしないようです。無償のサービスなので文句は言えない、といったところなのでしょうか。
そんなこんなで久しぶりに戻ってきたバイクはブレーキの効きが明らかに悪くなってました。この間にも数人が受取に来ていましたが、ガソリンを抜かれたのかエンジンがかからなかったりとトラブル続出。没収は避けたいですね・・。
保管場で見た捨てられた車両達
この保管場、建物の脇にも多くの車両が捨てられていました。
マツダのB2000。タイヤは完全にぺちゃんこ。荷台にも別の車両が投げ込まれています。
積み上げられた3輪バイクたち。いつから放置されているのでしょう・・・。
3輪バイクはまだまだ積んでありました。新しそうなものもいくつか。いつか持ち主が取りに来る頃はあるのでしょうか。取りに来てももう動かなくなってるかもしれないですね・・。
実はこんなところにも違反バイク保管場が
バックパッカー街の隣にある9月23日公園。普段から欧米人とベトナム人で賑わっており、各種イベントで使用されることもある大きな公園です。この公園の地下駐車場の一部も保管場となっています。
駐車場の入口。この中を入って行くと・・・
このゲートの奥が違反バイクの保管場です。手前は普通の駐輪場です。
絶対に没収されたくないと思うような保管状態。奥には車もありました。没収されて取りに行かない人も多いのでしょうか、それとも取りに行く手続きでお金が払えず断念となってしまうのでしょうか。長年の間放置されたようなものもあります。
2重で払ったお金を取り戻しに
ホーチミン国庫で一度支払ってから銀行でもう一度支払い、後からそのお金をとり戻そうと会計の役所に出向いたのですが、担当者が休暇をとっている、とか連絡がつかない、とか色々あり、2ヶ月たっても2重で支払ったお金は戻ってこないようです。
ベトナムのお役所仕事は本当に時間がかかるんですよね。。日本なら書類一つで即日返金になりそうなものですが数ヶ月かかるのがこの国なのでしょう。このまま戻ってこない、なんてこともありそうなのですが戻ってくることを祈ります。140万ドン(約7000円)は普通のベトナム人からしたら月給の2~4割ほどにもなる大きな金額ですからね。
行ってきた感想
ここまで読んだ皆さんも感じていると思いますが、プロセスが長い!というのが感想です。役所もそれぞれ場所が離れており、バイクを取り戻しに行くのにバイクがないと移動も大変で、これらを周るバイクタクシー代だけでもかなり掛かりそう。交通違反をするとこんな大変なことになるので気をつけて運転しましょう!もし捕まっても間違いなく賄賂で解決したほうが安くて早いですね・・。
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。