ベトナムDMZに残るヴィンモック地下トンネルに潜り戦争時の生活に思いを巡らす
ベトナム戦争時のトンネルとして有名なのはホーチミン市郊外のクチトンネルと、ここクアンチ省(Quang Tri)にあるヴィンモックトンネルがあります。クチトンネルは戦闘用のトンネルだったのに対し、ヴィンモックトンネルは住民が空襲から身を守るために作られた地下都市。戦争当時の南北境界線のすぐ北側にあったこの街にはたくさんの爆弾が投下されました。この地下トンネルには600人もの住民が住んでいたと言われています。
ヴィンモックトンネルへ
ビンモックトンネルは国道1号線から海側に入ったところにあります。バイクで行く場合は看板(ベトナム語)が出ているので見落とさないようにしましょう。と言ってもほとんどの方はフエからのDMZツアーで訪れると思います。
ヴィンモックトンネルの入口のゲート。私はハノイからダナンへのツーリングの道中に立ち寄りました。
中に入るとドリンクショップが並んでいます。たくさんあるのですが、どこも売っているのは同じ商品。観光後にサトウキビジュース(ヌックミア:Nuoc Mia)を飲みましたが、どこも同じなので逆にどのお店で買うか迷ってしまいました。
DMZツアーに組み込まれていることが多いので、欧米人観光客も多く見かけます。ベトナム戦争の遺構は圧倒的に欧米人の姿が多いですね。
爆撃の跡が今も残っています。この爆撃から逃れるために掘られたのがこのビンモックトンネルです。
不発弾も展示されていました。
トンネルに入る前に資料館で予習
トンネルに入る前に資料館でトンネルについて予習していきましょう。
小さいながらも情報がぎゅっと詰まったこの資料館。解説には英語もあるのでトンネル前に一読しておきたいところ。
資料館には写真や実物の展示が多く当時の様子がよく伝わってきます。
こちらはトンネル内部の模型。かなり大規模に掘られていたことがわかります。手掘りで何ヶ月もかけて掘り進められたこのトンネルの深さは最大20mに達しています。
当時のクアンチ省の写真。大規模な爆撃の様子がわかります。
当時のトンネル内の生活や当時使われていたもの。
写真などの展示物から当時の暮らしぶりが伝わってきます。
トンネル内部の地図。トンネルは地下3階構造になっており、様々な部屋がありました。
トンネル内部へ潜入
それではいよいよトンネルに入って行きましょう。
資料館からほど近いトンネルの入口は「3番」。
今でこそ入口はわかりやすく開いていますが、戦争当時は草木で覆われていたそうです。
粘土質の土肌がむき出しになっているトンネルを降りていきます。クチトンネルとは違い、少しかがめば大人でも十分歩ける広さが確保されています。
順路を表す看板や電灯が設置されているので安心して観光できます。当時は真っ暗ということを考えると恐ろしくなりました。
メインのトンネルの両脇に点在するのが家族の居住エリア。狭いところに家族で寄り添って住んでいたようです。
明かりが差している方向へ歩くと海に出ました。当時は爆撃がないときなどは海岸へ出て新鮮な空気を吸っていたとのことです。
再びトンネルへ戻って更に進みます。
こちらは分娩室。トンネルの中で17人以上の子供が生まれたというから驚きです。
広くなっているところは会議室。
トンネル内には井戸も作られていました。
こちらは風呂。風呂といっても特に何かがあるわけではなく、井戸から組んできた水を浴びていたのでしょう。
武器の貯蔵エリアもありました。
また外へ出てきました。明かりがつけられているとはいえ暗いトンネル内から外にでるとかなり眩しく感じます。当時の住民はこのトンネルの中で数年間過ごしていたのですね。
今は牛が歩くとても平和な海岸で、遊歩道が整備されている最中でした。このトンネルと併せて観光地として戦争当時を伝え続けて行って欲しいです。
行ってきた感想
ベトナム旅行というとショッピングや食べ物、それに世界遺産等が目的としてはメジャーなのですが、ベトナム戦争の遺構が数多く残っており、このように当時の様子を今に伝えているところがたくさんあります。フエからのツアーが一般的なので、ベトナム中部に行く際は是非ベトナム戦争の遺構に訪れてみてはいかがでしょうか。
【フエ発・日本語】DMZ~非武装地帯~日帰りツアーDMZとはDemilitarized zone(非武装地帯)の略で、 ベトナムを南北に分断していた境にあります。 ベトナム戦争の激戦地となったDMZでは、今もなお弾痕など戦争の傷跡が残ります。 戦争の凄惨さを風化させないためにも、日本語ガイドと一緒に自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。