ベトナムで技術力を売りにするオフショア企業「ムロドーベトナム」社長根本さんインタビュー

ベトナムで技術力を売りにするオフショア企業「ムロドーベトナム」社長根本さんインタビュー

更新日:2017年3月6日 (取材日:2017年1月25日) / ライター: ベトナム生活・観光情報ナビ編集部

5年前にベトナム・ホーチミン市に拠点を解説して高い技術力を武器に新規事業に取り組んでいるムロドーベトナム社長の根本さんをインタビューしてきました。自らもエンジニアで本社のCTOを兼務している根本さんの言葉からは技術力への強いこだわりと、それをベトナム人に伝えていくという熱意をものすごく感じます。ムロドーベトナム社の今までと、これからについて熱く語っていただきました。

社長の根本さんについて

ベトナムに来た経緯を教えて下さい

2011年末にオフショア先を探すためにベトナムに来たのですが、そのときに自分たちで会社を作ろうということが決まりました。12月に議論をはじめて3月にはオフィスが決まるというスケジュールでビジネスサイド、技術サイドのトップをベトナムに送り込み一気に設立しました。面接ではかなりいいエンジニアが揃っており、教えがいがあると感じました。

「ムロドーベトナム」の社長根本さん

なんと現社長兼日本本社CTOの根本さんがベトナムの空港についた同時に面接、オフィス内覧のスケジュールが詰まっていたそうです。5年かけて100人の規模まで大きくなったムロドーベトナムを更に拡大させながら高い技術力をつけていくために昨年より本社CTOの根本さんがベトナムに引っ越し、社長に就任しました。

ベトナムで働くという面白さ・難しさはなんですか

ベトナムでは日本に比べて何でもやらないといけないです。日本のエンジニアは勝手に勉強会に参加したり、書籍を買うなどして新しい技術を習得していきますがベトナムではそうも行きません。そもそも日本語はものすごい速さで英語から翻訳された書籍が揃いますが、ベトナム語の資料はほとんどありません。それに加えてベトナムの大学の勉強はプログラミングであっても講義形式かドリル形式で「これはやるときはこう」という教え方なので応用が効かないことが多い。ベトナムの方々は勉強が嫌いなわけではなく、勉強方法を知らないのです。そのためにTGIF(Thanks God It's Friday)として金曜日には自分の知っていることをエンジニアが発表する機会を作り、新しい知識を習得し、発表していくようにしています。最初は日本人による発表が多かったですが最近はベトナム人が交代で発表するようになってきました。

また、ベトナム人はプロジェクトマネジメントや、お客様が本当にやりたいこと、頭のなかに描いていることを仕様書にすることが苦手です。ここについては地道にマインドを変えていくしかなく、毎朝各社に対してどういう提案ができるのかというミーティングを行っています。このミーティングも最近はベトナム人のエグゼクティブマネージャーが実施できるようになってきました。

これからは要件定義等をしっかりとできる人材を育成していくことや、クオリティに対する考え方を変えることなどを対話をしながらやっていきたいです。チャレンジングですが、とてもやりがいがあります。

ムロドーベトナム社について

ムロドーは日本で2007年に設立されたIT技術に強みを持つ会社。2012年の3月にムロドーベトナムが設立されました。ムロドーマインドとも言える会社の文化を浸透させたいという思いから、既存の会社を買収するのではなく、ゼロから新しい会社を作ることを選んだそうです。

ムロドーベトナム社

事業内容を教えて下さい

WEBシステムのオフショア開発ならだいたい取り扱っています。特に、大規模なウェブサイトのバックエンド高速化や、大量データを扱うWEBサイトに強みがあります。表のデザインももちろん作成しますが、大量のデータを収集し、処理して計算し、わかりやすい形で表示する。経営者が会社のデータを元に意思決定するような経営管理のシステムなど、実現したい内容を考えてもらえれば、あとは全て作成できます。また後述しますが、セールスフォースに関する開発事業も行っており、ベトナムではまだ数少ない認定パートナーを目指しています。

その他にも楽天市場やヤフーショッピングに出品している商品情報を一括で管理するシステム「ネクストエンジン」を提供しているHamee社と提携してベトナムで開発を行っています。技術力には自信を持っており、開発スピードと品質向上のためにテスト自動化を導入しています。テストの自動化も日本のエンジニアにとっては当たり前になってきましたが、ベトナムでは「作って終わり」と考えるものが多いので、しっかりテストができるエンジニアが良いエンジニアだという啓蒙活動から行うことで会社の文化として定着させています。

ラボ型契約では最初の六ヶ月くらいが試行錯誤の期間で、その後に一気にコストパフォーマンスが出る開発であるが、一定数辞めてしまう人材がいるのも事実です。お客さまと直接やり取りをして、仕様を理解しているリーダークラスについてはしっかり囲い込み、その他のメンバーは予備人材を準備するなど入れ替わってもお客さまのビジネスに影響がないように配慮しています。

ムロドーベトナム社の強みはなんですか?

弊社ではブリッジSEを置かずにコミュニケーターを置くようにしています。しかも、一つのプロジェクトにはメイン・サブの2名のコミュニケーターをアサインして全ての通訳・翻訳を担当させています。日本語とエンジニアリングの両方がとても高いレベルでできる人材は少なくコストも高くなってしまうので、日本語に特化した人材と、エンジニアリングに特化した人材を組み合わせるようにしています。コミュニケーターといっても単純に通訳をするだけではなく、お客様の要件を理解するなどのビジネスサイドの能力も重視しており、教育にはかなり力をかけています。また、2人のコミュニケーターが常に案件を担当しているのでお客様からの問い合わせにも開発をとめることなくすぐに回答することができます。更に日本側にもセールスだけではなくエンジニアがいるため日本本社・コミュニケーター・エンジニアのそれぞれの得意分野を組み合わせることができ、これにより高品質な開発を低コストで実現しています。

日本のエンジニアも少数精鋭でNTT研究所と共同研究を行うなど技術に特化した集団であり、その中にはベトナム人から日本人に帰化したメンバーもいるので日本のクオリティをネイティブなベトナム語でもってこようとしています。ベトナムオフショアに対する要求が高まっている中で日本に限りなく近いクオリティを保っていることが弊社の強みです。

打ち合わせの様子

打ち合わせの様子

そのためにやっていることはありますか?

コミュニケーターに対しては教育に力をかけています。正確な翻訳やIT用語や要件のヒアリングなどがしっかりできるよう教育、試験を行っており、コストもかなりかけてやっています。

エンジニアについては先程も述べましたがテストの自動化を行う文化を作っている他に、ミートアップという勉強会を企画運営できるサービスでホーチミン市内の他の会社の方も招待して勉強会を実施しており、当社を含むベトナムのIT人材全体のレベルアップを目指しています。

ムロドーベトナム社の目指すところ

「DELIGHT IT」というスローガンを掲げ、プロジェクト、ビジネス、生活、そして世界を素晴らしいものにしていこうというのが目指すところです。

セールスフォース事業について

セールスフォースとはどのようなものですか?

CRM(顧客情報管理システム)の一つで、一言で言ってしまうと「なんでもできる」システムで、好きな帳票を作ることができるシステムです。大きめの販社さんなど、セールスやマーケティング活動を行っている会社での導入が多く、社内の情報を整理して見たい形式で集計し、一覧で表示することができます。営業・販売管理・製品・工程管理など、対象業界は問わずになんでも対応できるのが良いところです。ただ、なんでもできる反面、しっかりと要件を決めて作り込まないと使えるシステムにはなりません。ベトナムローカルの会社にお願いしてもなかなか欲しいものが作れないという現状もあります。

CRMとしてセールスフォースを選ぶ理由はなんですか?

世界展開できるのはセールスフォースだけです。本社がアメリカにある他、日本やシンガポールにも拠点を持っており、他のCRMとは規模が全然違います。弊社は日本でもセールスフォースの実績をたくさん持っており、その技術力を売ってきているので最初から世界で展開していきたいという思いでセールスフォースをオススメしています。

セールスフォースは外部のシステムとの連携に強く、Amazonのインフラを使いやすくするサービスを買収するなど、データの解析や特殊なDBの利用等の高度なことが実現できます。他の安価なシステムと連携してコストを下げたり、大量データを扱ったりとなんでもできるのが良いところです。

社内の様子

社内の様子

セールスフォース導入に当たってのムロドーの強みはなんですか?

ベトナムにはセールスフォースの認定パートナーは現在2社(IBM、FPT)しかいません。日本に比べてとても高いハードルがあるのですが、ムロドーベトナムも3月末頃に正式にパートナーとなる予定です。もちろん日本は認定パートナーで既に実績もあります。

セールスフォースやビジネスに精通した日本人がいて、実績豊富な日本本社がいて、ベトナムではほとんどいない認定エンジニアがいることが強みです。業務のコンサルティングから入り、高い技術力でしっかりと実現していく。それを日本に比べて安価なコストで提供できるようになっています。ベトナム人のコンサルタントも数名育ってきており、英語やベトナム語での要件定義もできるようになりました。しかも、弊社日本法人のセールスフォースチームのトップは元ベトナム人なのでエンジニアが直接日本とやり取りをすることができます。

インタビューを終えた感想

ベトナムオフショアというとコスト削減というイメージが個人的にはあったのですが、ただ安く作るだけではなく技術力へのものすごいこだわりが感じられました。日本で営業していくのではなく、ベトナム国内のお客さんに対して高い技術力を提供するいう、オフショアだけではない事業展開がこれからの日系IT企業では起こっていくのかもしれません。セールスフォース事業がこれから様々なベトナムの会社の経営を変えていくことになると考えるとワクワクしますね。

ライター情報

ベトナム生活・観光情報ナビ編集部

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