9月25日閉店、134年の歴史に幕を閉じた国営百貨店(TAXデパート)の開発の歴史を振り返る
2014年9月25日午後2時、国営百貨店として日本人観光客にも親しまれていたTAXデパートが閉店しました。地下鉄の工事に伴う建て替えとなり、5年後には地上40階建てのビルとなって生まれ変わる予定です。
国営百貨店は1880年のフランス統治時代に建設され、今年で134年の歴史を持っていました。今回は国営百貨店の歴史を振り返ってみたいと思います。
国営百貨店134年の歴史を振り返る
1880年 開業
1880年にLes Grands Magazins Charner (GMC)として設立されました。ベンタイン市場、サイゴン大聖堂、中央郵便局、Ville de Saigonホテル(現在の人民委員会庁舎)等と同じくフランス様式で建設されており、サイゴンの繁栄を表す象徴とも言える建物でした。
1940年台
1940年のGMCは3階建ての建物でした。フランス様式の時計塔にアジア様式の窓があるなど、フランスとアジアの建築様式が合わさっています。サイゴンの2つのメイン通りであるボナード(Bonard)通りとチャーナー(Charner)通り(現在のレロイ通りとグェンフエ通り)の交差点に建ち、富裕層に対して高級品を販売するショッピングモールでした。
1942年には4階建てへと改装され、屋上には周囲からよく見えるようにとGMCの看板が取り付けられ、時計塔が取り外されました。
1948年の時計店の様子です。万年筆、カメラ、絹織物、手芸品、宝石類、レコード等がイギリスやフランスなど欧州から輸入され、フランス人、インド人、中国人、そしてフランス語を話せるサイゴン人らによって売られていました。
1960年台
1960年台にタックスプラザ(TAX Plaxa)という名前に変わり、店内の様子は一変。売り場はたくさんの小さな売り場へと分割され、何百という小さな商店が商売を行えるようになりました。
1690年から70年台にかけてのタックスプラザ時代にはサイゴンで一番繁盛しているショッピングセンターとなっていました。多くの外国人、特にアメリカ人が訪れるようになりました。売られている服、手芸品、カメラ、時計、電化製品などは日本、アメリカ、台湾から輸入されていました。
1980年台~1990年台
1981年11月12日にタックスプラザはまた名前が変わり、ホーチミン市デパート(Ho Chi Minh City Department Store)となりました。1990年台はたくさんのお客さんで賑わい、最も繁盛していた時期と言えます。当時も欧州を中心に多くの外国人で賑わっていました。その中でも、ロシアとの貿易の影響は大きく、ロシアンマーケットとも呼ばれていました。
1998年~ 現在の名前へ
1998年1月19日、外観の改装も行い現在の名前である”Thuong Xa Tax” (Saigon Tax Trade Center)に変わりました。
2003年4月26日にはより高層な新しい建物へとアップグレードされ、現在の姿となりました。
2007年のクリスマスにはクリスマスツリーやトナカイ、そして何千もの電球で装飾され、多くの外国人観光客や現地の人達が写真を撮るなどして楽しみました。
サイゴンタックストレードセンターは今もフランスの建築様式を残していました。例えば、月桂樹の形をした階段の欄干、床のタイル、フランスの非公式な国のシンボルであるGallic Rooster(鳥)などがあります。
国営百貨店の今後
今まで134年もの間形も名前も変えながら人々に親しまれてきた国営百貨店ですがついに閉店となりました。今後は地下鉄工事のために取り壊され、5年後に40階建てのビルが開業するそうです。なお、国営百貨店内のスーパーマーケット「TAXスーパー」は歩いて5分ほどのラッキープラザの2階にて11月に再開するそうです。
※2014年11月SATRAマートとして開業しました。
ホーチミンでおみやげのまとめ買いに便利なTAXスーパーが11月25日に再オープンしました9月25日に134年の歴史に幕を下ろした国営百貨店の中にあったTAXスーパー。在住者も観光客も食品系のおみやげを買うならここ!と口をそろえて話すくらい品揃えも多く便利なところだったのですが、国営百貨店の閉店に伴い閉店してしまっていました。そのTAXスーパーがちょうど閉店から2ヶ月…
こちらの写真は現在の国営百貨店前の様子。道路を封鎖しての地下鉄工事が行われています。ホーチミンメトロ1号船としてベンタイン市場からスイティエンまでの19.7キロの路線の建設工事が行われており、ベンタイン市場の隣のオペラハウス駅及び地下施設がこの地に作られることになります。
まさにベトナムの発展の歴史的瞬間と言える事業で、完成する5年後の様子は今からは想像できないような形になるのでしょう。歴史的建造物が失われてしまうのは残念ではありますが、将来まより素晴らしい物ができると期待したいです。
なお、「国営百貨店134年の歴史を振り返る」の項目はTuoi Tre社の許可のもとTuoi Tre Onlineの記事を和訳したものです。
原文はこちらからご覧になれます:Saigon Tax Trade Center and its 134 years of development
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。