ベトナムのあまり知られていない世界遺産「胡朝の城塞(Thành nhà Hồ)」

ベトナムのあまり知られていない世界遺産「胡朝の城塞(Thành nhà Hồ)」

更新日:2014年7月9日 (取材日:2014年6月21日) / ライター: aki

2014年現在ベトナムには8つの世界遺産があります。その他の世界遺産には、タンロン遺跡、ハロン湾フォンニャケバンフエミーソン聖域ホイアン、そして今年新たに登録された「チャンアン名勝・遺跡群」があります。この中でも最もマイナーとも言える世界遺産がここ、胡朝の城塞ではないでしょうか。ハノイ市内にありアクセス便利なタンロン遺跡を除く他の世界遺産には英語ツアーが催行されているのに対し、ここには日本語はもちろん、英語のツアーすら無いようです。そんな胡朝の城塞を訪問してきました。

胡朝の城塞とは

世界遺産「胡朝の城塞」

世界遺産「胡朝の城塞」

胡朝の城塞 (ホーちょうのじょうさい、越:Thành nhà Hồ/城家胡)は、ベトナム北部のタインホア省で発掘された、胡朝時代に建てられた遺跡群。2011年7月にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。

Wikipediaより

Wikipediaにもあまり情報のないこの遺跡。胡朝は1400年からこの地に存在した王朝である。今は一部しか残っていないものの、7mもの高さの城壁が南北約900m、東西約700mに渡って続いていたらしいです。王朝は明の侵攻を受けわずか7年で滅びてしまいましたが、この城壁が今に残っています。

地図で見るとほぼ正方形とも言えるその形がよくわかりますね。

胡朝の城塞を見学しよう

遺跡を歩く

遺跡の中はバイク禁止と書かれているので歩いて行きましょう。ただ、地元の方々が何人もバイクで通過していきます。ちなみに、ここに入るまでの間にチケット売り場で10,000ドン(約50円)の入場券を買ったのですが、地元の方々はスルー。ここが世界遺産という感じは全くありません。

正門(南門)

正門(南門)

こちらが正門。この正門だけを見て帰っていく人もいそうです。ベトナム人観光客はミニバスで来ていました。ローカルのツアーがあるのでしょう。

正門の上に登る

正門の上に登る

正門には上に登る階段が設置されています。

真っ直ぐ続く道と水田

真っ直ぐ続く道と水田

門の上からは城壁の中を一望できます。道がまっすぐ北門に向かって伸びており、周りに水田があるのがわかります。昔はここにお城があったのでしょうか。現在は水田として使われており、大掛かりな発掘作業はまだ行われていないようです。

正門の一部が落ちてきそう

正門の一部が落ちてきそう

正門の一部、落ちてきそうな岩がありました。落ちることはないとは思うのですが、少々怖いです。

次は東門に行ってみましょう。

東門

東門

こちらが東門。自転車に乗ったおばちゃんが向かってきます。ここが世界遺産という意識もなさそうです。

北門

北門

次は北門。北門にもチケット売場があります。

西門

西門

こちらは西門。完全に生活道路です。

世界遺産で放牧

世界遺産で放牧

世界遺産で放牧される牛達。ちなみにこの西門から正門までは当時の城壁がしっかりと残っています。

今も残る城壁

今も残る城壁

この城壁の周りにもたくさんの牛達がいました。この道を行くと正門に戻ります。

正門以外は完全に生活の一部となっており、世界遺産と言われなければ気づかないような、そんな遺跡でした。

資料館・売店

敷地に入るとすぐにツアーガイドの登録の看板がありました。

ツアーガイドの案内

ツアーガイドの案内

せっかくだからツアーガイドの話を聞いてみようと、中に行ってみることにします。

遺跡の案内図

遺跡の案内図

ちなみに看板の裏面は遺跡の案内図でした。かなり古ぼけています。

簡単な資料館

簡単な資料館

こちらは簡単な資料館のようです。「どうやって作られたのか見てみましょう」と書かれていますね。ちなみに左奥はトイレ、1回2000ドン(約10円)です。

資料館の中

資料館の中

資料館の中では子どもたちが書いた胡朝の城塞の絵や、構造及び模型などが展示されていました。

当時使われていた道具

当時使われていた道具

こちらは当時使われていた道具の再現でしょうか。今でも使われているものがいくつかあるように思います。

ちなみに、前の写真の奥にあったカウンターがツアーガイドの受付。「英語のガイドはいますか?」と聞くと、「ベトナム語だけです」とのこと。私の片言ベトナム語では理解できないと思い、ガイドは諦めました。

売店・休憩所

売店・休憩所

こちらは売店と休憩所の建物です。建物と言っても屋根しかありません。ドリンク、アイスクリームやおみやげなどを販売していました。たしかにここは非常に暑く、日陰も少ないので水分補給は必須です。

立派な資料館も

立派な資料館も

その奥にあるのが立派な建物の資料館。

出土したものなど

出土したものなど

しかし中は薄暗く、展示内容も少なめでした。世界遺産登録からまだ3年なのでこれから充実することを期待したいです。当時の広報や、出土内容についての解説がありました。英語での解説もあります。

余談

到着したのがお昼ごろだったのですが、建物の中に行っても誰もいない。あれ?と思ってあたりを見回してみると・・・

昼寝中

昼寝中

お昼寝中でした。ちなみにベトナムの政府機関などの昼休みは2時間。昼寝の文化なのです。この後しばらくすると持ち場に戻っていました。

先ほど紹介した売店でお腹が空いたからお昼ご飯がないか聞いてみました。ミーゴイ(Mì gói:インスタントヌードルのこと)ならある、と言われ、まぁいいか、と思ってたらそのままバイクで近くの売店まで買いに行ったようです。

インスタントヌードル

インスタントヌードル

ちなみに調理方法はお湯を入れるだけ。これで10000ドン(約50円)。奥にあるのはこの地方の特産品のお菓子とのことです。一袋開けて食べさせてくれました。この適当さも、優しさも、ベトナムならではかもしれません。

ちなみに、会話は片言のベトナム語でした。英語は全く通じません。世界遺産としてイメージする観光地とは全く違う、胡朝の城塞でした。

胡朝の城塞へのアクセス

アクセスはハノイから国道1号線を南下し、途中国道217号線へ右折、約3時間ほどです。と書いてもあまりバイク等を自ら運転していく方はいないですよね。

ハノイからタインホア市まで統一鉄道又はバスで移動し、タインホアのバスターミナルでタンニャーホー(Thành nhà Hồ)に行きたいと告げて、バスに乗るとヴィンロック(Vĩnh Lộc)という地域で降ろされるので、15分ほど歩くと到着するそうです。Google Map等の地図を持って行くことをおすすめします。

アクセス手段が今のところローカル交通に限られるのでなかなか行きにくいかもしれません。

 行ってきた感想

今回はツーリングの目的地として立ち寄ったので周りの自然や道路を楽しみながら行くことができました。ただ、ここのためにハノイから片道3時間以上かけていくかというと、余程の歴史愛好家でなければ行かないのではないかと思います。周辺は自然が豊かでとてもよい環境なので、今後の整備に期待したいですね。

実は行ってきた6月の時点ではこの胡朝の城塞をもってベトナムの世界遺産全踏破となっていたのですが、2日後の世界遺産委員会でチャンアン名勝・遺跡群が登録され、また目的地ができてしまいました。ちなみにこのチャンアン名勝・遺跡群は胡朝の城塞から近く、行かなかったことを後悔したのでした。

ライター情報

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aki

旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。

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