ハノイ街中の世界遺産「タンロン遺跡」を見に行こう!
ハノイ中心部、旧市街からもタクシーで5~10分ほどのところに世界遺産があるのはご存知ですか?「タンロン遺跡」という、かつてベトナム王朝の都として栄えていた頃の城跡(旧ハノイ城・タンロン城)が、今もなお街の中に存在しているのです。
今回はそんな王朝時代の遺跡、そして世界遺産である「タンロン遺跡」を紹介します。
受付
ホーチミン廟や一柱寺のあるエリアのすぐ近くの通り沿いに入り口があります。駐車場をまっすぐ進んで、園内のチケット売り場のある建物へ。
こちらが受付のある建物です。まずはこちらでチケットを購入します。
館内はこのような感じになっています。さすが世界遺産なだけあって窓口もたくさん!かなり綺麗に整った受付となっており、英語が通じます。
入場料は大人30,000VND(約150円)、15歳以上の学生(要学生証)とベトナム人高齢者15,000VND(約75円)、15歳以下の子供は無料となっています。
どこ出身かをチケット購入時にカウンターの人に聞かれるので「日本人」と答えると日本語で書かれたパンフレットをもらうことができます。チケットはカードになっています。パンフレットはホアンジエウ18番遺跡に入る際にチェックされることがあるので手元に残しておきましょう。
パンフレットと同時に渡されたカード型のチケットをこちらの改札に通すとゲートが開く仕組みになっています。ベトナムの博物館や遺跡ではなかなか見ることのない、世界遺産ならではのこのハイテク感を感じながらゲートを通ると、いよいよ遺跡見学の始まりです!
端門
チケット売り場のある建物から出て、芝生のある広場をまっすぐ進みます。
その先にまず現れるのが「端門」です。門には5つの入り口があり、その左右の階段を上って楼閣へ上がることができます。端門は皇帝のいる敬天殿へつながる門なため当時は中で検閲がおこなわれていました。中央の一番大きい門が、皇帝が通る門です。
階段を上って楼閣へ上がります。楼閣内は広々とした空間になっており、建物の古さから歴史を感じます。
門を降りた向か側には、以前発掘が行われた地面があり、ガラス張りの床を通して見ることができます。
数々の展示品
端門を降りて北側に進むとすぐ正面に黄色い建物が現れます。こちらはフランス軍がかつて使用していた建物で、フランスによって旧ハノイ城占領後に建てられたものだそうです。
この建物以外にも、フランスによって建てられたこうした黄色い建物はタンロン遺跡内でいくつも目にすることができます。
建物内はタンロン遺跡から発掘された物品や写真パネルの展示室になっています。英語の解説があるため発掘時の様子なども知ることができるでしょう。
敬天殿
展示を見終わり、建物の北側の広場に出ると、その先にあるのが敬天殿です。こちらが有名な龍の手すり。この階段の上に敬天殿とよばれる皇帝の宮殿があったそうです。
現在は、龍の手すりのある階段の後ろに、フランス統領時代の黄色い建物が建っており、この中はタンロン遺跡から発掘された品々や遺跡の様子を写した写真パネル、説明などが展示されています。
複数の部屋で展示がされているため、時間に余裕があればこちらの展示物もゆっくり見て回りたいところです。
D67地上・地下会議室
敬天殿の北側、広場を挟んで木々の間に緑色の建物が見えます。こちらがD67と呼ばれる、ベトナム共産党がかつて会議を行っていた場所になります。地上と地下に会議室があります。この建物に入ると地上会議室を見学することができます。
こちらは地上会議室の一室。ここでかつて抗米戦争の戦略にからむ会議を行っていたそうです。当時用いられていた道具なども展示してありました。部屋の壁が全面緑なのが特徴的です。
地上会議室の入り口と向かい合うようにして、地下室に続く階段が二つ造られています。地下10メートルに通路があり、複数の部屋が並びます。
当時、原爆にも耐えられるように造られたというこちらの地下室。分厚い鉄の扉の向こうには地下の通路が伸びています。
こちらは地下会議室の一室です。当時重要な会議が行われていた場所です。正面にホーチミンの写真が掲げられています。静まりかえった地下室の独特な雰囲気から、当時の緊張感が感じられるのではないでしょうか。
後楼
D67を出て、さらに北へ向かって歩くと現れるのが後楼です。木々の間に隠れてこじんまりとした感じで建っています。階段で内部へ上がることができます。
19世紀にフランスがハノイ城を占領した際、後楼は一度破壊されてしましたが、その後再度フランスによって建てなおされたそうです。王朝時代、皇帝がハノイを訪れた際に皇帝の側室や女官らが控える場所として使われていました。
階段を上がった上階は広めのスペースとなっており、訪問者たちは中に置かれた祭壇に祈りをささげていました。上り下りは急な階段になっているので、足元と天井に気を付けてください。
こちらの後楼で遺跡は行き止まりになります。いったん来た道を引き返して次の場所へ移ります。
正北門
タンロン遺跡の北部にあるのがこちらの正北門。1805年グエン朝初代皇帝の時代に建てられ、旧ハノイ城の第2城壁に造られた門の中では現存する唯一の門だそうです。
門の向かって左側に砲弾の跡が残っていますが、これは1882年にホン河に停泊していたフランス軍が艦艇から放った砲弾の跡だそうです。
高さも厚みもあるがっしりとした造りの正北門。一度敷地を出て歩いて北側の端に回る必要があるので、こちらは余裕があれば訪れてみてください。
フラッグタワー
タンロン遺跡に隣接するベトナム軍事歴史博物館の一角に建つフラッグタワー(国旗掲場塔)も今まで見てきた遺跡とともに世界遺産に登録されています。
1812年に城の監視塔として建てられた塔で、着工から完成まで実に8年かかったそうです。
内部は階段で上ることができます。塔の上からは、ベトナム軍事歴史博物館の庭に並ぶ戦闘機や戦車を見下ろすことができ、また端門を正面から眺めることができます。
ホアンジエウ18番遺跡
ホアンジエウ18番遺跡ではタンロン城遺跡の発掘現場をみることができます。今見てきた旧ハノイ城跡を一旦出て、「ホアンジエウ通り」という通りを隔てて向かい側に位置します。
こちらがホアンジエウ18番遺跡の入り口です。別途の入場料は不要で、入り口のところでタンロン遺跡のチケット購入時に一緒に渡されたパンフレットを見せれば中へ入れてもらうことができます。
この遺跡は2002年に国会議事堂の移転計画で土地を調査した際に発見されたそうです。8世紀以降の複数の王朝の遺跡が発見されています。同じ場所に何度も建物を建てていたため、このように重層的に複数の時代の遺跡が発掘されているのだそうです。
日本の伊万里焼や有田焼などの陶器も発見されています。また、中国の陶磁器や銅銭なども発掘されているそうです。
2004年には日本の首相である小泉純一郎氏もこちらの遺跡を訪れ、遺跡の保存へ日本政府として協力することを約束したそうです。
遺跡が発掘されたこともあり、国会議事堂の移転計画は中止となって、場所は移さずに建て替えのみとなりました。こちらが、新国会議事堂です。ホアンジエウ18番遺跡の敷地と隣接しており、遺跡方面からは国会議事堂の裏側が見える形となっています。
30,000VNDという破格の安さで見学することのできる世界遺産「タンロン遺跡」。見学には1~2時間ほどかかる広い遺跡となっていますが、ハノイの中心に位置していることもありアクセスは抜群。観光にも丁度良いのではないでしょうか?ぜひ遺跡やハノイの歴史に興味のある方は訪れてみてください!
タンロン遺跡(Hoàng thành Thăng Long)住所:9 Hoàng Diệu, phường Điện Biên, Hà Nội
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