現代アートの展覧会「Winter Garden」展へ行ってきました
現代アートの展覧会「Winter Garden」展と松井みどり氏
ホーチミン市で昨日7月6日(土)から開催されている「Winter Garden」展へ行ってきました。
日越友好年の事業のひとつで、国際交流基金が実施しています。
美術評論家の松井みどり氏が企画した、日本人アーティスト14組による1990年代後半から2000年代前半にかけての絵画、映像などの現代アートの展覧会です。
松井みどり氏は、東京大学大学院で英米文学を学んだ後、プリンストン大学で比較文学の博士号を取得、国内外で現代美術についての論文、本、カタログなどを執筆されています。武蔵野美術大学、多摩美術大学の非常勤講師も務められています。月刊『美術手帖』(美術出版社)でもよく執筆されています。
会場のこと
会場であるホーチミン市文化労働会館(の展示室)は、グエンティミンカイNguyen Thi Minh Khai通りのタオダン公園の東にあります。(ちなみに日曜日だったので、タオダン公園はボーイスカウト・ガールスカウトのこどもたちでいっぱい。ほんとにいっぱい。)
会場へ入ると、受付でパンフレット(英語版はカラーで作品図有、ベトナム語版は白黒コピーで作品図無)とチラシとアンケートをもらえます。
お客さんはベトナム人がちらほら。日本人、外国人は私以外居ませんでした。
写真もOKでちょっとびっくり。ベトナム人は作品の前で記念撮影。
ちなみにアンケートは、「コメントは日本語でもOKです」的なことが書いてあったので、日本語で書いたところ、受付の女の子がちょっと読んでみてから、やっぱりわからなかったようで、「このコメント、どういう意味?」と聞いてきました。日本語を勉強しているそうで、私が日本人だとわかってにこにこと話しかけてくれました。
展示のこと~映像が見もの~
会場へ入ってすぐの展示室は、右側と左側にそれぞれ絵画。大判のものからスケッチまでいろいろ。そして奥の展示室へ行くと、映像コーナー。2つめと3つめの展示室が映像コーナー。3つめの展示室は映像と絵画と。
私としては、この展覧会は映像が見ものです。
導火線を火が走ってゆくようすをただただ追った映像。
そして傘が風に飛ばされてゆくようす、扇風機に布をからめて回すようす、洗剤の泡がプクプクするようすなどの映像。
ひたすら色々なランプをつける映像。
ひたすら水性ペンで描いた絵に水をかけて消す映像。
テレビ画面にらくがきする映像(話題の安藤美姫氏が…金八先生が…!)
「ストーリーのないストーリー」のある映像。
思わず棒立ちで、2回ずつくらい観ていました。
また絵画をながめながら、最後の展示室へ。私はここがいちばん好きでした。絵画とChim↑Pomの衝撃の映像。
衝撃の映像は、火をつかった、ほんとに衝撃的な、でもすごい映像です。
そしてこの展示室には、タイルを地にした抽象画、真っ白な紙に細かいこまかい文様を組み合わせて描いた2作が対になった大作などもあって、特に後者がすごかった。離れて観ても近づいて観ても、美しい。
ホーチミンと美術館と現代アート
何だか久しぶりに日本の現代アートを観て、わくわくしました。やっぱりここまで(良い意味で)トンデモな現代アートはなかなかベトナムで観ることはできない気がします。
ベトナムの美術博物館も、建物も展示室もすてきだけれど、いわゆる現代アートというものはあまり観たことがありません。美術博物館はとてもクラシックな作品ばかり。考古学の遺物も美術品として展示してあるので、ここも日本とすこし違うかもしれません。(日本でも縄文土器などは美術品として展覧会に出ることもありますが、扱い方がちょっと違う気がします。)
きっとまだまだホーチミンのどこかでも現代アートの展覧会などもあるんだろうな、ということで、元学芸員になりたかった者としても(笑)、こういった展覧会にアンテナをはりながら、ホーチミンライフを楽しんでいきたいところです。
展覧会情報
Winter Garden
2013年7月6日(土)~21日(日)(会期中無休)
9時~19時
ホーチミン市文化労働会館(Cung Van Hoa Lao Dong Tp.HCM)
55B Nguyen Thi Minh Khai, District 1
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ライター情報
ayako
元ベトナム考古学徒。研究のかたわらベトナムフェスティバルやベトナム検定公式テキストやたんぽぽカフェ@ダナンに携わったのち、2013年1月からホーチミン在住です。