ホーチミンの戦争証跡博物館でベトナム戦争の歴史を知ろう!
更新日:2016年5月18日 (取材日:2016年4月28日) / ライター: Shota Tsujioka
ここ戦争証跡博物館(Bảo tàng Chứng tích chiến tranh)にはベトナム戦争に関する写真や資料、兵器などが展示されています。今から4、50年前200万人以上の人々がこの戦争で犠牲になりました。この悲惨な戦争を忘れないよう1975年9月にこの博物館が作られました。年間に約50万人の人々が訪れます。
目次
戦争証跡博物館へ
戦争証跡博物館はホーチミンの3区にあります。営業時間・場所などの詳しい情報は本記事末尾をご覧ください。
まずはゲートで入場料を支払います。入場料は1万5千ドン(72円)。
日本語で書かれたパンフレットも館内でもらえます。
入場料を支払い中へ入るとたくさんの戦車やヘリ、銃器などが展示されています。観光客の方は入る前にここで時間をかけて写真を撮っていました。戦車やヘリが好きな人や子ども達は嬉しいかもしれません。こういう風景を見ていると実際に戦争で使われていたということを忘れてしまいそうです。
ベトナム戦争について
展示室を見ればこの侵略戦争がいかに悲惨なものだったのかがよく分かります。
アメリカ軍からの銃弾から逃れようと向こう岸へと泳ぐ母子。この写真は日本人カメラマン沢田恭一さんが撮ったもので「安全への逃避」というタイトルがつけられています。
見ているのが辛い内容ばかりですが実際に起こってしまった人間の過去の過ちです。二度とこんな悲しいことが繰り返されないようにと考えさせられます。
ベトナム戦争の写真は主に3階に展示されています。
日本の戦場カメラマン
この戦争に日本人のカメラマン、ジャーナリストも多く戦地へ赴いていました。
沖縄県那覇市で生まれ、四歳の頃千葉県に移り住みました。1965年から3年間、サイゴン(ホーチミン市)に滞在し、戦場取材を行っていました。約250点にも及ぶベトナム戦争の写真をホーチミン戦争証跡博物館に寄贈したことをきっかけに石川文洋さんの写真の展示コーナーがあります。
長野県岡谷市生まれ。1970年以降、ベトナム戦争の取材を行っていました。それに伴い、枯葉剤による甚大な被害を伝える写真や作品を発表しています。書籍「母は枯葉剤を浴びた」は約30万部のロングセラーとなっています。
佐賀県武雄市生まれ。ベトナム戦争の影響で戦いが激化するカンボジアに入国した後、アンコールワットで消息が分からなくなりました。消息不明になってから9年後にアンコールワットのプラダック村で遺体が発見されました。
この博物館には一ノ瀬さんのカメラの写真が展示されています。
沢田教一(1936年2月22日~1970年10月28日)
青森県青森市橋本生まれ。写真「安全への逃避」で一躍有名になりました。博物館にも展示されています。1970年、プノンペンの国道で狙撃され死亡。
石川文洋さんと中村梧郎さんの展示コーナーがあります。石川さんはベトナム戦争の写真全般、中村さんは主に枯葉剤の被害についての写真を撮ってらっしゃいます。危険な戦地で命がけで撮った写真の数々を是非見て頂きたいです。
枯葉剤の被害について
ベトナム戦争ではアメリカにより大量の枯葉剤が撒かれました。この目的としては隠れるのに最適なジャングルを使えなくするためです。
枯葉剤の毒性は非常に強く通常の農薬の100万倍だと言われています。枯葉剤に含まれるダイオキシンにより奇形児が産まれるリスクが高まります。現在でも枯葉剤の影響で苦しんでいる人がベトナムに多くいます。
枯葉剤の被害者へたくさんの募金が集まっていました。
枯葉剤に関する写真は主に二階のオレンジ色の部屋に展示されています。
ベトちゃん・ドクちゃん
日本でも有名なベトちゃんとドクちゃんの写真が展示されています。枯葉剤の影響で二人は結合双生児として生まれたと言われています。1988年に分離手術を行い成功しました。
写真の下に説明もありその後の二人の様子もよく分かります。2007年に兄のベトさんが亡くなられ、弟のドクさんは現在ホーチミン市の病院に勤務しています。
その他の展示や施設
反政府運動をした人々に関する資料
ここにはコンダオ島の刑務所や拘置所が再現されています。反政府運動をした人々を取り締まり、処刑や拷問の様子などの記録がありました。ギロチンや模型なども置いてあり非常に凝った作りになっています。
コンダオ島には更に詳しい博物館もあるのでコンダオに訪れたら是非行って下さい。
コンダオ博物館でコンダオの自然と収容所の歴史を学ぼう強制収容所があったことで有名なコンダオ島に大きく立派な博物館ができました。この博物館ではコンダオ島の自然や強制収容所の歴史についての展示があります。コンソン島中心部の海沿いにあるので、コンダオ島観光で訪れるにも便利です。 コンダオの強制収容所の歴史 コンダオにはフラン…
ギロチンはフランスなどヨーロッパのイメージが強いですが、ここベトナムにも持ち込まれました。
最後にこのギロチンで処刑された人だそうです。
模型などを使ってリアルに再現されていました。
かなりハードな内容なので心の準備をしてから入ってください。
お土産コーナー
お土産が売っているコーナーもあります。戦争関係のものだけではなく一般的なお土産も売られていました。 子ども達が平和を願い描いた絵がポストカードになっています。(10枚で3万ドン)
児童教育室
子どもを預かってもらえるのでご家族で来ても大丈夫です。
注目の作品
爆弾の破片でできた作品です。その表情はどこか悲しそうに見えます。
ベトナムの彫刻10周年展覧会(1983~1993)で奨励賞を受賞しています。
平和への道のり
一階には平和を願った写真やポスターなどが展示されています。今は平和なベトナムもかつてはこんな悲劇がありました。ベトナムに来たなら目を背けず見て欲しい場所です。
戦争証跡博物館について
戦争証跡博物館の営業時間や地図などの詳細情報については以下のページをご覧ください。
戦争・平和について考える良い機会になると思います。戦争証跡博物館でベトナム戦争の歴史を学んでみてはどうでしょうか?
戦争証跡博物館 (Bảo Tàng Chứng Tích Chiến Tranh)住所:28 Võ Văn Tần, Quận 3, TP.HCM
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