【ベトナム税法解説】第2回 住宅家賃と個人所得税について

【ベトナム税法解説】第2回 住宅家賃と個人所得税について

更新日:2015年11月25日 / ライター: 石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

今回はベトナム税法解説の第2回目として、従業員の住宅家賃について、ベトナム個人所得税法上の取り扱いを説明いたします。会社が従業員の家賃を負担する場合、その負担方法により個人所得税額が変わるため留意が必要です。

住宅家賃の負担方法と個人所得税計算

住宅家賃の負担方法は、①会社が従業員に対して住宅手当を支給する方法と、②会社がアパートのオーナー等に対して直接家賃を支払う方法に分けられます。

①住宅手当として支給する場合、当該手当の全額が従業員の給与所得に加算されます(通達111/2013/TT-BTC 第2条2項)。従業員への手当は金銭給与であるため、通常の給与と同様の担税力(税金の負担能力)があると考えられます。
②一方で、会社がアパートのオーナー等に対して直接家賃を支払う場合、その支払は従業員に対する現物給与と考えられます。現物給与は金銭給与と比べ担税力が低いため、従業員の給与所得に加算される家賃支払額に一定の制限が設けられています。すなわち、給与所得に加算される金額は(家賃を除く)総所得の15%までに制限され、超過部分については給与所得計算から除外されることとなります(通達111/2013/TT-BTC第2条2項dd.1点)。

例題による説明

次に、上記①と②のいずれの方法が、個人所得税の計算上有利であるか(税金が少なくて済むか)という点を、例題を用いて説明いたします。

説明の便宜上、税率は一律30%、所得控除は考慮しないものとします。実際の個人所得税の計算では、より複雑な計算が必要となりますのでご留意下さい。

<ケース1:住宅手当として支給する場合>

従業員Aさんはベトナム法人X社より、給与3,000USD、住宅手当900USDを支給されています。この場合のAさんの給与所得は、給与と住宅手当の合計額である3,900USDになります。個人所得税額はこの金額に税率30%を掛けることで計算されます。すなわち、3,900USD*30%=1,170USDとなります。

<ケース2:会社がアパートのオーナーに対して直接家賃を支払う場合>

従業員Aさんはベトナム法人X社より、給与3,000USDを支給されています。他方で、X社はAさんのために、アパートのオーナーと賃貸借契約を結び、オーナーに対して住宅家賃900USDを支払っています。この場合、Aさんの給与所得に加算される家賃額は、給与の15%、すなわち、3,000USD*15%=450USDに制限されるため、給与所得は3,000USD+450USD=3,450USDとなります。従って、個人所得税額は3,450USD*30%=1,035USDとなり、ケース1と比べ税金負担額が少なくなっていることが分かります。

このように、家賃支払額が(家賃を除く)総所得の15%を超過する場合には、住宅手当として家賃分を支給するよりも、会社がオーナー等に対して直接家賃を支払ったほうが、個人所得税額は低くなります。同条件の住宅を賃借する場合でも、負担方法により節税が可能となります。
また、会社がオーナーと直接契約したほうが、領収書等の証憑書類の入手も比較的容易になると考えられます。税務調査での指摘を避けるためにも、証憑書類を揃えた上で、住宅家賃の負担方法について、労働契約書等に記載しておくことを推奨いたします。

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ライター情報

石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

1992年一橋大学商学部、2008年慶應ビジネススクール(KBS)卒。旧富士銀行・みずほグループで約13年銀行員として勤務。経営者を目指して銀行を退職。2007年KBS在学時に、ベトナム(ベトナム人、現在のビジネス)と出会う。2008年に、井上とともにAGSを創設。経営者として現在6年目であり、日々経営や事業成長と向き合っています。

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