【ベトナムビジネスQ&A】国際税務やその他会社運営上で気をつけたいポイント

【ベトナムビジネスQ&A】国際税務やその他会社運営上で気をつけたいポイント

更新日:2015年2月3日 / ライター: 石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

国際税務においては、移転価格税制など、複数国にまたがるコンフリクトが発生する可能性があります。そこで、ベトナム税制について考える際にも、日本あるいは第三国の税制と合わせグループにおける各国の位置づけや商流等を総合的に考慮し、全体の最適化を図ることが大切となります。

前回は基本的な税(個人所得税・法人所得税・外国契約者税・付加価値税・事業登録税)についてご紹介しましたが、今回はそれ以外に気をつけたいことについて紹介します。

移転価格税制

2010年に移転価格税制が法整備され、ベトナム進出された企業様から年々注目を集めております。

移転価格税制とは、関連者間で独立した第三者との取引価格(独立企業間価格)と異なる価格にて取引が行われた場合、その取引は独立企業間価格にて行われたとみなして課税所得を計算する制度を言います。

移転価格税制の対象取引がある場合、「文書化」という、当該取引にかかる説明文書の作成が必要となります。文書化では、関連者取引価格の客観性が検証可能であことが重要となり、この文書は税務当局から要求を受けた日から30日以内に提出する義務があります。
文書化を行っていない企業様につきましては、早めの対応をお勧めいたします。

所得税の二重課税問題

国際税務においては、適切な居住地国の判定や国際的二重課税の排除が重要であるといえます。
各国で居住者の判定を自国の法令にもとづき行うため、それぞれの国で居住者と認定を受ける懸念があります。すなわち、ベトナム居住者と日本非居住者は必ずしもイコールではないため、日越双方の居住者判定ルールを知る必要があります。

当該双方居住者の問題に対応するには、日本居住者がベトナム居住者(双方居住者)とならないようにベトナム滞在日数を183日未満にし、恒久的な居所を持たないようにする必要があり、反対に、ベトナム居住者が日本非居住者となるように、1年以上の期間でベトナムへ赴任する事をお勧めしております。

また、非居住者の場合は、日越租税条約に基づく短期滞在免税制度を申請することもできます。これは、要約すると、非居住者に対する報酬がベトナムの法人・居住者・恒久的施設から支払われない場合、当該非居住者のベトナムにおけるPITが免除となるものです。当該免税申請をしなければ非居住者としての課税リスクがあります。

ただし、租税条約に基づく免税申請は困難であることに加え、外資系企業の代表者には適用不可であるなど、制度自体の問題もあるといえます。

二重課税の問題について詳しくは個人所得税について解説しているこちらの記事を御覧ください。

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会社運営にあたって税制以外に気をつけたいポイント

ベトナムに進出するにあたって、会計・税務と並び労務問題に気をつける必要があります。
従業員を雇用する場合、労働契約書・賃金テーブルの作成が必要となります。これらは損金経理要件にもなるため非常に重要です。また、従業員10名以上の会社では就業規則の届出も義務付けられています。ベトナムと日本では労働意識も異なるため、就業規則で労働条件を明確に規定することで、後日のトラブル防止に役立つため、従業員10名未満の会社にも作成をお勧めしております。
2015年1月にホーチミン市を含む第一地区で最低賃金が月額270VNDから310VNDに上昇すると発表されました。ベトナム政府は2018年までに最低賃金を東南アジアの他国並である200ドルまで引き上げる目標を掲げており、賃金上昇は今後も続くと予想されます。
日本企業で働きたいというベトナム人はとても多く、給与以外に現地スタッフへ提供できる事を検討する等、離職問題への取り組みも重要となります。例えば、ベトナムではテト(旧正月)休暇に合わせて賞与を支給する習慣があり、13ヶ月目の給与とも言われています。当該賞与を遅くともテト休暇の2週間前までに支給する等の心遣いが大切となります。

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ライター情報

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石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

1992年一橋大学商学部、2008年慶應ビジネススクール(KBS)卒。旧富士銀行・みずほグループで約13年銀行員として勤務。経営者を目指して銀行を退職。2007年KBS在学時に、ベトナム(ベトナム人、現在のビジネス)と出会う。2008年に、井上とともにAGSを創設。経営者として現在6年目であり、日々経営や事業成長と向き合っています。

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