【ベトナムビジネスQ&A】個人所得税における日本とベトナムの双方居住者問題の解決策
更新日:2014年12月10日 / ライター: aki
前回に引き続き、双方居住者問題について解説します。日本とベトナムで居住者の定義が異なる為、双方の国で居住者と判定されてしまう場合がある事は前回お伝えさせて頂きました。
日越租税条約を基づく双方居住者問題の解決
こういった場合は、日越租税条約を基に解決を図る事となります。日越租税条約4条2項では以下のように規定されております。
双方の締約国の居住者に該当する個人については、次のとおりその地位を決定する。
- (a)当該個人は、その使用する恒久的住居が所在する締約国の居住者とみなす。その使用する恒久的住居を双方の締約国内に有する場合には、当該個人はその人的及び経済的関係がより密接な締約国(重要な利害関係の中心がある国)の居住者とみなす。
- (b)その重要な利害関係の中心がある締約国を決定できない場合又はその使用する恒久的住居をいずれの締約国内にも有しない場合には、当該個人は、その有する常用の住居が所在する締約国の居住者とみなす。
- (c)その常用の住居を双方の締約国内に有する場合又はこれをいずれの締約国ないにも有しない場合には、当該個人は、自己が国民である締約国の居住者とみなす。
- (d)当該個人が双方の締約国の国民である場合又はいずれの締約国の国民でもない場合には、両締約国の権限のある当局は、合意により当該事案を解決する。
解決できないケース
しかし、ベトナムにおいては上記の基準で解決できていないというケースもございます。
例えば、暦年の途中でベトナムに入国し、赴任し、双方の国で居住者と判定された場合、
無用な二重課税が発生する事となりますが、ベトナムでは、上記の基準を用いて日本の居住者と判定された場合でも、ベトナム当局が日越租税条約よりも国内法を優先し、ベトナム居住者として課税してくるケースがございます。そのような場合には、実務的には外国税額控除で解決を図る事となります。
このように、(日本国籍保有とか日本側に住所があるということだけでは整理できないため)双方居住者の問題は日越租税条約で解決できないケースもございますので居住者要件には注意を払う事が必要と存じます。
なお、日本側税務相談は日本国税理士や公認会計士にご相談下さい。
ライター情報
aki
旅をするように生きていたい、そう思っていたら気づくとホーチミンにいました。本業の傍ら、ベトナム観光・生活情報ナビ、Samurai Cafe Saigonをやったりしています。ベトナム・ホーチミンから、日本とは一味違うベトナムの日常をお届けします。