【ベトナムビジネスQ&A】短期滞在者の所得税の免税制度ってどのような制度ですか?

【ベトナムビジネスQ&A】短期滞在者の所得税の免税制度ってどのような制度ですか?

更新日:2014年9月19日 / ライター: 石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

前回はベトナム国内で確定申告が必要な場合についてお伝えしました。今回は短期滞在者免税制度についてお伝えします。これは、国際的二重課税を事前に排除する為の制度です。2回に分けてお伝えしていきます。
前編は制度の概要及び適用の条件です。

短期滞在者免税制度とは?

短期滞在者免税制度とは、日本を居住地とする方がベトナムに短期出張するという事を前提とすると、一定の条件を満たした場合には、ベトナムでの課税を免除されるというものです。これは、上記でも述べましたが、国際的二重課税を事前に排除する事を目的としています。

制度適用の条件

日越租税条約第15条で規定されています。

①報酬の受領者が当該暦年を通じて合計183日を超えない期間、当該他方の締約国内に滞在すること
→ベトナムでの滞在日数が183日未満である

②報酬が当該他方の締約国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われるものであること
→日本の雇用者又はそれに代わる者が給与等を負担する
(日本とベトナムのみで事業を行っている会社を前提とした場合)

③報酬が雇用者の当該他方の締約国内に有する恒久的施設又は固定的施設(PE)によって負担されるものでないこと
→ベトナムにおけるPEで給与等を負担していないこと

この①から③を全て満たす必要があります。

②、③の規定の意味

ベトナム駐在員の給与についてベトナムで損金経理した場合、給与は損金として控除され、法人税上、課税の対象になりません。その代わりに当該給与は個人所得税として課税される事となります。しかし、短期滞在者免税制度を適用した場合、個人所得税を免除するということになりますので、当該給与は、どこにおいても課税されないという課税の真空を作ってしまう事となります。この事態を避ける為に、短期滞在者の給与等については、日本の雇用者(日本法人)で負担してくださいという事になります。これが②です。また、日本法人で負担するという事は日本法人のベトナム支店で負担するというのでも良いのではないかという意見が出てくる事があります。支店のようなPEで給与等を負担すれば、先程の課税の真空を作ってしまう事となりますので、これを認めないとしているのが③です。

②、③を満たす事で、短期滞在者免税制度により個人所得税が免除されても、給与等をベトナムで損金経理していなければ、その分法人税において給与等が損金として控除されずに、課税対象とする事が出来、課税の真空を作らずにすむという事になります。

次回は、制度利用の申請に必要な書類や留意点等についてお伝えしていきます。

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ライター情報

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石川 幸- Ko Ishikawa - : AGS代表

1992年一橋大学商学部、2008年慶應ビジネススクール(KBS)卒。旧富士銀行・みずほグループで約13年銀行員として勤務。経営者を目指して銀行を退職。2007年KBS在学時に、ベトナム(ベトナム人、現在のビジネス)と出会う。2008年に、井上とともにAGSを創設。経営者として現在6年目であり、日々経営や事業成長と向き合っています。

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