ベトナム・ホーチミンで働く日本人~日本人向け幼稚園 大塩さやかさん~

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~日本人向け幼稚園 大塩さやかさん~

更新日:2017年5月10日 (取材日:2017年4月26日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam

現在、日本人向け幼稚園で教論をされている大塩さやかさん。宮城県石巻市で東日本大震災のボランティアを1年間行い、その時に出会った仲間とベトナムダラットで2年間農業を行っていらっしゃいました。今回は、震災ボランティアを通して変化した考え方などについてお話をお伺いしました。

きっかけは東日本大震災だった

ベトナムに来て幼稚園の先生として働いているきっかけはなんですか?

ベトナムへは5年前に農業をするために来きました。

今の私に繋がるきっかけは、8年間勤めていた幼稚園を辞めた年に起こった東日本大震災で、1年間宮城県石巻市に住み込みボランティアで行ったことです。
そこで出会った仲間と今後仕事として農場を作れたら良いねという話をしていた時に、当時ホーチミンでレストランを経営されている方から日本の野菜を作って欲しいという依頼があって、仲間と一緒にベトナムのダラットへ農業をしに行くことにしました。

その時にホーチミンの日系幼稚園とも野菜の取引をしていて、その幼稚園の方に幼稚園教諭免許を持っているなら働かないかと声をかけて頂いたのが、ベトナムで幼稚園の先生として働くきっかけです。

農業はどのように初めたのですか?

仲間と一緒にダラットに行って、ベトナム人から土地と家を借りて耕しました。

すごく簡単に仰ってますけど、そんなに簡単じゃないですよね?

そうですね。機械を買うようなお金は無いので、まずはスコップと桑とかの簡単な道具を買って、広い土地をとにかくみんなで手作業で耕しました。当時ダラットで何年も農業をしているおじさんが居たので、その人に出荷の仕方など色々教えてもらいました。初めに一緒に行った人数は9人でしたが、今はそれぞれの道を見つけて生活しています。もちろん農場を継続している仲間もいます。

一見無謀とも思われるような事に挑戦できるのはどうしてですか?

私の中で震災ボランティアが大きな人生を考え直す経験でした。なんでもない普通の日々を過ごしていたら突然震災が起きて、テレビには毎日すごい映像が映し出されていて、胸が苦しくなりました。その時思ったのが「ここ(東北)の子どもたちは大丈夫なのだろうか」「私にも何かできることはないだろうか」ということでした。
そこでボランティアができる団体を探し、2011年4月から石巻に行きました。避難所や仮設住宅でボランティアをさせてもらう機会が多く、現地の方から悲しかったこと、辛かったこと、怖かったこと等直接当時の様子をたくさん伺いました。そして、たくさんの方に言われた言葉。「いつどこで何が起こるか解らないから後悔しないように生きなさいよ」と。その時の言葉が今でも胸に残っています。明日、何が起こるかわからない。それなら、考える前にまずは行動してみよう、と考えるようになりました。石巻のおばあちゃん達は、「私たちは何もなくなってしまったからあなたがんばりなさいよ」ってすごく応援してくれたのです。

私は震災以前は海外に全く興味が無かったのですが、仲間たちとベトナムに行こうという話が出た際に「こんな機会はもうないかも!」と思ってベトナムに行くことにしました。そして縁があって様々な機会を頂けました。そのたびに石巻で出会った方々の言葉を思い出すのです。楽しそうだなとか自分がやってみたいなと思うことは出来る限りやっていこう、このような自分の考えの変化をもたらしてくれたのが東日本大震災でした。

ベトナムダラットの農場

ベトナムダラットの農場

多くの機会に恵まれたベトナムでの生活

幼稚園の先生として再度働くことにした理由を教えていただけますか?

農業から幼稚園教諭に戻ったのは、やはり子どもたちと関わる仕事がやりたいと思ったからです。色々なことに挑戦したいという気持ちがある反面、好きな仕事をしたいとも思いました。そう思えたのも、一度教諭という仕事から離れてみて実感したことです。私は子どもと関わる仕事好きなんだなって改めて思いました。

幼稚園ではどのような仕事をしていますか?

日本のマナーや礼儀という日本の生活や、身支度、食事などなんでも自分で出来るようにフォローしながら教えています。
また、子どもたちがのびのび生活できる環境を作れるように心がけています。恵まれていることに、幼稚園のある7区フーミンフンはバイクも少なく緑の多い公園がたくさんあります。そこへ、子どもたちと散歩へ行って芝生の上を走り回ったり、南国のフルーツや生き物を見つけて楽しんでいます。至る所にバナナの木やマンゴーの木、ドラゴンフルーツの木等南国のフルーツが実っています。青いカメレオンみたいな爬虫類もいるのです。新しい発見がいっぱいで私も楽しんでいます。

ベトナムの幼稚園だからこそ大変だと思うことは何が有りますか?

ベトナムには四季が無いので、季節の移り変わりであったり季節の行事を伝えることが難しいですね。春には桜が咲くということや冬は雪が降って寒いということを、日本に住んでいたら意識しなくても学べるんですけど、ベトナムでは感じられないので。けれど、将来日本に帰る子どもたちにはとても大切な共通認識なので、そのような事が伝えられるように努力しています。日本の行事も大切にしているので、雛人形やこいのぼりを日本から運び、みんなでお祝いをします。又杵と臼も日本から運んだので、お餅つきも子どもたちとします。しかも、年に1度ではなく、入園のお祝いの紅白餅をついたり、ひな祭りの菱餅をついたりと年に何回も餅つきをするのは、日本の幼稚園以上かも。餅つき名人になれそうです。

ベトナムに来て驚いたことは有りますか?

ベトナムの幼稚園は大人が身支度や食事を全部手伝ってあげることですかね。私も見学に行って驚きました。私が見せていただいたベトナムの幼稚園では、食事の時に子どもたちが口を開けて待っていて、先生たちが一人ずつ食べさせてあげているんですよ。それは国それぞれの文化ですので、何が良い悪いではないと思いますが。子どもたちが大きくなっていく中で、大人が何を伝えていってあげるべきなのか、どこまでサポートしてあげるべきなのか、考えさせられる機会でした。
私は子どもたちが何でも自信を持って自分でできるように、援助していきたいと思いました。

今、他にチャレンジしていることはありますか?

サムライカフェというカフェのお手伝いをしています。私が昔から料理を作るのが好きで、友達だったカフェのオーナーに、カフェで何かやってみる?と言われて始めました。少なかったメニューを増やしたかったのと、ベトナムには甘いバターケーキはあるのですが、日本人が好むようなケーキがあまりないのでそういうケーキを提供したいと思い手伝い初めました。

サムライカフェではどのようなお手伝いをしているのですか?

メニューの数が少なかったので、新しいレシピを考えてベトナム人に教えています。私の本業は幼稚園でいつもカフェに居られる訳ではないので、バイトのベトナム人が自分たちで簡単に作れるように、材料が簡単に手に入って短時間で作れるものを考えるのが大変でした。また、レシピを教えることも大変ですね。もちろん中には今まで料理をしたことがない人だって居ますし、まず私がベトナム語を話せないので、一緒に料理をすることで、覚えてもらいました。

ベトナム人と一緒に働いてみてどうですか?

言葉で困ることはたくさんあります。意思疎通が出来ない時もあるのですが、どうにか上手くやるしかないですよね。また、日本人が当たり前だと思うことも、当たり前では無かったりするので、そういうことを自分の中で前提としておいて接するということは大切だと思います。あくまで私達がよそ者なので、日本人の価値観を押し付けるのではなく仕方ないと思って笑い飛ばせるくらいの余裕が大切なのかとは思います。

大塩さんがお手伝いをされているSamurai cafe

大塩さんがお手伝いをされているSamurai cafe

沢山の事に挑戦できる今が楽しい!

お話伺っていて、とても楽しく人生を生きてらっしゃる様に見えるのですが、今の生活は楽しいですか?

楽しいですね!

やりたいことをやらせてもらえる環境があるのは、本当にありがたいです。もし同じように沢山のチャンスが日本で巡ってきたとしても、ベトナムと同様には出来ないと思うんです。それを出来る環境と仲間がいるのは感謝ですね。だからこそ、自分が掴めるチャンスが有るのならチャレンジしていきたいと思い、いろんな事に挑戦させてもらっています。

今後はどのような人生の予定をしていらっしゃいますか?

教育現場では、子どもたちに生きていく力を身に着けてほしいという思いが震災ボランティアを経験して私の中に強く有ります。
いざという時に、自分でなんでも出来ることはもちろん、とっさの判断力であったり、人に言われたままの行動をするのではなく、自分で考えたことを行動に移せるような子に育ってほしいというのが、私の教育で一番大事にしていることです。

子どもたちに伝えるのは難しいのですが、生活の中で自分で考えるきっかけを与えてあげたり、それを認めてあげて自信に繋げていってあげたり等、たくさんの経験をして心も身体も強くなっていけるように手助けをしていきたいと思っています。

そして、何よりも「やりたいことはやってみる!」「すぐにやる!」ですね。これからも興味を持ったことにはチャレンジしていきたいと思います。

インタビューの感想

笑顔と笑い声が素敵で、明るく太陽のような大塩さやかさん。東日本大震災のお話は、わたしにとってテレビの向こう側の世界だったので、ボランティアとして直接関わっていた方の話は心に語りかけるものが有りました。

積極的に様々なことに挑戦しているさやかさんのお話を聞いていると、行動することで世界が広がるのだと思いました。お忙しい中、お時間を割いて頂いた大塩さんに感謝申し上げます。

取材:2017年4月26日 加藤 真友 (JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)

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サムライカフェサイゴン(Samurai Cafe Saigon)

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住所:15A/44 Lê Thánh Tôn, Quận 1, TP.HCM

評価: (4.17 = 25pt / 6人)

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※2019年5月、大塩さんの退職に伴う勤務先からの要請に従い記事の一部を修正しました。

ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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