ベトナム・ハノイで働く日本人~ANGELO DANCE STUDIO JAPAN 熊田純也さん~
更新日:2017年12月18日 (取材日:2017年12月18日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam
現在ハノイのANGELO DANCE STUDIO JAPAN(以下ADSJ)でダンスインストラクターとして働いておられる熊田純也さん。20年の歴史を持つ日本最大のストリートダンスコンテスト“JAPAN DANCE DELIGHT”に出場や、超有名アーティストのバックダンサーを経験するなど、数々の実績をお持ちの熊田さんについてインタビューさせていただきました。
きっかけはナインティナインの岡村隆史
ダンスを始めたきっかけは何ですか?
実はダンスを始めたきっかけは、中学3年生のときにナインティナイン岡村隆史のブレイクダンスを見たのがきっかけです。当時学校の友達とその話で盛り上がり、3歳上の兄が少しダンスをしていたというのもあって、兄に教えてもらいブレイクダンスにのめり込んでいきました。
就職活動はされなかったのですか?
就活はしてないです。高校、大学とダンスを続けていく中で、ありがたいことに20歳で自分の担当レッスンを持たせていただいてたので、そこからダンスを仕事にすることにすーっと入っていったような感じです。大学を卒業してもダンスで生きていこうと決めた瞬間は無いんですが、自然とダンスに引きずられていきました。
なぜハノイでインストラクターをされているのですか?
日本のADSJがアジア圏に進出するという計画がもともとありまして、そして上司の方がハノイ進出を決めたので、半ば勢いでハノイにくることを決めました。海外でダンスを教える機会なんて一生の内にあるかないかと思いハノイ勤務を決断しました。
今の仕事内容は何ですか?
スタジオ運営、イベント企画、ダンスレッスン、幼稚園・小学校でのダンスレッスンなどが主な仕事内容です。ダンスレッスンでは子どもから大人まで幅広く教えています。ハノイ校は今年の2月にオープンしたばかりでまだまだこれからです。スタジオのサービスクオリティや質を上げられるように運営に力を入れています。イベントは生徒たちの発表会などを企画しています。ベトナム人ダンサーとのイベントは、ワークショップやダンスバトルイベントですね。現在は約150名の生徒がいます。最近になってベトナム人の生徒が増えていっています。6割ほどが日本人で、あとの4割はベトナム人生徒です。幼稚園や小学校でのレッスンを入れると約300人ほどにダンスを教えています。
ダンサーであり教育者
言葉の壁を感じることはありますか?
レッスン中は言葉の壁をひしひしと感じます。日本だと通じるものが通じなくて、難しい部分はたくさんあります。でも礼儀や挨拶などのダンス以外のところはしっかりと教えるようにしています。怒るときは怒ります。ダンサーである前に一人の人間として、当たり前のことをきちんとできる子になってもらいたいです。
ダンサーというより教育者としての熊田さんを感じました。
ダンスを教えていく上で必要となるマナーは当然教えています。日本で展開しているADSJはキッズのみ対象のダンススタジオです。ついこの前、生徒に怒ったことがあります。レッスン後の挨拶が終わる前に子どもたちのモップの取り合いが起こるんですよ。そして挨拶の途中でモップを走って取りに行く子がいて、怒りました。でも教えているのはあくまでもダンスなので、教育や指導面に偏りすぎてはいけないとも感じています。いつもレッスンの最初に子どもたちを整列させてから始めるのですが、しないときもあります。ただただ整列することを教えるのではなく、今は整列をするべき時、今は自由に楽しむべき時、などメリハリを持たせることが重要だと思います。ダンスをする上でみんなが自由に楽しめるためにその時々で子供達のポテンシャルを出せるように 意識をしています。
ベトナムと日本の子どもたちとの違いはありますか?
子どもたちの勢いの平均値はベトナムのほうが上ですね。あと、この前靴を履かずにレッスンに来た子がいて、今度履いてこなかったら練習させないと言ったのですが翌週も履いて来ませんでした。なんで履いてこないのと聞くと、「熱いから。」と一言だけ言われビックリしました。
ベトナムでしかできないこと×熊田さんしかできないこと
ベトナムのダンス事情を教えてください。
ベトナムのヒップホップは東京と比べると混じり気がなく、いわゆるヒップホップの原型に近いと思います。東京の場合は常に新しいものが生み出されていき、目まぐるしく変化する印象があります。例えば異なるダンスとダンスの融合だったり、音楽とダンスを掛け合わせたりすことです。あまり詳しいことは分かりませんが、今のベトナムは日本の何年か前の高度経済成長期のようと言われていますよね。ダンスにもそのことが言えるんじゃないかなと思います。誰もが知っている王道の名曲90’sヒップホップを流しながら練習している姿をみると、逆に新鮮に感じます。
熊田さんがやりがいを感じるときを教えてください。
まずは教育者として2つあります。こどもが悩みを抱えたときにその相談に乗り、そして問題を一緒に解決したとき。もうひとつは、やっぱりこどもがダンスを楽しんでいるときです。ダンサーとしてのやりがいは、踊ることがただ好きです。踊ってるときがただ気持ち良いです。そしてダンスを通して知り合いが増えていって、それがいろんなイベントや活動に繋がっていくときもやりがいを感じます。あと、実はダンサーとしてすでに武道館デビューを果たしています。もちろんバックダンサーですけどね。ありがたいことにそのような経験もさせてもらっていて、一番規模が大きいのはAKB48でした。
これからの展望をお願いします。
ダンスを教える人を教える活動をしていきたいです。すべてのダンサーがインストラクターに向いているとは限らなくて、ダンスのスキルと教えるスキルは必ずも比例しません。ですので、”インストラクターのインストラクター”のような活動をするつもりです。そして結果として、ベトナム人ダンサーの仕事を増やし、ダンサーとしてのキャリアを築けるベトナム人を増やすことができると考えています。そんなキャリアへの道を開く存在になりたいです。あとはダンス面においてだけでなく、子どもたちが”かっこいい”とリスペクトできる存在でいることですね。
インタビューを終えて
何かひとつのことに没頭しながらも、知的で思慮深い一面をお持ちの熊田さん。私と同じ平成生まれとは思えない落ち着きとひたむきさを感じました。また、同じ趣味のお話や私生活まで赤裸々にお話してくださり、男二人グータンヌーボのような時間を過ごさせていただきました。AKB48のバックダンサーの際、こじはるが一番かわいかったとのことです。熊田さんの他にもハイレベルな講師陣が揃うADSJがハノイにあることは、とてもありがたいことではないでしょうか。
お忙しい中お時間を割いて頂いた熊田さんに感謝申し上げます。
取材日:10月20日 松岡亮佑(JAC Recruitment Vietnamインターンシップ生)