ベトナム・ホーチミンで働く日本人~VISTA MANAGEMENT 笠松卓史さん~

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~VISTA MANAGEMENT 笠松卓史さん~

更新日:2016年12月28日 (取材日:2016年11月14日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam

現在、ベトナムのホーチミンで現地法人を財務面から支援するコンサルティング会社VISTA MANAGEMENT を立ち上げた笠松卓史さん。6年前に日本を飛び出してからハノイ、シンガポール、ホーチミンと拠点を変えながらアジアを股にかけてお仕事をされてきました。もともとは日本の銀行に勤めていた笠松さんが3回の転職の後、ベトナムで独立された経緯についてご家族のことも踏まえながらお話をお伺いしました。

コンサルタントとしてベトナムへ

VISTA MANAGEMENT代表、笠松卓史さん

現在はどのようなお仕事をされているのですか?

現在は、ベトナムに進出する企業・現地法人に対して、財務コンサルティング、ベトナム企業のM&Aアドバイザリー、内部体制構築(会社の仕組み作り)支援を行っています。お客様に寄り添い、共に成長していけるようなコンサルティングを理念として掲げています。

日本ではどのようなお仕事をされていたのですか。

まず新卒で入社した銀行では、資金運用の部門で外国債券や日本株式の投資先企業の調査を行うアナリストやファンドマネージャーとして働いていました。そこで、多くの投資候補先の中小企業の経営者に直接インタビューすることで、様々な経営者がそれぞれの経営戦略を作りどのような成長を遂げるか近くでみることができ、この成長にもっと関わりたいと考え、監査法人系のコンサルティング会社に転職しました。そこでは、中小企業の「株式公開支援」と業績が悪化した企業のサポートをする「再生支援」に携わっていました。

ベトナムとの関わりのきっかけを教えてください。

当時在籍したコンサルティング会社とベトナム進出を支援する研究所との提携によって、日系企業のベトナム進出のサポート業務に携わり始めたことがきっかけです。ベトナムに出張で行くことが増え、働いているベトナム人は積極的で向上心も高く、国全体に活気があることと、欧米と比較して日本と文化的にも近く親日であることから、すんなりと馴染むことができる雰囲気があると感じ、徐々にベトナムに興味が湧いていきました。

その後、どのような経緯でベトナムに転職されたのですか。

2008年のリーマンショック以降、世の中が急激に変わってきて、再生支援事業の仕事が増えました。その中で、短期的にはコスト削減で危機を乗り越えたとしても、長期的な企業の成長には新しいものを作り出すこと、売上を増やすことが必須であり、海外に進出することが1つの選択肢と考えるようになりました。しかし、日本にいながらの海外進出支援に限界を感じ、それなら「自分がベトナムの現地から海外進出をサポートできれば」と考え、9年間勤めた会社を辞めてハノイのコンサルティング会社に転職しました。

ご家族は反対されなかったんですか?

家族からは反対されました(笑)。安定した生活があって安心安全な日本から、何も知らないベトナムに行くのですから。しかし、これから伸びていく市場であるベトナムに将来的なポテンシャルを感じましたし、子どもたちに小さいうちから厳しい環境である海外経験をさせておきたかったので、ちょうど良い機会だと考えました。

ベトナム・シンガポールでの生活と仕事

ハノイでの生活やお仕事はいかがでしたか?

日々街が変化していく環境なので、常にベトナムの成長を感じながら、仕事ができたことは刺激的でしたし、実際に現地で進出支援に関わり、日本の企業の成長につながっている実感を得ていたので非常にやりがいを感じていました。しかし、思っていたよりもハノイの環境が子どもに厳しく、喘息の発作が増えてしまったことから、2年経つ頃には健康面のことも考え、日本に戻らないといけないのではないかと考え始めました。

その時に、たまたま以前登録していた人材紹介会社からシンガポールにいながらベトナムへの進出支援に関われる仕事の紹介を受け、ベトナムに関するアドバイザーとして銀行に転職しました。

シンガポールではどのような経験をされたのでしょうか?

シンガポールは物価の高さはネックでしたが、日本と同じような安心安全な生活ができて、子どもの体調も良くなりました。また、仕事面でも東南アジア各国のアドバイザーと一緒のチームで働いていたので、様々な国の投資環境を知ることができ、自分の知識・経験の幅が広がりました。しかし、ベトナムのような予想を超えるようなトラブルが起こるわけでもなく、刺激的だったベトナムでの生活に比べて少し物足りさを感じていました。そして、3年間働いた後、またベトナムに戻り、会社を起こすことに決めました。

シンガポールで息子さんと日本のアニメとコラボしたマラソン大会にて

いかに自分に投資し、価値を高めるか

なぜベトナムで起業なさったのですか?

ベトナムで就職する手もありましたが、家族と仕事とのことを考えて独立することに決めました。家族に関しては、今までずっと働き詰めで、一緒にいる時間が取れていなかったので、子どもが大きくなる中、その時間を増やしたいと思うようになりました。今では子どもたちと過ごす時間も増え、彼らが様々なことを考えていることに気づくきっかけになりました。今までの働き方では得ることができない、自分にとって本当に大切な時間です。

仕事に関しては、多数のお客さんを対象とするのではなく、経営者に近いところでじっくり一人一人のお客さんに寄り添って仕事をしたいという想いをもって独立することに決めました。

働く上で大切にされていることはありますか。

コンサルティングはモノやサービスを売るわけではなく、仕事をする上で提供できるものが自分自身となるので、どれだけ自分に投資してその価値を上げていくことができるのかは常に意識しています。急激に変化する時代に置いていかれないように、証券アナリスト、米国公認会計士などの資格取得を通じて最低限の知識ベースの上に自分の経験を積み重ね続けること、何より仕事を通じて、お客さんと一緒に成長することが一番のやりがいでもあり、大切にしていることです。

現在の日本についてどのように感じていらっしゃいますか。

本当にいい国だと思います。安心安全で食べ物も品物もサービスも安くていいものが多い。しかし、常にそれがある状態なのでその凄さに麻痺してしまい、海外の人が羨む国であるのに、日本人が満足感を感じられなくなってきている面もあるのかと感じます。また、過去40~50年間、日本は皆同じ方向を向いて(良い大学を出て良い企業に入社することを目指すなど)力を発揮してきましたが、裏を返せば同じような経験を持った人材が多くなるという弱みにも繋がります。

これからは、従来と異なる視点を持つことで、日本の向かうべき姿をみつける必要があるのでないでしょうか。私も限られた範囲でしかできませんが、ベトナムから自分の失敗も成功も発信していくことで、ちょっとでも多くの人が外に目線を向けたり、海外に限らず、別の視点で物事を考えたり、別の方向に興味を持ったりしてくれるといいですね。

ベトナムで働く上での魅力は何ですか?

まだ市場が出来上がっていないベトナムには大きなチャンスがあり、自分の取れるリスクに応じて大きなリターンを狙えることが魅力的です。もちろんすべてが思い通りにいくわけではありませんが、こちらでリスクを取って挑戦したいことがある人はチャレンジしがいがあると思います。

また、ベトナム人は平均年齢が若く向上心を持って仕事や勉強をしている人が多いですし、彼らと一緒に働けることで良い刺激を受けます。彼らは自分の生活や家族を大事にすることが幸せだと思っているので、彼らの影響で私も家族を大事にすることが今まで以上に幸せだと感じるようになりました。それが今の独立にも繋がっていますし、生活していて足りないと感じることも、もちろんありますが、今は楽しく生活ができています。

お子さんと笠松さん

インタビューの感想

コンサルタントとして東南アジアで様々なプロジェクトに関わってこられた笠松さんにインタビューさせていただいて、基本的なベースを大事にしながらもいかにお客さんにあった価値を提供できるか考えていらっしゃるお姿が印象的でした。

お忙しい中、たくさんのお話をしていただきありがとうございました。

取材:11月14日 白戸 崇 (JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)

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ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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