ベトナム・ホーチミンで働く日本人~居酒屋しょうき 岡田真彦さん~
更新日:2016年9月30日 / ライター: JAC Recruitment Vietnam
今回は「居酒屋しょうき」店長の岡田真彦さんにお話をお伺いしました!ホーチミンに駐在しているサラリーマン御用達のお店。その人気を支える店長・岡田さんとはどのような人物なのでしょうか。
目次
ベトナムは「居酒屋しょうき」にとっても「僕」にとっても突然の出会い
「居酒屋しょうき」とベトナムの出会い
うちって、日本国内だと福岡にしかお店がないんですよ。だから以前は関東への出店も考えていたみたいなんですけど、ちょうど震災の時期と重なってしまったんです。それで、ちょっと一段飛ばすような形にはなるけど、「海外でやってみようか」と。で、東南アジアをいろいろまわっていく内に社長がここの物件を気に入ったんですよね。日本人も多いこの大通りでやってみたら流行るんじゃないかって。五年くらい前は居酒屋っていうのがまだなくて日本料理屋もまだまだこれからっていう感じだったんで、そういうのもあってベトナムに決めたみたいですよ。
▼居酒屋しょうきさんの公式ホームページを見ると、
確かに、博多店・太宰府店・住吉店……と福岡県内の店名が並ぶ中、
最後が「ベトナム店」になっています。
「岡田さん」とベトナムの出会い
僕はオーナーじゃなく、店長として日本の会社から派遣されてきてるんです。ただまあその辞令が突然で。ある日、社長からメールで「今度ベトナムに店出すことになったから、岡田も行ってくれ」って。あまりに突然だったんで、「あれ、僕以外に岡田っていたんだ」って思いましたね(笑)まさか自分のことだとは思わなかったんです。そのメールから二か月くらいでベトナムに来ることになったんですよね。一度日本に帰ったりもしたんですけどね、いろいろあってまた来ることになって、今に至ります(笑)
最初は敬遠していたベトナム
四年が経った今、「帰りたいと思うことはない」
ベトナムって聞いた時、最初は敬遠していたんですよ。僕も旅行は好きですけど、東南アジアは来たことがなかったし。食べ物とか言葉とか不安だらけでしたね。
正直に言うと、お店やっててイライラすることもあったんですよ。明らかに違う分量のおたまを持ってきて「自分は正しい」って言い張ったりね。注文の間違いもありますし。ただまあうちの会社って、「帰りたい」って言えば全然帰らせてくれるような会社なんですよ。日本にもベトナムで働いてみたいっていうスタッフ結構多いみたいで。だから帰ろうと思えばいつでも帰れる。ただ、四年間ここにいて「帰りたい」と思ったことはないですね。会社の都合で何か起こらない限りは帰らないと思います。
居酒屋は「できるからやる。好きとかそういうのではないです」
居酒屋の仕事は好きでやってるというよりは、ずっとやってきたことだからやってるっていう感じですね。自分に向いているとも思いませんし(笑)食べるのが好きとか人と話すのが好きとか尽くすのが好きとか、そういう人が向いてるんだと思うんですけど、自分は必ずしもそうではないので。僕ね、調理ができないんですよ。魚は触れないですし。食べ比べてどっちがおいしいかっていうのはわかっても、何がどうおいしいのかっていうのはわからないんですよね。今は店舗にもう一人日本人がいて、調理をやってくれているので分業体制のような感じで。非常に助かってます。もう一人の日本人はお客さんと話すの嫌いなんで、お互いちょうどいいですね(笑)
日本食はほとんど食べない。
僕はベトナム料理めっちゃ食べますよ!安いんで(笑)ナンプラーもパクチーもいけますし、大体なんでも食べますね。ナンプラー最初は苦手だったんですけどね。店に帰ってきた時点でわかるんですよ。「くさい」って(笑)それが今ではないと困るくらいよく食べます。ただ、こっちの人がよく食べる臭いのきついソースがあるんですけど、それはダメですね。僕ちょっと品があるんで、くさいものは食べられないんですよ(笑)
ベトナム料理はとにかく安い!
ローカルの屋台なんか行くと、2万5千ドン(約120円)でお腹いっぱい食べられるじゃないですか。何種類か並んでる中からおかずを選んだら、あとはご飯とスープが出て。こっちに長くいると円に換算しなくなるんですよ。「10万ドンか、高いな」みたいな。お金に困ってるわけではないんですけど、食べ慣れてればマズいわけでもないし、安く食べられるならそっち(ベトナム料理)でいいじゃんって思いますね。
ベトナム人も日本人も一長一短。どっちも必要。
日本人は社交辞令が多いですけど、ベトナム人って自分の気持ちに素直なんですよね。例えば、「お前そこ座らんで働けよー」って注意したら「はぁーい…」って言いながらもちゃんと働くのが、慣れるとかわいく見えたり(笑)まあ仕事のことで言えば、、ベトナム人を増やした方がお店のためにはなるかなっていう感じですね。日本人雇う方が給料高くなりますから。
ここ二年くらいで、ベトナム人の働くスタンスっていうのが変わってきたように感じています。今までは頼まれた仕事しかやらなかったのが、例えばキッチン担当の人でも手が空けば洗い場の仕事もしてくれるようになったり。日本だと当たり前のようなことですけど、ここまで来るのに結構苦労があったんですよ。ただ、一人の人がいろんな仕事をするっていう方が働く人数は少なくて済むし、従業員も暇な時間が減る。そういうのをみんながだんだん理解してきて、今に至るっていう感じですね。
コミュニケーションは基本的に「日本語」
うちはスタッフが意外と辞めなくて。オープニング当初からずっと働いてるスタッフも結構いるんですよ。ベトナム語は上手く喋れないんですけど、付き合いが長いんでわかってくれるんです。昔は通訳を雇ってたこともあるんですけど、そこまで必要じゃないなって。二か月に一回くらいは「ごめん、ちょっとそれもう一回説明して」みたいなこともあるんですけど、それくらいなので。その時だけちょっと頑張ればいいかなって感じです。
僕は「無趣味」ですね
オープニング当初は本当に休みがなかったんですよ。だからまあ、仕事が終わってから飲みに行ったりしたくらいですかね。あと、ベトナムってきれいなカフェが多いので、そういうところにはよく行きました。みなさんがされてるようなゴルフとかテニスとかスポーツはしないです。昔ダンスやってたんですけど、二年くらいに久しぶりにやってケガをしたので。「あ、もうやっちゃダメだな」って思いましたね(笑)ああでも歌うのは好きで、ベトナム語の曲も四曲か五曲は歌えます。そういうの歌うとうちのスタッフも盛り上がるんですよ。
ものすごく怒ってるお客さんが来ると「テンションが上がる」
そういうお客さんって後々いいお客さんに変わることが結構あるんですよ。たとえば、お店が混んできた時に「俺帰るから、ここ誰か入れていいよ」って席を空けてくれたりとか。だから怒ってるお客さんがいると「あ、これ来たね久しぶりに」ってちょっとテンション上がりますね。ただまあ上手くいかないことももちろんあって。「あ、失敗した。ちょっとレベル高かったな」って思うこともあります(笑)始めた当初は怒られてばっかりだったのが「あれ、俺そういえば誰からも呼ばれてない」って気付いた時はちょっと嬉しかったですね。
今後は「会社の希望に向かってコツコツやっていく」
僕は飲食店に対してそれほど熱があるわけではなくて、独立しようとかそういうことも考えてないんです。ただ、会社としてはどんどん店舗を展開していきたいということなので、それに向かってやっていこうかなと。自分の将来についてはあんまり考えてないですね。今やれることをゆっくりやっていこうかな、って思ってます。
以前、お客さんとして見た岡田さんとは全然違って見えました。お客さんに好かれる人懐っこい笑顔を支えているのは、店長としての責任であり日本人としての葛藤であり自分への厳しさ。優しいだけではやっていけない。両面を兼ね備えている岡田さんがいるからこそ、今日の「居酒屋しょうき」があるのだと感じました。
岡田さん、お忙しい中お時間を頂きありがとうございます!
取材:坂口史歩(JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)