ベトナム・ホーチミンで働く日本人~RENAISSANCE RIVERSIDE HOTEL SAIGON 小郷みどりさん~
更新日:2017年7月5日 (取材日:2017年5月26日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam
RENAISSANCE RIVERSIDE HOTEL SAIGON で日本企業への営業を行っている小郷みどりさん。日本で旅行会社に勤務した後、オーストラリアで19年過ごし2013年に渡越されました。旅行業、航空業を経てベトナムでは宿泊業に従事している小郷さんに、行動力の源についてお話をお伺いしました。
目次
永住権を取得したオーストラリア時代
オーストラリアに行ったきっかけを教えてください
オーストラリアに行くきっかけは、大学卒業後就職した旅行代理店で海外部署を希望していたのですが、英語力不足で選抜にもれたことと、業務の中で語学力が原因での大きな失敗という2つでした。まずは英語をマスターする目的で海外留学を決めました。
24歳で日本を出て、その後オーストラリアには19年滞在しました。
オーストラリアではどのような生活をしていたのですか?
始めは語学学校に通っていたのですが、日本人を含む英語が第2外国語の学生達の中で過ごすことでは、意思の弱い私にとってハングリーに英語を学ぶことができないと判断し、現地オーストラリア人が通うビジネススクール(専門学校)に転校、そこではトラベルツーリズムを勉強しました。
卒業後も自分の英語力に納得できていなかったのもありますが、今度は海外で仕事をする機会につなげていきたいという目的で、一旦ワーキングホリデービザに変更しました。
その際は語学学校内の旅行代理店で短期・長期留学生の受け入れに携わり、ホストファミリーの選択や現地校と日本の学校のエクスチェンジプログラムを作ったりしました。
その後、縁あってビジネス就労ビザをスポンサーしてくださる機会をいただき、日系旅行代理店でアウトバウンド業をしながらの営業業務をしていました。
次はまた縁あって日系旅行代理店で日系企業様担当のアウトバウンドの課長をしていました。
その後、オーストラリアのOTA企業で日本語のページを立ち上げるためのスターティングメンバーとして選んでいただき、ラッキーにも永住権取得のスポンサーシップもしてもらいました。
添乗員を含む旅行業全般を経験後、次の目的であったエアラインへの就職がかない、最初はブリティッシュエアウェイズ、その後はエールフランス・KLMオランダ航空にて働きました。
オーストラリアを出るきっかけは何だったんですか?
2013年頃、日本に住んでいる両親が歳を重ね心配になってきたことと、もはや19年も住み第2の故郷になったオーストラリアでの生ぬるい生活にカツをいれたかったこともあって、日本にちょっとでも近く、今までにない体験をできる場所に行くことを決心しました。
自分で納得しない限りは諦めない
ベトナムを選んだ理由はなんですか?
まずは日本に近い、そして先進国ではなくまだ未完成で、まさに過渡期のホーチミンにエネルギーをすごく感じたことです。さらに、平均年齢26歳という若い国で自分を是非試したいという理由で選びました。
自身の職歴は一環してホスピタリティー業務でしたので、自信を持って売り込めるのは同業種と判断しましたが、今まで仕事上ではよく繋がりのあったホテル業界にはまだ踏み込めていなかったので大いに興味を持ち、今までの経験を生かして次の目標のホテル業界に是非入ろうとおもいました。
他のアジアの国に行くことは考えなかったのですか?
考えてなかったですね。わたしは迷いに迷って決めるタイプではなくて、直感で決めてしまうタイプなので、ベトナムに行こうと思い立ってからは、他の国は考えていませんでした。
自分が大丈夫と思って取り組んでいたのが、良かったのでしょうか。
ベトナムでの生活はどうですか?
最初の頃は、ベトナム語も解らない、街も汚い、英語は通じないというカルチャーショックと知り合いもいないことでかなりへこみました。
けれどもノコノコと帰れないという自分への変な意地と、ここで働いている沢山の日本人の方々に手を差し伸べていただいたことで、2年目からは来て良かったなと思えるようになりましたし、住めないことはないという感覚に変わりました。
今では何の支障もなく住めるとさえおもっています。すごい速度で発展が進んでいるホーチミンは目に見えてとても便利になりました。こんな急成長している国はなかなか無いなと肌で感じています。とてもいいタイミングでベトナムに来たとおもっていますし、来て良かったともおもっています。
今はどのようなお仕事をされているのですか?
マリオットホテルグループの1ブランド、ルネッサンスリバーサイドホテルサイゴンで日本担当の営業をしています。数あるホテルの中からこのホテルを選んだのは、5700店舗を構える世界最大のホテルグループで自分を鍛えたかったからです。
具体的な仕事内容は日本のレジャーマーケットとコーポレートマーケットへの営業です。
日系企業様、旅行代理店様、ツアーオペレーター様への宿泊のお部屋提供だけでなく、各種パーティー、セミナーや会議の会場、ケータリングでのお料理提供など、ご依頼をいただけるよう日々努めています。
ホテルは小さな国のようで、大きな家族でもある。
オーストラリアとベトナムで働き方の違いはどのように感じますか?
オーストラリア時代は、いい意味でみな個人主義であったようにおもいます。
弱肉強食の世界でした。みんな勿論フレンドリーで楽しい環境でしたが、あっさりした関係
だと感じました。
一方、ベトナムはこの職種だからなのかもしれませんが、何十人、何百人もの人達と一緒に働いてひとつのことを成し遂げていっている感じを持ちます。
みんなと通じあって初めて仕事がうまく行く。チームワークがとても大切だと感じます。
外のお客様だけではなく、社内の人達も皆お客様とおもうくらい大切な存在であるということをベトナムでは強く感じます。家族みたいな雰囲気ですね。
ベトナムで働く上で心がけていることはありますか?
どのスタッフに対しても尊敬の心を持つことが大切だと思っています。従業員のみんなに助けてもらって初めて仕事が進むので、助けてもらうための信頼関係を築くことも心がけています。
違う国に生まれ育った者同士がひとつ屋根の下でうまく仕事をしていく、しかもここは日本でなくベトナム。私達日本人はここで働かせていただいているという感謝を忘れないようにしています。また、1人で突っ走っても絶対についてきてもらえないので、一緒に働く、一緒に頑張るという姿勢が大切だと考えます。
ベトナム人を指導する際はどのように指導していますか?
私は指導する際に絶対に怒らない、責めないようにしています。
日本人の感覚で「なんでこんなこともわからないのだろう?」ということがあったりしますが
彼らは体験したことがないから分からないだけだと思います。
「なんで何も対処しなかったのだろう?」という状況の場合、対処する必要性を感じなかったからだと思います。なので、1つづつ噛み砕いて説明することを大切にしています。
相手を絶対否定しないです。なお、説明するときは一方的にではなく、相手に自ら気づいてもらえるように持っていき、納得してもらえるように頑張っています。
ベトナムで働きたい人に一言アドバイスをお願いします。
思い立ったら吉日でまずは来てみてください。ただ、住みやすいとはいえここは日本ではないので、慣れないことや大変なことは沢山あると思うので柔軟性を持つことが大事でしょうか。
ベトナムのように親日国家は珍しいのでそこはありがたいですね。一方でベトナムをアジアで働く第一ステップにしようと考えているのであれば、他の国はベトナムほど優しくないというのは頭にいれておいたほうがいいかも知れません。
インタビューの感想
一目会った瞬間に小郷さんの纏う雰囲気を感じ、目がキラキラした日本人女性が居るとご紹介して頂いた意味が理解できました。
今ほど海外に出ることが一般的では無かった時に、海外に出た行動力であったり、取得が難しいと言われているオーストラリアの永住権を所得された経緯や努力であったり、第3の国にベトナムを選んだ理由など、お話を聞いていて興味深い内容ばかりでした。
小郷さんのように芯の通った素敵な女性になりたいです。
お忙しい中、お時間を割いて頂いた小郷さんに感謝申し上げます。
取材日:5月26日加藤真友(JAC Recruitment Vietnamインターンシップ生)