ベトナム・ハノイで働く日本人~中日本高速道路株式会社 宇野秀保さん~

ベトナム・ハノイで働く日本人~中日本高速道路株式会社 宇野秀保さん~

更新日:2017年8月23日 (取材日:2017年7月26日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam

中日本高速道路株式会社の宇野秀保さんにお話を伺いました。
約12年前に始めてベトナムに来られ、現在はベトナム事務所の所長としてベトナムでご活躍されている宇野さんのお仕事や、ベトナムでの生活の様子をぜひご覧ください。

NEXCO中日本 宇野様

NEXCO中日本 宇野様

NEXCO中日本さんの事業内容を教えてください。

中日本高速道路株式会社は、12年前に日本道路公団という機関が分割民営化された際にできた企業で、一言で言うと高速道路の事業者です。国の定める全体計画に基づいて高速道路の企画・立案を行い、施主として建設会社に発注します。また、完成後は道路の維持管理を行っており、道路がよごれている、穴があいている、事故が起こったなど、様々な場面でかけつけます。
また、我々は高速道路と利用者の仲介者としての役割を担っています。利用者は高速道路に対して様々な要望を持っていますが、この要望は時代と共にどんどん変化していくため、同じことを続けていても、利用者の満足度は下がってしまいます。高速道路を運営していく上では、その変わり行く利用者のニーズと、国家や民間企業の有する先端技術を結びつけることが必要です。
高速道路は社会インフラであり、社会経済にも影響を与えるような影響力を持っています。災害などで壊れてしまった場合に生じる影響はもちろん、インフラはニーズがあるからという理由だけで作るものではなく、ニーズをも生み出します。このような社会インフラの一部である我々の高速道路事業は、国土全体の均衡ある発展につながっています。

ベトナムでの事業内容について教えてください。

日本でのビジネスモデルと同じ事業を、ベトナムでも目指しています。しかし、海外でのインフラ産業には難しい側面があります。そもそも我々の商品、つまり道路は数が少ないためマーケットが限られている上、インフラのもたらす影響は国家規模で、安全保障が重要となるので、今のところ我々を含めた外資系企業はベトナムの新規道路事業には参入できていない状況です。そんな中、2017年6月4日に、NEXCO中日本はベトナムのFECON社と「戦略的パートナーシップ協定」を締結しました。この協定によって、既存の有料道路を運営する会社の株の一部を取得して、経営に参画していくことが可能となりました。駐在員事務所の開設10年目にして、ようやく新たな局面に達しました。
また、コンサルタント業も行っています。道路の事業者としてではなく、コンサルタントとして、特定の分野において我々の持つ技術や経験、ノウハウをお伝えしています。

宇野さんのベトナムでのお仕事内容について教えてください。

2015年4月から、NEXCO中日本ベトナム事務所の所長として駐在しています。
この事務所では、私を含めて2名の日本人と、2名のベトナム人秘書スタッフが働いています。
主な業務は情報収集活動です。新規や既存の道路の調査はもちろん、ベトナム国内での道路に対するニーズの変化や、経済発展状況によるコストに対する意識の変化にキャッチアップしていかなければなりません。また、コンサルタント事業で日本から来ているスタッフが、こちらでストレスなく働けるようにサポートも行っています。
駐在しているのは2年前からですが、私が始めてベトナムに来たのは、約12年前です。日本道路公団の分割民営化から2年後、2006年の秋ごろに会社の初めての海外事業として、ベトナムでコンサルタント事業に参画した際に、派遣されたのが一番最初でした。その時はダナンで2,3ヶ月ほどコンサルタントとして働いたのですが、ハノイも何度か訪れました。一度日本に帰国しましたが、その後ホーチミンでのコンサルタントとしての仕事や、駐在員事務所の立ち上げ作業で日本とベトナムを何度か行き来し、2年前から念願叶ってこの駐在員事務所で働いています。

ベトナム人秘書スタッフの方々と

ベトナム人秘書スタッフの方々と

ベトナムで働きたいと思ったきっかけはなんですか?

ベトナムに来るまでは、ベトナムに対して戦争の暗いイメージしか持っておらず、なんの予備知識もない状態でした。ハノイとホーチミンの名前を聞いたことはありましたが、ダナンは当時全く有名ではなく、空港に降り立った時は不安に感じたのを覚えています。空港もその当時は、今の新しいものではなく、昔の空港でした。しかし実際に来てみると、ダナンが好きになりました。というのも、ダナンは自分の生まれ故郷のような場所だと感じたんです。私は愛媛県出身なのですが、愛媛県には海、山、川が揃っていて、住んでいる人々も優しいです。瀬戸内海に面した港町があり、おいしいシーフードを楽しむことができるのですが、それと全く同じ風景がダナンにもあります。ハノイとホーチミンも訪れ、いいところだと思っていたので、念願かなった今は、ベトナムで毎日楽しく仕事をしています。

ベトナムで働いてみて気づいたことはありますか?

私は、今のベトナムには古きよき時代の日本があると思っています。現在のベトナムは経済成長率6.5%で、国全体がどんどん発展しています。それに伴い人々の暮らしもどんどん変化して行っており、みんなが今この現状を楽しみながら上を向いている状況です。私が始めてベトナムに来た12年前どころか、1ヶ月前と今ではすでに街の様子も変わっています。現在日本は先進国と呼ばれていますが、昔は発展途上国でした。戦後の貧しい時代から、海外からの援助も受けながら現在に至るまで成長してきたのですが、私が約40年前に幼心で見ていた日本の姿が、今現在のベトナムにあると思います。また、私は日本の企業として、道路というベトナムの社会インフラに携わっています。経済成長を肌で感じつつ、ベトナムの発展をこの目で見ながら、私自身が会社としてやっていることもこの国の発展に役立っていると思うと、毎日わくわくしながらベトナムでの生活を送っています。

ベトナムで事業を展開している理由はありますか?

ベトナムに駐在員事務所が設立されて10年ですが、当時も今もベトナムという国には将来性があると考えています。
外国での仕事の場合、その仕事がその国にとって役に立つかどうかが重要です。ベトナムで事業を展開するにあたって、自分たちが利益をあげることももちろん重要ですが、まずはその国の発展に会社として貢献し、国と共に会社も発展していくことを志しています。
現在海外で道路事業を展開しているのは、ベトナムとアメリカの2カ国で、アメリカはまだ勉強し始めたところです。この2カ国以外は考えていないわけではなく、チャンスがあればどの国にも進出していくつもりです。

宇野さんのベトナムでの生活について教えてください。

せっかくベトナムで暮らすことのできる貴重な機会なので、なるべく現地に溶け込んだ生活を送りたいと思っています。移動には路線バスやバイクタクシーを使ったり、ベトナム人と肩を並べて低い椅子に座ってローカルなベトナム料理を食べたりしています。ハノイの街は活気があり、昨日と今日でいたるところが変化しています。そんな刺激的で面白い場所なので、休みの日はなるべく外に出て、人間観察をしながらベトナムの生活をながめていることが多いです。その一方で、1日中日本のテレビを見ながら過ごすこともあります。もちろん日本と比べると不便なところもありますが、トータルでみるとベトナムは暮らしやすく、居心地の良い国だと思います。

生活してみて気づいた、ベトナムのいいところはありますか?

人間関係が密なところです。物理的にも気持ち的にも、日本にいた時よりも人と人との距離が近いように感じます。ベトナム人は基本的に優しく、知り合いでもないのに急に話しかけられて、そこから友達になることもあります。ベトナムに来てから、とても嬉しかった思い出があります。駐在員として着任してすぐの頃、タクシーの中に財布を置き忘れてしまったことがありました。自分の住んでいるサービスアパートメントのレセプションに着いてからそのことに気づき、幸いレシートをもらっていたので、レセプションからドライバーに連絡してもらったのですが、財布はもう返ってこないだろうと諦めていました。しかし15分くらい経った時に、財布がそのままの状態で返ってきたんです。その時は本当に感動しました。
ベトナムに住んでいる他の日本人の方からも、ベトナムはアジアで最も住みやすいという話をよく聞きます。

感想

普段何気なく利用しており、多くの人にとって身近なものである高速道路の事業者として、NEXCO中日本さんがどのような存在なのかについて、インタビューを通じて学ぶことができました。高速道路を含めた社会のインフラについて改めて知り、考えることのできたとても貴重な機会でした。
「ベトナムの成長をこの目で見ながら、さらにこの国の発展に役立てていることにわくわくする」という宇野さんのお言葉を聞いて、私自身も“今“のベトナムを体感しながら、生活していきたいと思いました。

お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました!

取材日:7月26日 坂本詩歩(JAC Recruitment インターンシップ生)

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ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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