ベトナム・ホーチミンで働く日本人~Naturally Plus Vietnam 保阪盛次さん~
更新日:2016年12月14日 (取材日:2016年11月14日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam
現在、Naturally Plus VietnamでGeneral Managerとして会社を経営されている保阪盛次さん。アメリカの大学を卒業後、日本の動物病院で2年間勤められ、その後マレーシア・フィリピン・ベトナムと渡り歩き、現地採用から2回の現地法人立ち上げを経て、現在ベトナムでお仕事をされています。各国を飛び回る中で、海外で働くことや現在のお仕事で大切にしていることをお伺いしました。
アメリカ、日本を経てマレーシアへ
なぜアメリカの大学に進学されたのでしょうか?
高校を卒業して、水産系の大学に入学したのですが、1年経ったときに自分のやりたいこととは少し違うこともあり、大学を辞めました。親の勧めもあり、「もう一度日本で大学受験するよりも可能性が広がるのではないか」と考えて、アメリカ進学を決めました。2年制の大学に入学し一般教養を学び、その後自分の好きな動物関係を学ぼうと野生動物学部のある4年制大学に編入しました。
卒業後はどうされたのですか?
もともと海外志向ではなかったことや大学で動物介護学を学んだこともあり、卒業後は日本で動物看護師として動物病院に勤めることにしました。しかし、2年間働きながら、自分のキャリアのことについて考えたり、好きだった動物にビジネスの対象として接していることが徐々に嫌になり、転職を考えていました。英語を活かすために東南アジアでの就職も視野に入れる中、ちょうどマレーシアにいる知人と話をする機会がありました。それがきっかけで「ダメだったら帰ってこよう」と決心し、実際にマレーシアに行って転職活動をすることにしました。結果的に、そこで縁があった会社が今勤めているナチュラリープラスです。日本で健康促進関連の商品を販売している会社で、当時東南アジアの進出を推し進めている最中だったので、何かおもしろいうことができそうだという気持ちもあり入社を決めました。
2カ国で2回の現地法人立ち上げ経験
マレーシアではどのようにお仕事をなさっていたのですか?
最初はマレーシア人の同僚たちとカスタマーサービスの仕事をしていましたが、言語や新しい環境ということでコミュニケーションの面で苦労しました。しかし、マレーシアは複数の民族が共存していることもあり、互いの文化、宗教を尊重し合いながら働いていました。
また、タイの立ち上げやフィリピンでの立ち上げ計画があったので、何度か現地に赴き、サポートや市場調査等もしていました。そして、マレーシアで3年働いた後に、フィリピンの立ち上げを本格的に任され、マレーシアからフィリピンに移りました。
フィリピンではどのようにして現地法人を立ち上げたのですか?
まずは、仮のオフィスを見つけて人事と会計の人材を採用し、コンサルタントを使ってフィリピンの法律に合ったビジネスの確認や領収書のフォーマットや法律の調査、帳票類などの作成、製品の物流や倉庫を決めたり、初めての経験だったので大変苦労しました。
その中でも特に何に一番苦労しましたか?
人事や会計関係に関してはまったくの素人だったので、一番苦労しました。特に、フィリピンでは給料交渉が頻繁にあり、立ち上げ段階で売上が出ない中、何回も話し合って給料体制について交渉していきました。経験がなかった分、失敗してそこから学んで次に活かすというまさに試行錯誤の連続でした。フィリピンの立ち上げが完了する前に、ベトナムでの立ち上げを任されたので、結局1年ほどしかフィリピンにはいませんでした。
-また立ち上げに関わるんですね!
ベトナムでの立ち上げではフィリピンとの違いはありましたか?
フィリピンとの違いは英語がそこまで通じないということです。フィリピンでは英語ができれば、基本的に何でも一人でできてしまうのですが、ベトナムはフィリピンほど英語が使われておらず、得られる情報が少なかったです。なので、すぐにスタッフを採用して、仕事を共有することから始めました。また、ベトナムは社会主義ということもあり、制限が多く、その点での特殊性はあったと思います。しかし、今までは自分で抱え込んでいた情報も共有することで、以前よりも効率的に仕事を進められるようになり、ベトナムでは、7ヶ月で支社を立ち上げることができました。
現在とこの先について
現在は立ち上げられた会社で経営もされていらっしゃる保阪さんですが、立ち上げとはまた違った難しさや、やりがいを感じますか?
製品を買ってくれるのはあくまでもベトナムのお客さんで、「人」なので、いかに自分たちがその「人」に対して満足できるサービスを行えるかということに、難しさとやりがいを感じています。例えば、お客さんやサービスに対する考えをスタッフに浸透させて、どこでも誰でも同じサービスを提供することは難しいですね。あくまで立ち上げは準備段階で、営業することでたくさんのベトナムのお客さんとも関わりができて、初めてベトナム人としっかり向き合って仕事をしているという実感があります。
3カ国でお仕事をされてきて、海外でお仕事をするにあたって意識している点はありますか?
国によってもちろん文化、風習、生活の違いで考え方や接し方が異なることはありますが、結局はどの国で何をするにしても「人対人」の関係が基本なので、一緒に仕事をする人自身をきちんとみるようにしています。今は、スタッフ一人ひとりに対して「何にモチベーションがあがるのか、得意なことは何か」を見つけて、伸ばしてあげられるような仕組みや環境を作れるようにしたいと考えています。
働く上でベトナムと日本で違うことはありますか?
自分自身が仕事に対してポジティブにいれば、どこで働いていても変わらないと考えていますが、日本ではサービスや仕組みがもう確立されている一方で、ベトナムではまだ制度が整っていないこともあり、やりたくても出来ないことがあることが違いだと思います。なので、「出来ないながらも、何かに変えていこう」とすることや「出来ないことを出来る」に変えていこうとすることが好きな人にとってはとても面白い環境ではないでしょうか。
これからのビジョンについて
今一緒に仕事しているスタッフやお客様を含めて一人でも幸せに、満足して生活できるようにしていきたいです。体の健康だけではなく、社会的健康、経済的健康をこのサービスを通して提供し、大きな一つのコミュニティを作り、そこから何かベトナムに還元できるような楽しいことをしていきたいです。
ベトナムで働きたいと思っている方にアドバイスをお願いします。
思いつきがあるのなら、それを行動に起こすことは大切だと思います。自由に動ける時間があればそれを使わない手はないですし、どんな小さなことでもいいので、しっかり明確な目標を持ってベトナムに来ることが大事だと思います。出来るチャンスがあるうちに、ぜひ行動を起こしてみてください。自分の価値が最も提供できる仕事がベトナムにあるかもしれません。
インタビューの感想
自分のやりたいことや信念に忠実に行動されている保阪さん。お話を聞かせていただいている中で、ベトナム人のスタッフやお客さんに対して真摯に向き合ってお仕事されている姿が印象的でした。
お忙しい中、お時間を割いていただいた保阪さんに感謝申し上げます。
取材:11月14日 白戸 崇 (JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)