JBAH(ホーチミン市日本商工会)社会貢献委員会インタビュー~我々の事業と生活の場であるベトナム社会にチャリティバザーを通して恩返しがしたい~
更新日:2015年11月12日 / ライター: ベトナム生活・観光情報ナビ編集部
毎年、ホーチミン日本商工会(JBAH)が開催してきた「JBAHチャリティバザー」は、日本人社会だけでなく、ベトナム人の間でもよく知られており、すっかり年中行事として定着しています。20年目を迎えた今年は、装いも新たに、11月14日・15日に開催される「ジャパンフェスティバル」の中で、開催されることになりました。このバザーを運営するJBAH・社会貢献委員会の高野正秀委員長(ベトナム住友商事)にお話をお伺いしました。
ベトナム社会への貢献は、商工会活動の柱の1つ
ベトナム生活・観光情報ナビ(以下、ベトナビ) お恥ずかしながら、今回の取材をするまで、JBAHが毎年多額の寄付金をベトナムの貧しい人に寄付していること、そしてその最大の財源がこのチャリティバザーであることを、知りませんでした。昨年は約800万円の寄付をされたそうですね。
高野正秀委員長(以下、高野さん) そうなんです。JBAHの活動には4つの大きな活動があります。それは何かというと、「会員同士の情報交換・親睦」「投資・事業環境の改善」「現地日本人社会への協力」、それから「ベトナム社会への貢献と交流促進」です。チャリティバザーは、この4つ目の活動の一環です。我々の事業と生活の場であるベトナム社会に、何か恩返しができないかという趣旨で始められました。昨年の寄付金800万円のうち、9割にあたる約700万円が、チャリティバザーからの収益です。これまでの19年間で寄付した総額は、1億円程度にはなるでしょう。
ベトナビ チャリティバザー以外には、どんな方法で寄付金を集めているのですか?
高野さん バザーに次いで大きな収益源は、JBAH内で行われるチャリティゴルフコンペです。JBAHは、業種別に12の部会に分かれています。部会内、または部会対抗で行われるゴルフコンペの際に、参加された会員企業や個人の方から、いろんな形で寄付を頂いています。
チャリティバザーはボランティアで運営されている
ベトナビ チャリティバザーを開催するには、経費もかかると思います。当日、品物を販売するスタッフの人件費、警備にかかる費用など。これはどのようにして賄われているのですか?
高野さん 実は、JBAH会員各社や、当地の婦人団体であるアオザイ会さん、そしてスポンサーとして出展してくださる日系企業各社に至まで、ボランティアで運営しているのです。昨年まで会場にしていたグエンユー体育館の使用料など、どうしても実費が発生してしまうもの以外、バザーによる売り上げは、すべて寄付金に回しています。
ベトナビ バザー開催するには、事前の打ち合わせ、会場の設営、物品の搬入、当日の運営など、大変な手間と時間がかかると思いますが、それがすべてボランティアとは驚きました。
高野さん これを聞かれた方は、皆さん、驚かれます。このチャリティバザーは、軽く100人を超える方々の無償の協力があって成り立っているのです。準備にも時間がかかります。運営の中心となる社会貢献委員会では、5月から毎月1回、十数人のメンバーが定例会合を開き、準備を進めてきたんですよ。
ベトナビ 寄付金を集めるだけなら、手間暇がかかるチャリティバザーでなくても、もっと効率の良い方法があるのではないでしょうか?
高野さん 確かにおっしゃる通りです。しかし我々JBAHとしては「単にお金を渡して終わり」という形にはしたくないのです。我々が「ベトナム社会への貢献活動」をする際のキーワードが2つあります。一つは「我々自身も汗をかく」こと、そしてもう一つは「相手の顔が見える支援」です。寄付金の額が多ければ多いほどいいのは事実です。しかし我々は、金額の多寡以上に、この2つのキーワードを重要視していると言っていいでしょう。チャリティバザーという場を通じて得られる、ベトナムの人々との交流も大切だと考えています。
より大きな成果をあげるために2つの刷新
ベトナビ そうなんですね。ところで、今年は時期も場所も変えて、ジャパンフェスティバル内で開催されることになりました。これは、どうしてですか?
高野さん ジャパンフェスティバルは今年で3回目。当地で開かれる日越交流イベントとしては、最大規模のものです。昨年は10万人を超える来場者がありました。せっかくこれだけたくさんのベトナムの方が集まるイベントがあるのだから、我々JBAHが単独で開催するより、さらに大きな成果が上がるのではないか、また、より多くのベトナムの方々に、JBAHの活動を知っていただけるのではないかと考えたのです。ジャパンフェスティバル事務局にも、多大な協力をお約束頂き、今回の決定となりました。
ベトナビ 本年度は、寄付金の使い道も変わると聞きました。
高野さん 昨年までは医療機関に寄付し、経済的に恵まれない子供たちの医療費に使われていました。これを長期間続けていた経緯があり、本年度、見直しをしました。これまでの経緯を尊重しつつも、「我々日本企業が支援することの意味」を、ゼロから議論し直したのです。結論として「日本語教師の育成支援」と「貧困支援」を中心に資金を提供することにしました。
ベトナビ 外からはなかなか見えませんが、JBAH内部では、いろんな活動が行われているのですね。その努力が実って、バザーにたくさんの来場者があることを、お祈りしています。
高野さん 協力してくださった多くの方々、そしてスポンサーとして参加を決めてくださった日系企業のためにも、ぜひ大きな成果を上げたいと考えています。
ベトナビ 本日はありがとうございました。
ライター情報
ベトナム生活・観光情報ナビ編集部
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