ベトナム・ホーチミンで働く日本人~日本語教師 矢野周平さん~
更新日:2017年11月15日 (取材日:2017年9月10日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam
6年前にベトナムに転職され、現在は日本語教師として働いていらっしゃる矢野周平さん。大学での講義、日本語学校や私塾で教育をされていて感じる他言語教育についてなどについて詳しくお伺いしました。
目次
話すための教育
今のお仕事について詳しく教えてください。
夕方から夜まで自宅で日本語の塾を開いており、他の時間は大学で日本語を教えたり、会社に行って日本語や文化、習慣を教えたりしています。生徒は20代前半の方が多く、日本で働くために日本語を勉強している方もいますが、周りで日本語を勉強している方の影響や趣味で勉強を始める方が多いと最近は感じます。
お仕事のやりがいは何ですか。
私が教えた生徒が実際に日本語を使用して働いた時に周囲の人から「仕事が出来る」といわれている事や日本語を話せるレベルが上達した時ですね。私は自分が日本語を教えるのが好きで日本語教師をしているのではなく、生徒の日本語が上手になればいいというモットーで仕事をしているので、うまく授業が出来た時にやりがいを感じることは無いですね。
日本語を教える際に難しいことは何ですか。
話せるようになるための勉強法を理解させることです。文法や漢字などを勉強することは大切ですが、それは直接的に日本語を話せる勉強には繋がらず、話せるようになるためには聞くことの方が大事です。授業の中で話している内容を聞いて日本人が実際の会話で使う言い回しなどを学ぶことが話せるようになる一番の近道です。実際の会話では教科書に載っている例文のような会話にならないことがほとんどですし、会話というのは相手の言葉を聞いて言葉を返すということなので、私の授業では文法などは触れず、各自で自習してもらい、日本人の言い回しや表現などを教えています。
コミュニケーション能力のある人材を育てたい
なぜベトナムに来られたのですか?
日本で生活していた時は叔父の介護の仕事を手伝ったり、マッサージの仕事をしたりしていました。6年前、39歳だった時にこのまま人生を過ごしたら、死ぬときにどうしてこんな仕事をしたのかと思う事が嫌だと感じ、海外に住もうと思いました。私は海外転職に期待も不安も無かったのですが、家族は心配や不安な気持ちがあったので、しっかりと自分の意思を伝えてから転職活動に至りました。そして、海外に転職する際に何か資格が必要だと思い、体力的な問題や資格取得までにかかる時間について考え、日本語教師という仕事を選びました。正直なところ国はどこでも良かったのですが、たまたま日本語教師養成学校に通っていた頃、ベトナムで日本語教師をしてみないかと言われ、ベトナムに決めました。
なぜ日本語教師を続けられているのですか。
私はベトナムに来て、日本語教師以外の仕事をしていた経験から、ベトナム人を採用している経営者に会って話し、どういうベトナム人の人材が欲しいかという話をしました。その際に、コミュニケーションが取れるベトナム人人材が欲しいという意見を多数耳にし、私がベトナム人のコミュニケーション能力を上げ必要とされる人材を育てようと考え、現在この職業をしています。
奥様がベトナム人とお聞きしたのですが、結婚して大変なことはありましたか?
私の妻はベトナム人ですが、私もベトナム語やベトナムの文化、慣習などについてある程度研究しており、日本の方と結婚したとしても同じようにどこかで苦労することもきっとあるはずなので、特に大変なことはありませんね。国や文化の違いであっても、お互いに歩み寄って生活していくことが一番大切なことであると思います。
自分がしたいことを素直に
転職される方にアドバイスはありますか。
転職先を考えるときに待遇や収入などを気にするよりも、自分に素直になって本当にやりたいことに対し、一貫性を持って挑戦した方が良いと思います。なぜなら、状況というのは変化していくものであるし、人間はやりたいことがその都度変わってしまうのでその気持ちの流れに従うほうがいいと思います。ベトナムは日本よりも世間の変化の流れが速く、だいたいベトナムに来て失敗してしまう方はその流れに乗れず、佇もうとしてしまう方な気がしますね。
日本語教師という職業を選んで良かったですか。
今のところ良い選択をしたと思っています。なぜなら、今までの人生で後悔をしたことが無いからです。過去の自分の決断を後悔しても、きっともう一度同じ場面に遭遇しても同じ道を歩んでいたと思うので、後悔よりも次に来る未来の決断に力を注いでいきたいですね。
インタビューの感想
人生の生き方にとても柔軟性がある方で、ベトナムの方がいかに日本語でコミュニケーションが取れるようになるかというところに尽力されているところが素敵でした。海外で転職し、生活していくには世の中の流れに沿って行動していくことも重要だと学ぶことが出来ました。
お忙しいところ、お時間を割いて頂いた矢野さんに感謝申し上げます。
取材日:9月10日 中本 綾香(JAC Recruitment Vietnamインターンシップ生)