ベトナム・ホーチミンで働く日本人~日本オリエンテーション 松本勝英さん~

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~日本オリエンテーション 松本勝英さん~

更新日:2016年10月4日 / ライター: JAC Recruitment Vietnam

大学を卒業し、ドイツの会社に入社、その後独学でマーケティングを学び、1970年にマーケティング・コンサルティングを研究、開発する「日本オリエンテーション」を設立した松本さん。現在は、日本でマーケティングセミナーを行う傍ら、ベトナムを拠点に様々な事業をサポート、展開しておられます。今回は、松本さんが今まで行ってきたコンサルティングや、ベトナムの魅力について幅広いお話をお伺いすることが出来ました。

日本オリエンテーション 松本勝英さん

日本オリエンテーション 松本勝英さん

マーケティングの道

Qなぜ、マーケティングを研究開発する会社を設立しようと思われたのですか?

設立当時、日本ではまだマーケティングの概念が確立されてなかったからです。
その頃は新しい価値を創造するマーケティングよりも、“製造・販売”の時代でした。製品をどのようにして大量に安く製造するか、製品をどう販売するかが重要視されていました。
独学でマーケティングを学ぶ中で、これからはマーケティングを研究開発する必要性があると感じました。まだ製造販売の時代でマーケティングをする人も少なかったため、好機だと思い、28歳の時マーケティング・コンサルティングを業務とする「日本オリエンテーション」という会社を設立しました。

Q松本さんはどのような業務をされているのですか?

新商品戦略の立案を担当しています。企業のコンサルティングやカウンセリングを行い、食品、トイレタリ―商品、薬品、家電製品、ミュージシャン、出版などパッケージ商品、耐久消費財およびサービス商品のマーケティングなど今まで200社をコンサルティングしました。特に食料品メーカーの商品開発が多く、ロッテではガム、チョコレート、キャンディーその他すべてのお菓子を、味の素では店甘味料の指導などしてきましたが、一社一社と向き合い真剣に考えているので夢にまでプロジェクトが出てくる時があります。
また、自身のコンサルティング経験を元にして、「商品開発プログラムのたて方」というマーケティングセミナーを年に4回行っています。

Q消費者を理解するためにしていることはありますか?

他の学問を学ぶべきだと考えています。そのため、動物としての人間を理解するための「動物行動学」や人間の深層を理解するための「深層心理学」、他にも民族学、言語学などを統合した「新人間学」をマーケティングにどう生かすか日々追及して、独自のマーケティングを構築する努力をしています。

若い人たちに恩返し

Qベトナムではどのようなことをされていますか?

実はベトナムには仕事で来ているわけはありません。若い人達を触発するボールになるよう自身が今まで得たものを若い人たちに伝授する「ギブバック」を行うために来ています。主にベトナム日本語学校の学生にマーケティングを教えています。またベトナムで起業したい人達から相談を受け、アドバイスに応え、時には営業同行もしています。他にもホーチミンとハノイとダナンでマーケティング塾や、起業塾を行っています。
私は日本の仕事1/3、ベトナムの仕事1/3、残りは自分の好きなことにエネルギーを注ぐように心がけていますが、最近はベトナムの割合が多いです。しかし70歳を超えても好きな仕事が出来、「ギブバック」で夢と希望を持っている若い人と繋がることが出来ますし、マイペースに遊び、学び、仕事が出来ている私は幸せだと思います。

ハノイでの起業塾

ハノイでの起業塾

Q現在、ベトナムではどのようなプロジェクトをサポートしていますか?

現在は取り組んでいることは、ベトナム人に日本の食を食べてもらおうと「おいしい日本ワクワクドキドキ」というプロジェクトを立ち上げています。
日本の食をベトナム人が購入し易い価格で販売するプロジェクトで、今回はコロッケを屋台で販売しています。コロッケはおかずにもおつまみにもお菓子にもなる食材です。つまり、食べる時間が昼のみならず、一日中いつでも食べることが出来、この屋台を100店舗展開しようと考えています。朝6時から夜6時まで営業し、二回ローテンションで4人雇用が可能です。これを100店舗展開すると、400人の女性を雇うことが出来ます。夜遅くまで赤ちゃんを抱え、宝くじなど売っている女性がいますが、これをなくせるように雇用したいです。経営の面でまだまだ改善しなければならないことはあるけれど、様々な企業に試食してもらい、ベトナム人含めみんなに美味しいと言ってもらえているので順調にスタートを切れたかなと思っています。

「コロッケ最高!」の仲間たち

「コロッケ最高!」の仲間たち

ベトナムの可能性

Q今後ベトナムでどのようなことをする予定ですか?

主に農業改革に取り組みたいです。
ベトナムには農業の安全性に問題があります。衛生面での管理が甘く、食中毒などのリスクが高くなっています。また有機農業で作られたモノは、農薬で作られた3倍もの値段がします。そのため値段を高くしない且つ、生産を向上させる方法「BLOF」という有機農業を推進したいと考えています
また、それらを農業の改革をしたいと考えるベトナム人と共に進め、広めていきたいと考えます。

Qこれからのベトナムについてどのようにお考えですか?

現在ベトナムのビジネスには多くの隙間があります。日本はもう新たな事業をする隙間がなくなってしまったけれど、ベトナムはこれからです。これからのベトナムは※リバースイノベーショが必要です。
例えばインドでは心電図をインドの人が買えるような低価格で開発することに成功し、アメリカでもそれが重宝されています。ベトナムではバイクの公害が問題だから、ベトナム人が買えるくらいのモーターバイクを作って世界に売り出すことが可能ではないかと思います。
新興国が先進国を追いかける必要は有りません。新興国が新しい事業を見出し、発信するチャンスはいくらでもあると考えます。

※リバースイノベーション・・・新興国で生まれた技術革新が先進国に逆流することを指します。

取材を終えて

先進国の事業を発展途上国に伝承する考えではなく、発展途上国が新たな常識を作り上げ、それを先進国に普及させるリバースイノベーションは非常に画期的な案だと思いました。現地の住民に対して利益を与えるような事業を、企業や若者に対してご自身の経験を元にアドバイスをするなど、貢献されている姿が印象的でした。
お忙しい中、貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございました。

取材:8月12日高山木実(JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)

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ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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