ベトナム・ホーチミンで働く日本人インタビュー~日本航空(JAL) 岩本さん~
更新日:2015年11月6日 (取材日:2015年9月7日) / ライター: 泊 和哉 - Tomari Kazuya - : JAC Recruitment Vietnam Co., Ltd.
今回は日本航空(JAL)でグランドスタッフとして働く岩本良子さんにお話を伺ってきました。大学時代は日本で客室乗務員を目指し面接を受けていたはずがいつの間にかベトナムでグランドスタッフとして働くことに。ベトナムに来てから早7年目という岩本さんに迫ります!
Q.自己紹介をお願いします
A.岩本と申します。現在は日本航空のグランドスタッフとして勤務して2年目で、ベトナムで就職をして間もなく丸7年です。
Q.グランドスタッフになった経緯は
A.学生の頃から客室乗務員になりたくて、就職活動の時期にクルーの面接を受けていたのですがご縁がなく、第2希望として受験していた空港グランドハンドリングサービスの会社から内定を頂いたので縁かな、と思い入社したのが始まりですね。もとから飛行機も接客も好きで、空港で働きたいと思っていたので決めました。国内ではそこから約一年半働いていました。
Q.ベトナムに来るきっかけは何だったのでしょう
A.正直言うと、グランドスタッフとして就職した後もずっとクルーになりたくて面接を受け続けていました。そこで受験したベトナム航空から、現地グランドスタッフとしてホーチミンに来ないかというお誘いがありその日のうちに決めてしまったという経緯ですね。
Q.もとから海外で働きたいという気持ちはあったのですか
A.そうですね。世界と繋がることのできる仕事がしたいという思いがありました。
一番は自分が強くなったこと
Q.来る前のベトナムのイメージは
A.生春巻きとフォーくらいかな(笑)
Q.来てからのベトナムでの生活はどうですか
A.最初の2年は辛かったですね。ずっと帰りたいと思っていました。
Q.そこから現在でもベトナムで生活されていますが、何が変わったのでしょう
A.インフラ等含めて、街自体が格段に住みやすくなりましたし、同年代の日本人も増えてきています。でも一番は自分が強くなったことだと思います。
Q.現在はどのくらいの頻度で日本へ帰省されるのですか
A.年に2回程度です。
Q.日本へ帰ってこれまでと印象が変わったことなどありますか
A.やはり、日本は何においてもスタンダードが高いと感心します。例えばコンビニへ行っても接客が丁寧だということを実感しますね。
心に響く「ありがとう」
Q.客室乗務員にそこまでこだわっていた理由は何だったのでしょうか
A.いま思うと固執していた部分が大きかったかなと感じます。一度立てた目標をやり遂げたいという気持ちや職業への憧れが強かったのだと思います。
Q.因みに現在憧れていたクルーの方と関わる機会もあるかと思いますが、自分はグランドで良かったと思うことはありますか
A.日々思います。確かにベトナム航空で採用されたばかりの頃は、一緒にクルーの面接を受けて客室乗務員となった同期と顔を合わせるのがつらいと思うこともありました。でも現在はそれぞれの仕事をみて、自分はグランドスタッフの方が合っていると思っています。
Q.仕事上でのやりがいは
A.ありきたりな答えになってしまいますが、やはりお客さまに「ありがとう」と言ってもらえる瞬間ですね。自分がより良いサービスだと考えて選んだ言動が、ストレートにお客さまの心に伝わって言って頂ける「ありがとう」は本当に心に響きますね。
Q.現在の具体的な業務内容は?
A.たくさんありますが、日本航空では主に・・・
■日々のフライトの搭乗客リストをチェックし飛行機の座席を決める
:団体旅行のグループがいくつあるのか、どういった目的のご旅行なのかを確認したり、家族連れで予約が入っていたら離れないように席を事前に調整したりします。
■機内食の数を推測
:無駄を生まないためにも機内食の数を予測します。例えば、日本人のお客さまは予約通りにいらっしゃる場合がほとんどですが、ベトナム人のお客さまだと予約をしていてもお見えにならないことがあるので機内食の数を少なめに見積もったりします。
■ビザやパスポートの残存など入国規定等をイミグレーションに確認
■チェックインカウンターでのお客様サポート
:例えば真っ白いスーツケースをチェックインされるお客さまがいる場合、ナイロン袋を持ってきて「汚れてしまうのでカバーしましょうか」とお声がけするのは日本人だからこそ気付ける・気付かなくてはならない部分だと思います。そういうところ(日本人の感覚)は意識して動いています。
好きなタイミングは3つある
Q.仕事の中で好きな業務はありますか
A.業務の中で好きなタイミングは三つあります。一つは、飛行機の到着・出発時に外からドアを開閉するときです。教育を受けた係員しか開閉できない為毎回気が引き締まる気持ちになります。
二つ目は、客室乗務員とフライトが出発する前に打ち合わせをするときです。地上の情報があってこそ機内でより良いサービスを提供することができると思うので、スタッフ同士のコミュニケーションを取っているときはやりがいを感じられて好きですね。
最後の三つ目は、飛行機が出発するときにコックピットにいるパイロットに手を振り飛行機を送り出すときです。これは日本航空独自の習慣で「安全な機材で安心していってらっしゃい」、という地上職員からの思いが込められています。
Q.逆に業務で辛いことは何ですか
A.お客さまに誤解をされたままお叱りを受けるときですかね。さらに日本帰国後に事実を歪めて一方的にクレームをされると悔しいですね。でもそれでこの仕事をやめたくなったりはしないです。それよりは時間が不規則な勤務の方が辛いと感じます。
Q.岩本さんが新しいことに挑戦するとき、自分の中に持っている考え方などありますか
A.以前転職するときに、「決断できないときは決めるタイミングではない」ということを人に言われ楽になったことは今でも覚えています。
Q.では、最後にこれからベトナムで働きたいと考えている方にメッセージをお願いします
A.来たいと思うならどんな理由でもいいから行動してみればいいと思います。明確な目標をもってベトナムに来る方はたくさんいらっしゃるけど、そうではない方も(私がそうだったように)きっと大勢いて、来越後に好転するか否かは人それぞれ。明るく前向きに日々目の前のあらゆること(いわば「発展途上国で生きる」こと)に精一杯取り組めば、周りのベトナム人の方々にも言語や国民性を超えてその人となりが伝わって、助けたり助けられたりしながらベトナム生活を充実させられることができると思います。
ありがとうございました。
インタビューを終えて
気さくで優しい岩本さんはインタビューをしていてとても親近感を感じる方でした。海外と繋がれる仕事がしたい点や空港で働きたいと思う気持ちは個人的にとても共感する部分が多く、いつもの倍の時間インタビューをさせていただきました。偶然にも、私がベトナムから帰国する際、空港で岩本さんが働いている姿をお見かけすることができましたが、とてもかっこよかったです!
取材:佐久間 仁美(JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)
ライター情報
泊 和哉 - Tomari Kazuya - : JAC Recruitment Vietnam Co., Ltd.
大学卒業後、株式会社ジェイエイシー ジャパンに入社。日本(大阪)3年、シンガポール7年の勤務を経て2013年よりベトナムに。これまでに2000名を超える海外就職希望者との面談実績を持ち、日本人以外では主に製造業界におけるミドル~エグゼクティブ領域を担当し、幅広い国籍のご登録者への転職サポート経験あり。プライベートでは2児の父。シンガポールでの出産立会いと育児経験を持ち、現在も海外子育てをエンジョイ中。
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