ベトナム・ホーチミンで働くフランス人~ITP&CREASIA CO.,LTD. ダミアン・バザンさん~

ベトナム・ホーチミンで働くフランス人~ITP&CREASIA CO.,LTD. ダミアン・バザンさん~

更新日:2016年11月1日 / ライター: JAC Recruitment Vietnam

言語を学ぶことはその国の文化を学ぶこと

ベトナムで働かれている日本人の方にインタビューをすることでお馴染みのこちらのコーナーですが、今回は「ベトナムで最も日本人に近いフランス人」との呼び声が高い、ITP&CREASIA CO.,LTD.のDamien Bazin(ダミアン・バザン)さんにインタビューをさせていただきました!

ITP&CREASIA CO.,LTD.のダミアン・バザンさん

ITP&CREASIA CO.,LTD.のダミアン・バザンさん

目次

現在に至るまで

Q.元々フランスで就職されていたのですか?

私は元々すごく田舎の町に住んでいました。しかし、より高度な日本語を勉強するにはパリにある大学に行くべきだと勧められ、パリで大学生活5年間を過ごしました。そのうち1年間は大阪に留学し、本場の日本語を学びました。大学卒業後はパリで知り合った日本人経営者の方の紹介で韓国にある日系企業に就職し、すぐに韓国に渡りました。その後、その会社がベトナムに支店を作ることとなり、ベトナムに来ることになりました。だから、インターンシップやアルバイト以外、フランスで働いたことはないんです。(笑)

Q.そうだったのですね!では、現在働かれているITP&CREASIA CO.,LTD.に入社された理由は何だったのですか?

一旦ベトナムに来てみると、すぐにベトナムの魅力にとりつかれてしまいました。だから、もっとベトナムに居たい、ベトナムで様々なことに挑戦してみたい、と思うようになりました。そんなとき、創業100年を迎える日本の会社がベトナムでの会社設立の話を聞き、事業内容にも興味があり、一緒にスタートから拡大をサポートできることは素晴らしい経験になると考え、ITP&CREASIA CO.,LTD.への入社を決意しました。

Q.ITP&CREASIA CO.,LTD.ではどのような業務をされているのですか?

ITPはISHIDA TAISEISHA Printingの略で石田大成社は今年設立100周年の印刷会社です。なので、印刷はもちろん、印刷の中身、つまり、どのような内容を印刷するかというインフォメーションデザインも行っています。現在ではセールスプロモーションにはまで事業を展開していて、具体的にはブランドのオープニングイベントの企画や開催、PR活動をするなど、

日本への愛

Q.そもそもなぜ日本語に興味を持つようになられたのですか?

これは本当に偶然でラッキーなことだったのですが、私が通っていた高校にたまに来ていたある先生の存在があったからですね。その先生はフランス人だったのですが、翻訳の仕事の傍ら、フランス人に日本語を、日本人にフランス語を教えていました。日本語は高校生のときにその先生から初めて教わったんです。その後、週に3時間だけでしたが高校時代の3年間と大学時代の5年間、日本語を必死で勉強しました。実は大学もその先生の勧めで、先生が通っていた大学に進学することにしたんです。日本語を学んだことで、自分の中で新しい世界を生み出すことができたので、先生との出会いには感謝でいっぱいです!

Q.日本の魅力は何だと思いますか?

たくさんありますが、日本のプロの現場に関していうと「組織の素晴らしさ」ですね。私は過去に弊社東京本社また名古屋拠点にて研修研修を受けたことがありますが、そのとき実際に日本の組織というものを間近で見て、さすがは日本人だなと実感しました。とにかく日本人が考える組織というものが素晴らしいです。予期しない物事に対してもしっかり対策が考えられている、これはフランス人にはできないことです。

それに料理も素晴らしいですね!日本は外国のものを受け入れて、発展させるということが得意な国だと思います。私の実家ではチーズを作っているのですが、留学中に日本の牧場で食べたチーズ、そしてそれに醤油をかけて食べるというスタイルは斬新でとても美味しかったです。こうやって相手の文化を受け入れ、その中に独自の文化を調和しさらに発展させることによって、最終的にお互いの文化を理解し合える環境を作っていると考えるととても素敵ですよね。

あとは、日本の文学です。日本の文化、文学が私はとても好きで、日本人のノーベル文学賞受賞者が2人だけだということに疑問しかありません!私は三島由紀夫や谷崎潤一郎らの小説を読む中で、日本の言葉や文化を学んでいきました。だから日本の小説は私にとって日本の教科書であり、とても素晴らしく特別なものだと思います。

Q.す、すごいですね!日本の文学を学ぶきっかけになったのも、高校時代に出会った先生の影響なのですか?

いえ、そういうわけではなく、日本のことを学ぶとなったときに私がなんとなく自然に日本の文学がいいかなと思っただけなんです。興味があることには自然と意欲が増しますからね。でも、いまだに日本語で書かれている小説を読むのは難しいので、まだまだ知識を蓄えたいと思っています。村上春樹など最近の小説家の文章はまだ読みやすいのですが、昔の小説家の文章はすごく難しいです、、、!

Q.いやいや、私たち日本人でも難しいですよ!(汗)それにしてもフランス語、英語、日本語の3か国語を話せるのは本当に凄いですね。語学を学ぶのに必要なことは何だと思いますか?

そうですね。言語を学ぶということ=単語や文法の勉強、だと思っている人が多いと思います。でも、それは少し違っていて、私は言語を学ぶということは、すなわちその国の考え方や文化を学ぶということだと思うんです。だから、例えば、table=机、というふうに単語の意味を理解するだけではなくて、その先の文化や考え方の違いについて理解した上で、勉強するとさらなる相互理解に繋がると思います。

母国フランスについて

Q.フランスの魅力は何ですか?

やはり、パリの街はいいですよね。自分自身、最初は(パリが)苦手だったのですが、大学時代に住んでいたとき意外と良い人たちばかりで、良い街だなと思うようになりました。あとは、料理と家族ですね。フランス料理は美味しいと知られていますが、フランスでは家族、親せきの関係がとても深く温かいです。やはりその愛情が懐かしいですね。

Q.では、フランスに帰りたいと思われますか?

思わないですね。(笑)フランスがダメというわけではないのですが、せっかくこの地まで来たのでまだまだ海外を楽しみたいと思っています。

Q.それではいずれはフランスに帰国されたいですか?

それは、退職してからでいいですかね。パリの生活ももう十分満喫しましたし。もし帰るのだとしてもパリ以外の地に行って、そこでまた様々な発見ができたらいいなと思います。もちろん家族には会いたいですけどね!

職場でのダミアンさん

職場でのダミアンさん

ベトナムについて

Q.ベトナムに来ることへの抵抗や不安はありませんでしたか?

1人だけで来たというわけではなかったので、あまり不安はありませんでした。でも、ベトナムに着いて、「地下鉄はどこにあるの?」と聞いたときに「ない!」と言われたときはびっくりしましたし、少し不安になりました。今はもうバイクでの生活に慣れたので不安はなくなりましたが、今でも不便だと感じることはありますね。あとは、料理の安全性にも来る前は少し不安がありました。でもベトナムに来る前の韓国の辛い料理が合わなかったということもあって、ベトナムの料理は最高だと思いました!

Q.ベトナムに来て良かったと思いますか?

本当に良かったと思います!だから5年間住み続けています。まだ住み始めて5年しか経っていませんが、街並みもだいぶ変わってきているし、日々の発展を間近で感じられて面白いです。

Q.ベトナムの魅力は何だと思いますか?

歴史ですね。フランスの植民地にされたり、アメリカと戦争をすることになったりと多くの過酷な過去を乗り越えて、現在、独立し、日々成長し続けている彼らを見るというも感動します。現在のベトナム人はあまり語らなくなりましたが、彼らの努力で掴んだ勝利を称えたいです。

Q.生活面で苦労していることはないですか?

間違いなくインフラです。やっぱり地下鉄がないのが、、、(笑)バイクに乗ることには慣れたのですが、違う町に行こうと思うと、通行手段が飛行機に限られてしまうのが少し不便だと感じますね。

Q.ベトナム人とともに働く中で苦労していることはありますか?

ベトナム人の性格を一言で表すなら「Goodwill」まり、好意的・善意的・親切・熱心です。私が困っていたらすぐに助けてくれるし、とても献身的だと思います。彼らには「怠けて最小限のことしかしないでおこう」という考え方は持っていないので、言ったことに対しては必ず成果を出してくれます。しかしそれは言い換えれば、言ったことに対して表の意味でしか理解してくれないということ、つまり、裏にある思いを汲み取って、創意工夫するという考えを持っていないということです。「もう少し工夫して仕事してくれたら、もっと効率的になるのに。」と思ってしまうことがあるのが、苦労というか考え方の差異を感じます。

Q.仕事のやりがいはどのような時に感じますか?

やはり、人の役に立てた時ですね。これはどの仕事に関してもそうだと思うのですが、自分のスキルを使って、作り出したものを人に喜んでもらえること、人の役に立てたなと思えるときはやりがいを感じると思います。私の場合は日本語を使って企画、営業、そうして仕事のきっかけを作れたときにやりがいを感じますね。

Q.今後日本で仕事をしてみたいですか?

そうですね。本当は大学を卒業したらすぐに日本で働こうと思っていたんです。でも、実は東日本大震災が起こったことで、当時就職活動に関するやり取りが完全中止になってしまったんです。だから、将来に何か良いきっかけがあれば、絶対に日本に行って仕事がしてみたいですね。

Q.ベトナムで働く上で必要なスキルはありますか?

ベトナムだけに問わず、海外で働く上で必須のスキルは「適応力」ですね。例えば、ベトナム人に対する態度や言葉の伝え方には気を付けています。先ほども言ったように、彼らは「Goodwill」な性格なので、あまり強い口調で物事を言うとやる気をなくしてしまいがちです。だから彼らが失敗した時には、優しい口調でゆっくりと説明してあげる方が効果的なんですよね。やはり、育った環境によって性格や考え方が全く違うものなので、自分の固定概念を押し付けないことが大切だと思います。

Q.最後にベトナムで働きたいと考えている日本人の方にアドバイスをお願いします。

悩まないで来てみてください!本当にベトナムは楽しいところなので!特に若いうちに来てみることが大切だと思います。日本ではきっと会うことすらできないような業界の方と話せる機会が多くありますよ。

笑顔が素敵な職場のみなさん

笑顔が素敵な職場のみなさん

インタビューを終えて

今回は「ベトナムで最も日本人に近いフランス人」ということで、フランス人のダミアンさんにお話をお伺いしたのですが、日本語が本当に上手でびっくりしました!

最初はフランス人の方だと聞き、どのような方なのか想像もつかなかったのですが、実際に会ってみると優しくて日本が大好きな方だということが一瞬でわかりました。また、私が意思疎通につまずきそうになるとすぐに辞書を引いてくださるという、勉強熱心で紳士的な方でした。ダミアンさん、お忙しい中貴重なお時間いただきありがとうございました。

取材:杉本ひかり(JAC Recruitment Vietnamインターンシップ生)

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ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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