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ベトナム・ホーチミンで働く日本人~フーンライ 白井尋さん~

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~フーンライ 白井尋さん~
更新日:2016年10月7日 / ライター: JAC Recruitment Vietnam / カテゴリ:オススメ,ベトナムの日本・日本人

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~フーンライ 白井尋さん~

目次

すべてのサービススタッフ、シェフ以外のキッチンスタッフが
孤児、ストリートチルドレン、貧困家庭出身など社会的に恵まれていない若者だという
ベトナム家庭料理店“フーンライ”のオーナー白井尋(しらいじん)さん。
今回、そんな白井さんの過去やフーンライオープンまでの道のり、そして、今、若者に伝えたい想いを強く語っていただきました。

フーンライオーナー 白井尋さん

フーンライオーナー 白井尋さん

好きがいっぱい詰め込まれた場所。

Q. 日本でベトナム料理をではなく、ベトナムで日本料理をというわけでもなく、ベトナムでベトナム家庭料理店をオープンされた理由は何だったのですか?

私はこの店をオープンするためにベトナムに来たわけではありません。最初は人生修行を含めた留学のために1997年にベトナムに来ました。そこで生活していくうちに、どんどんベトナムのことが好きになったんですね。そんなとき、日本でもベトナムがようやく脚光を浴び始めて、「ベトナムの良さを多くの旅行者に知ってほしい」「ベトナムの家庭の味を気軽に味わってほしい」という純粋な思いで、フーンライをオープンしました。当時からベトナムの食について興味があり、作ることも食べることも大好きだったので、“ベトナム料理店”を。そして当時は中級レストランと呼ばれる「ベトナムの普通の家庭料理」を提供している店がなく、安い屋台か高級レストランしかなかったので、“ベトナムの家庭料理店”を作ろうと思いました。今でも昔と変わらず良くも悪くもあまりアレンジしないベトナム料理を提供し続けています。
この店を開いた理由としてもうひとつ、ベトナムに住まわせていただいている一外国人として、ベトナムの文化・生活を壊したくないというという思いがあります。つまり、安易に異国の文化をベトナムに持ち込みたくなかったということですね。ベトナムの文化を壊さず守っていけることは何か、を考えた結果、“ベトナムでベトナム家庭料理”を提供するというコンセプトになったんです。

Q. ベトナム家庭料理の魅力に気づいた経緯は何だったのですか?

ベトナムに来て間もない頃、毎日のように訪れていた仲の良いベトナム人の友人宅で料理上手なおばあちゃんにおいしい家庭料理を半年くらい作ってもらっていました。そうやって、ベトナムの家庭料理の味を知り、屋台や店で提供されている料理と普通の家庭料理との味の違いが分かるようになりました。そのときからベトナム家庭料理に対して魅力を感じるようになりました。

Q. ベトナムに留学される以前のことについてお伺いしてもよろしいですか?

大学を出て、一年間日本で就職していました。その仕事では本当に多くのことを学べましたし、嫌いというわけではありませんでした。しかし、仕事をしながらも海外の魅力を忘れることができず、「このまま日本でサラリーマン生活を送り、人生を終えてしまっていいのだろうか」という葛藤の末、海外に行くことを決意しました。海外という未知なる世界で生活することによって、未知なる自分を見つけたいという想いを胸のうちに収めることができなかったんです。

Q. なぜ留学先をベトナムに決められたのですか?

ベトナムにはそれまで訪れたことがなかったのですが、どの国に留学するかを図書館で本を読みながら考えていたとき、インフラも整っていなくて、若い発展途上国であるベトナムの“人間臭さ”に惹かれたんです。ここなら様々な人に出会いながら、良い経験を積むことができるはずだ!という直観がありました。そして、最後の決め手は、“サイゴン”という響きですね!大学時代はバックパッカーだったので、地名に惹かれ旅するということはよくあって、“サイゴン”という地名にすっかり魅了されてしまって。(笑)それでベトナムに留学することを決めました。

Q. 学生時代は直観で行動されることが多かったのですか?

そうですね。当時はインターネットがなかったですからね。海外の情報は、数冊の本と人づての話くらいでしか入手できませんでした。ですから、旅行先も、少ない情報の中で「面白そうだな。」と直観で思った場所に行くというスタンスでした。直観は若いうちの特権だと思います。年を取るにつれて、だんだん直観や感性が鈍るし、勢いで行動できなくなりますからね。

Q. ベトナムに永住するおつもりなのですか?

ベトナムとはご縁があるので、自らこの縁を切るつもりはありません。しかし、今後ベトナムとどんな形で関わっていくかということはまだ決めていないです。今の積み重ねが将来なので、常に「今、ここ」を大事に、満足できていればいいと思っています。

Q.最近では、孤児院など社会的に恵まれない子供たちへの支援の話を耳にする機会が多くなりました。白井さんは2001年から孤児支援施設への寄付を行ってこられましたが、その過程で“支援の難しさ”に対する不安や悩みはなかったのですか?

支援の観点からは、フーンライも従業員はほぼ全員社会的に恵まれない子供たちなので、社会的支援の場といえると思います。またその他にも、個人運営の孤児院とボランティア教室の2か所に9年間支援を行っていました。私の過去の経験を踏まえて言うと、“支援の難しさ”というものは、支援する側とされる側が違う立場にいるからこそ起こるものなんですよ。余裕がある人とない人という差異があるからこそ、支援の必要性が生まれますが、逆に支援の難しさが出てきますよね。なぜなら人は経験したことがないものを正確に理解することができないからです。恵まれない子供たちの複雑な背景や感情がある中で、子供たちが実際はいま何を必要としていて、どんな支援がほしいのかを支援者は汲み取らなければなりません。しかし、同じ立場・境遇になったことがなければ相手が望んでいる事を的確に汲み取るということは非常に難しいと思います。理解し合えていないのに、善意だけで一方的に支援することは、本質的には支援していないことと等しいどころか逆効果になってしまうケースも色々と見てきました。一番怖いのは、勝手な善意を押し付けて、「これは彼らにとっていいことだ。」「絶対に喜んでもらえることだ。」と思い込んでしまうことだと思います。
私は毎回支援する時に彼らにとって大小に関わらず確実に利点が出るかどうかを確認しつつ活動してきました。支援は難しいということを実感した上で、できる範囲のことをするしかないですよね。何もしないままだと、支援に対する自分なりの答えが一生見えてこないですから。「自分は意味ある支援ができていないかもしれない。」という自覚を持って支援を行えばいいのだと思いますよ。

Q. ベトナムで支援をしようと思ったきっかけは何だったのですか?

ベトナムに住み始めて3、4年ほど経つと次第に、「何かベトナムに恩返ししたい」という気持ちが強くなりはじめました。そこで何かしようと思い、まずNGOの翻訳のボランティアを始めました。そしてそこの事務所にいた日本人女性にある支援団体を紹介してもらったのが、孤児院に深く関わるようになったきっかけです。私は紹介された孤児院によく出入りするようになり、日を重ねるごとにそこにいる子供たちと接するようにもなりました。するとやはり、「自分がこの子達に人生を変えるチャンスを与えることはできないのか。」という思いが日に日に強くなり、それがきっかけで、トレーニングレストランを開いて、彼らを雇い入れ、英語やサービスやライフスキルを教えることで独立支援できればと思い立ちました。
またその時期にサイゴンのたくさんの孤児院を回り、その後9年間支援することになる施設に出会いました。

Q. 飲食店を経営するにあたって、何か経験などはされていたのですか?

少しだけアルバイトでホテルの配膳をしたことがあるくらいです。私はできるだけ苦手なことや興味のないことよりも自分の好きなことを優先して仕事でも生活でも生かしていけたらいいなと思っています。
そしてその結果できたのがフーンライです。私の場合、ベトナムの食や店舗デザイン、教育、人と出会うこと、お世話をする事などに興味があったので、この店に「私が興味のあるもの」だけを詰め込みました。だから、この店には私が好きなものしかないんですね。ですから、これは儲かるからしようとか、自分が知っているものだからしようとか、そういう計算で出来たお店でありません。

Q. 従業員のサービス教育はすべて白井さんがされているのですか?

はい、そうです。サービス術について何か特別なことを学んだわけではありませんが、サービスや教育は私にとってとても興味があることなので自分なりに考えてやってきました。

Q. 今後してみたいことはありますか?

若者への教育です!今までは、ベトナムの若者向けに教育を施してきたので、今後は日本の若者向けにもしていきたいですね。私はこの地で、小さい私塾という形で“人間学”や“生き方”を学び合っています。“人間学”は「自分はどうあるべきか」ということについて考える学問なのですが、これを学び、自分なりの判断軸を持つことによって、仕事上だけでなくプライベートでもぶれない生き方ができるようになります。私は、本来人間はどうあるべきか、どう生きるべきかという考えがしっかりとできている人は、仕事でもプライベートでも幸せになりやすいと考えています。海外で生活していると余計に、人間本来の人間力が試されるということを実感していて、自分の軸を持つこと・人間力の重要性を感じています。その人間力という部分は現在私も学んでいる最中です。だから、若い人と考えを共有し、共に学び、高め合えれば良いと思っています。

□■白井さんに人生相談□■

私たち著者は現在大学生であるということもあり、これから先待っている就職活動やその後の人生設計のことなど悩み多き時期にいます。今回、そんな多くの悩みを持っておられる方々に届けたい想いを白井さんに語っていただきました!

人間学の学びの大切さを語られる

人間学の学びの大切さを語られる

◎白井さんが説く、人間学の大切さ。一番伝えたいのは「大学生」

大学生は子どもと大人の中間で、世の中がどうであるとか自分が何者であるかというのが半分わかってくる時期だと思います。その上でそこから先どうする、という決断を迫られる世代なんですよね。それでいて大学生は「自由」。周りの言うことも理解できるし、刺激を受けた時にそこから自分で調べ、行動できるだけの自由があります。自由とは“自分に由る”つまり自分次第ということです。大学生という一番自由な時期に刺激をたくさん受けてほしいですね。

◎コミュニケーションの真髄は「人間力」

考えてほしいのは、例えば、日本語は流暢だけど頭が固く生真面目すぎて付き合いづらい人と、日本語はあまり上手ではないけれど、いつもニコニコしていて前向きで一緒にいると楽しい人だったらどちらと一緒にいたいか、共に仕事したいか、ということです。人を魅了できるか、協力的か、相手の気持ちを尊重できるかどうかということがコミュニケーションの現場では必要となります。人を動かすには、人の“心”を動かすことが必要不可欠です。だから語学力のほかにも、「自分なりの魅力」を自分で自覚し磨いていくことが大切ですね。

◎「学生」は肩書きの一つ。個人の学びを大切に!

仕事人になると、四六時中「自分は会社員だ」「○○会社の自分」と思いがちになってしまう人がいます。でもそれはとても危険で、そういう人はふと我に返ったときに「自分の人生とは何だろう」という大事な問いに答えられなくなってしまう。それは学生としてではなく社会人としてではなく、一個人としての自分、人間としての自分という自覚が抜け落ちてしまっているからなんですね。だから、学生として何ができるか、というのを考えるよりも、一人間として自分の人生で何がやりたいのか、どんな人間になりたいのかという枠で考えていってほしいと思います。

◎ムダな経験なんてない!

何か失敗したとしても、失敗して初めて“わかる”こと自体に価値があります。何でも経験して何でも学んでやろうという気持ちを持って、失敗したなと思ったらスッと頭を切り替えて、逆の視点から、自分はこの体験から何を学んでやろうかと考える。そして、その経験を元に、次成功できたらきっと「あの時いい経験したな」と思えるでしょう。若い時こそたくさん失敗して、価値ある経験を積んでいってほしいですね。

◎大人の言うことは鵜呑みにしない。最後はいつも「自分自身」

私が今回話していることも、絶対に正しいわけではありません。むしろ間違いなく正しくはないです。もちろん私はこれが正しいと思って正直に話しています。ただ、人それぞれ考えていることなんて違うのだから他人の言葉に振り回されないことが重要です。正論に聞こえることが自分の正解だと限らないし、自分の言ったことでさえ、5年後、10年後に「ああ、自分は間違っていたな」って思うことだってあります。今の意見は“中間報告”に過ぎず、100%正しい答えなんて一生誰も言えないね。若いときはとかく黒白はっきりさせたがって悩むことが多いけれど、そういう視点を持った上で、最終的には自分がその時点で正しいと思うことを信じること。そうして、他でもない自分の人生を創ってほしいと思います。

是非フーンライにお越しください!

是非フーンライにお越しください!

<インタビューを終えて>

白井さんの言葉にはひとつひとつ胸に刺さるものがありました。応用のきかない唯一の「答え」を知るよりも、あらゆる悩みごとや困難に太刀打ちするための「人間力」を身に着けることが解決への近道。私たち自身も学生生活という枠にとらわれず、人生という長い時間をかけて自分なりに人間力を磨いていきたいと思います。
白井さん、貴重なお時間とお話を頂きありがとうございました!

取材:杉本ひかり(JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)

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ライター情報

JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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