ベトナム・ホーチミンで働く日本人~DFDLで働きつつアーティストとして活動する大谷彩乃さん~

ベトナム・ホーチミンで働く日本人~DFDLで働きつつアーティストとして活動する大谷彩乃さん~

更新日:2017年1月12日 (取材日:2016年12月8日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam

ホーチミンを拠点に数多くの個展や展示会に参加し、現在はイタリアの出版社から絵本を出すなどアーティストとして活躍されている一方、外資系法律事務所DFDLでも働いている大谷彩乃さん。2010年に日系企業の駐在員として渡越されてから、自分の世界を一気に広げられてきた原点に迫ります。

外資系法律事務所DFDLにお勤めの大谷彩乃さん

外資系法律事務所DFDLにお勤めの大谷彩乃さん

入社4ヶ月でベトナムへ

大学から就職までの経歴を教えていただけますか?

大学では臨床心理学を4年間勉強していました。その後、就職活動で、いわゆる日系企業に肌が合わず、面接を受けても行きたい会社が見つからなかったので、普通に就職するのは向いていないと感じました。そこで、もともと絵を趣味にしていたのと、親に勧められたことがきっかけで大学卒業後は、グラフィックデザインの専門学校に1年間通いました。その後、東京でグラフィックデザイナーとして出版関係の会社に就職しました。当時はあまりご飯が食べられず、すごく痩せていて学校に行くのもやっとの状況でしたので、消極的な選び方ですが、家から通える範囲の落ち着いた会社に就職しました。

どのような経緯でベトナムに来られたのですか?

入社4ヶ月目で社長から「ベトナムに現地法人を作りたいから行かないか」と伝えられ、すぐに「行きます!」と答えてベトナムに来ました。そのとき、私は日本の生活が息苦しいと感じていたので、国外に出られる仕事ならいいか、程度に思っていました。当初の予定だと、現地法人の立ち上げ等、任務は数カ月で完了、その後はベトナム人に任せる予定でした。

会社にとって初の海外進出だったので、なぜ新人の私が選ばれたのかは分かりません。最初は現地の弁護士と協力しながら会社を設立し、ベトナム人を10人程雇いました。多いときで20人程のベトナム人スタッフがいて、日本の上司とSkypeやメールでやり取りをしながら、基本的に私一人で5年間会社管理を任されていました。

ベトナムで仕事を始められていかがでしたか?

自分の責任がぐっと重くなるということに、すごくワクワクしました。日本で勤務したての頃は誰かの部下として色々指示を受けながら働いていたので、代わりがいる仕事のような気がしたのですが、ベトナムではトラブルが沢山ある反面、面倒を見る必要があるベトナム人部下がいたり、自分が行動を起こすことで、小さなものから大きなものまで、毎日目に見える成果が生まれることに感動していました。

しかし、情の厚さをみせることが大事なベトナム人のマネジメントは私には向いていないと感じていたのと、自分がデザイナーになるべく就職したのに、その暇もなくマネージメントの立場になってしまったことが原因で、方向転換を考え始めました。そして、技術者・表現者としての経験を積むことにもっと時間を取りたくなったこと、またそれとは別に、異文化交流の経験から、言語や文化の橋渡しをする役割として、海外と日本をつなぐ仕事に関心が深くなっていたので、両方を達成できる法律事務所のDFDLに転職し、今も勤めています。

アーティスト×法律事務所でのお仕事の両立

アーティストとしての活動は何がきっかけで始められたのですか?

絵が趣味だったこと、駐在員時代に知り合いに勧められたことがきっかけで、ホーチミンで人生初の個展を開きました。私は自分の感情を言葉にして伝えることが下手だったので、展示会で私の絵を見て気持ちを分かってくれる人が沢山いたことや、人との新しいコミュニケーションの方法があることに気がつき、感動しました。また、そこでの反響が思った以上にあり、ヨーロッパのファッションデザイナー等とコラボレーションをしたり、様々な国や都市での展示に参加し始めました。

どういう時に絵を描かれますか?

幸せなときはあまりインスピレーションが湧かないので描けませんが、ショックなことがあったり辛いことがあった後には、描いた後で自分でも驚くようなものができます。あとは、特別街で何かを見てはっとしたとか、旅行で良い景色を見て絵を描きたくなることはあります。

ホーチミンの各所で大谷さんの作品をみることができますが、現在は絵本の出版をメインにされているのですか?

以前はホーチミン市内のホテルやレストラン、カフェ、ナイトクラブからの依頼で絵を描いていましたが、1年程前にイタリアの出版社(NUINUI)に出会って以来、継続的に一緒に仕事をしています。過去のカタログや出版物のレベルの高さ、各国で開催されるブックフェアに毎回出展したりと全世界にネットワーキングがあることから、彼らがプロであることがわかり、出会ったときにすぐ「一緒に働きたい」と感じました。あとは、プロジェクトベースで、ファッション向けの仕事をすることもあります。

016年10月にイタリアのNUINUIから出版された絵本 Clemente il camaleonte trasparente

016年10月にイタリアのNUINUIから出版された絵本
Clemente il camaleonte trasparente

現在、アーティストのお仕事と法律事務所でのお仕事はどのくらいの割合でされているのですか?

絵に関しては、主に子供向けの絵本をイタリアの出版社と制作していて、最低週3日、他にも時間があればいくらでもやっています。ストーリーと絵を両方担当しており、2016年10月に出版した絵本は、現在イタリア語、フランス語、スペイン語版があり、2017年には、英語、中国語に翻訳され、近い将来ベトナムの本屋にも置かれると思います。

法律事務所の仕事は、週4日出社し、東南アジアを中心に13拠点の日系クライアントの事業開発とマーケティングを任されています。絵に集中しすぎるとセンシティブになったり気持ちが入りすぎてしまうので、正反対の仕事をすることでバランスがとれています。

法律事務所DFDLで働く面白さは何ですか?

私はホーチミンを拠点にしていますが、普段一緒に仕事をしたりコミュニケーションを取っているのは、他の拠点の多国籍チームです。文化の違いや自分の知らない業界から学ぶことが多いことと、外国人と日本人の仕事の仕方やアプローチ方法の違いを埋める面白さがあり、文化や考え方の違いを両方経験した自分が間に入ることでビジネスを円滑に進められ、大きなやりがいを感じています。東南アジアに13箇所拠点があり、社員300人のうち日本人は現在一人で、日本では味わえないような刺激があります。

自分の人生を変えるきっかけとなったベトナム

ベトナムで生活して日本についてどう思われますか?

生まれも育ちも東京なので他の都市での生活をあまり知らないのですが、東京は、素敵なものや欲しいものはそこら中にあるし、完璧に見えて美しいけれど同時に何もないと感じます。手を伸ばせば何かあるから、自分から何かしようという気にはならなかったし、「余白」や「隙間」がないと思います。ベトナムには便利なものが沢山あるわけでなく、自分がしっかりして行動を起こさないとダメだなと感じることが多いです。私にとってこれが独立しているという状態で、東京にいると甘やかされてしまうような感覚になります。

辛くなったり挫けそうになるときは何をされていますか。

昔は母親に泣きなからSkypeしていました。(笑)現在では、悩む時間を決めています。「こういう風な気分は今夜だけ」と決めて、朝起きたら切り替えるようにしています。解決策が必要なときには上司に話しますが、それ以外は、ネガティブなことはあまり言わないようにしています。家に帰って猫の顔を見ると、辛い事はまぁいいかと思えたり。(笑)

今までの人生の中で最も影響があった出来事は何ですか?

ベトナムで仕事を任されたことですね。高校時代までは悩みもないようなタイプでしたが、大学ではストレスで痩せてしまって、うつっぽくなってしまい、とても大変な4年間でした。しかし、そのまま弱った状態でいるのが嫌だったので、ずっと変われる機会を探していたところ、たまたまベトナムに来ることができました。ベトナムに来てからは、自分の気分や体調ばかり気にしていた学生時代とは異なって、とにかく仕事を最優先にして集中しなくてはいけなかったので、すぐに元気になってしまいました。自分のことはすっかり忘れてしまったんですね。そこから性格も変わりましたし、自分の人生が明るく進み出しました。

ベトナムにはこれからずっといる予定ですか?

ベトナムを拠点にすることで自分の夢に近づける理由が複数あるので、今も住み続けていますが、長くいるつもりはありません。私は、季節の移り変わりが好きで、外を気持ちよく散歩したいし、買い物も楽しみたい。ホーチミンには、はっと目を引くようなものがなかなか見つからないですし、「いつまでも」と、どこかに捕まえられる状態が苦手なので、ここから離れることはよく考えます。なので、今はいかにその土地に執着せずに自立できるか、例えば、ある日突然他の国に行ってもそこで何かできるように、という気持ちで生活しています。

アーティストとしてもご活躍されています。

アーティストとしてもご活躍されています。

では、最後にベトナム働きたいと思っている方にアドバイスをお願いします。

行きたいのだったら来たらいいと思います。ただ来るかどうかの判断は自分でしてください。人に判断を求めると、あとで文句を言いたくなるので、自分で決めることが大事です。特に若いうちは、出会った物事を吸収する柔軟性があればこっちに来て仕事も探せます。もしかしたら世界が変わるかもしれませんよ。

インタビューの感想

日本にいたときはシャイで内気だったとおっしゃっていた大谷さんですが、今では自分のやりたいことをやってとても輝いて自分らしくお仕事をされています。また、アーティストとして鋭い感性を持ち合わせながら、どこか温かく優しさを感じるお人柄が魅力的で刺激的な時間を過ごさせて頂きました。

お忙しい中、お時間を割いていただいた大谷さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

取材:12月8日 白戸 崇(JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)

ライター情報

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JAC Recruitment Vietnam

JAC Recruitmentは1975年に英国ロンドンでスタートした人材紹介会社。JAC Recruitment Vietnamは2013年6月にホーチミンに設立、2015年7月にはハノイに進出。英国・アジア11カ国地域に広がる独自のグローバルネットワークと、東南アジアNo.1のノウハウを活かし、経験豊富なコンサルタントがベトナムにおける日本人の転職活動をサポートしています。ベトナムへの就職・転職をお考えの方はお気軽にご相談ください。ウェブサイト ブログ

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