ベトナム・ホーチミンで働く日本人インタビュー~転職活動を終えたばかりのAさん~
更新日:2015年10月14日 / ライター: 泊 和哉 - Tomari Kazuya - : JAC Recruitment Vietnam Co., Ltd.
今回取材をお受けいただいたのは、Aさんです!以前はシンガポールでの勤務経験があり、ベトナムでは数ヶ月間と少し長い就職活動を経て商社に就職したのだとか。そんな波乱万丈な人生での数々のエピソードをお聞きしました!
まだまだ伸びていく国
ベトナムに来てから約一年。もともとはシンガポールで働いていたが、シンガポールは物価が高く、特に家賃は高い。一人暮らしに向いているワンルームタイプの物件が少なく、しかも家賃が高いため、ユニットシェアでバスルームやキッチンは共用というのが一般的。それでもシンガポール・ドルで1000ドル(編集部注:現在のレートで約85500円)くらいかかる。住環境が良くない上に、就労ビザの取得が年々厳しくなってきていたため、ずっとシンガポールで働き続けることは難しく、いつか他の国で働くことになるだろうなというのはずっと考えていたそう。そんな中で活気があるベトナムに目を向けたのだとか。
「初めてベトナムに来た時に、田舎の方の庭先を見ると、洗濯物で子供服がたくさん干してありました。日本と違って若い人が今後も増えていくんだろうなと思いました。さらに都市部に近づくに連れて道を走るバイクの数に圧倒されました。この国はまだまだ伸びていくのだろうと将来性を感じました。こんなところで働いたら面白いだろうなって。」そう語るAさん。
ベトナムに来る前のベトナムの印象を伺ったところ、「あまり良いイメージを持っていなかったですね。日本にいたときは、ベトナム戦争の影響で、経済成長が遅れてしまっている国だというイメージでしたし。ベトナム戦争の映画のイメージが強かったです。ジャングルや降り続く雨だとか。でもシンガポールで働くようになってからは、同じ東南アジアの国なので、もう少し具体的なイメージは持っていました。それでも社会主義国ということもあり、タイやシンガポールとは違って、窮屈さがあるのかと思っていました。また、日本の高度成長期やバブルを自分自身は体感していない中で、毎年物価が10%近く上昇していると言われる国ってどんなところだろうという疑問は、実際にベトナムの活気を目にして、こういうことなのか!とわかりました。」まさに百聞は一見にしかずということでしょうか。
後悔しない職探しがしたかった
そんな中で、シンガポールから、他国への転職を決断したAさん。
「どこの国で働くのか考えた際に、実際に候補に残ったのはベトナムとインドネシアでしたね。両国ともに日系企業の進出が活発であるとともに、タイや中国とは違って、現地語を話す日本人の数が少ないです。ベトナム語が出来るかどうかは、転職にあたってはあまり重要視されない。さらに来てみてわかったのは、英語が公用語のシンガポールと違って、英語の要求水準がそれほど高くないということです。特に技術を持っている人であれば、英語力は求められずに、可能性があるということを感じました。私のように、特に技術を持っていない方は、社内コミュニケーションが出来るくらいは必要かと思います。」
次に、ベトナムで就職活動している中で辛かったことをお聞きすると、「やっぱり仕事が決まるまでに時間がかかってしまったことでしょうね。私の場合は前のキャリアとは違う職種への転職だったので、それまでのキャリアをそのまま生かせないという点がネックでした。企業からしたら即戦力となってくれる人材が欲しいのに対し、条件に当てはまりにくかったのです。また、お給料に関しても、日本円に換算すると、どうしても少ないなと感じてしまいますね。しかしベトナムは物価が安いので、十分にゆとりある生活ができるのではないかと思います。実際に私はベトナムで数ヶ月間転職活動をしていたので収入がありませんでした。それでもこれまでの貯金で何とかなりました。シンガポールにいた時よりも良かったかもしれません。ベトナム料理も美味しいものが多いですしね。」因みに粉物が好きというAさんの好きなベトナム料理はバインセオだそうです!
その5ヶ月間で焦りはなかったのかと伺うと、「もちろんありましたよ。所属がないというのは気分的に安定しなかったです。ベトナムにいるためのビザも更新しなければいけなかったですし。それでも後悔しないためにも、じっくり職探しをしたかったのです。」
との返答が。
では、その数ヶ月があったからこそ得られたこと等ありますかと問うと、「ここで頑張りたいという仕事に巡り会えたということはもちろんですが、ベトナムのことをよく知ることができたっていうことも大きいですね。ベトナムには娯楽が少ないので、バイクで街なかを走ったり、市場やスーパー、いろんなお店をのぞいたりしていました。そんな中でベトナムの日常や足りないものなど、新しい気づきを得ることが出来ました。時にはホーチミン市の郊外まで出掛けてみると、都市部と郊外の違いに驚かされることもありました。」
もともと海外志向があり、英語を勉強した後、いずれはアジアのどこかで働きたいという思いがあったというAさん。なぜアジアにこだわったのかを聞くと、「リーマンショック以降、先進国の経済が停滞する中で、まだまだ伸びていく可能性があるのはアジアだと感じたからです。」
とおっしゃっていました。
代りがいない能力
私(佐久間)は個人的に来年に人生初の就活を控えているので、就活の先輩としてAさんにアドバイスを伺ったところ、
「新卒で就活ができるのは人生で一回のみなのだから、そこは大切にしたほうがいいのではないでしょうか。日本の企業で何年か働いた後に、海外に出たいと思ったら挑戦するのもアリだと思います。日本の会社と違って、海外では会社の中で育成していくことは難しいので、日本でしっかり仕事を学ぶことは大切だと思います。海外で企業が転職者に期待しているのは、日本のビジネスのやり方などを知っているかどうかというところにあると思います。そもそも、なぜ給料の高い日本人をわざわざ雇うのかということを考えてみることが大切ではないでしょうか。さらに「この人だからできる」というような、「代りがいない能力」を身につけられれば、その国や会社で長く仕事を続けていくことが出来るだけでなく、転職する際にも有利になるのではないかと思います。私にはそれが欠けていたので、苦労することになってしまいました。」というお言葉をいただきました。
Q.最後に、これからベトナムで働こうと思っている方へメッセージをお願いします!
A.「ベトナムはすごく暮らしやすいと思います。物価が安いだけでなく、ベトナム料理やフルーツなど、日本人が美味しいと思うものがたくさんあります。それにベトナム人は優しくて親切な人が多くて何かあれば助けてくれます。暮らしやすさがあってこそ、仕事も充実させられると思っているので、ベトナムへの転職はオススメです!」とのこと。
インタビューを終えて
人柄そのものを表しているような優しい語り口調でお話されていたのが印象的なAさん。海外での失業経験、就職活動についてたくさん伺うことができました。経験者だからこその考え方や「こうしとけばよかった」ということが聞けたのは貴重なことだと思います。私にしかない「代わりがいない能力」を培っていきたいです。
取材担当:佐久間 仁美 (JAC Recruitment Vietnam インターンシップ生)
ライター情報
泊 和哉 - Tomari Kazuya - : JAC Recruitment Vietnam Co., Ltd.
大学卒業後、株式会社ジェイエイシー ジャパンに入社。日本(大阪)3年、シンガポール7年の勤務を経て2013年よりベトナムに。これまでに2000名を超える海外就職希望者との面談実績を持ち、日本人以外では主に製造業界におけるミドル~エグゼクティブ領域を担当し、幅広い国籍のご登録者への転職サポート経験あり。プライベートでは2児の父。シンガポールでの出産立会いと育児経験を持ち、現在も海外子育てをエンジョイ中。
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