ベトナム・ホーチミンで働く日本人~Buddy-K Vietnam 清川英紀さん~
更新日:2017年5月17日 (取材日:2017年5月10日) / ライター: JAC Recruitment Vietnam
2016年にBuddy-k Vietnamを立ち上げ、経営者としてご活躍中の清川英紀さん。
ベトナム滞在歴は11年、ベトナムで多くの人に助けられて過ごしてきた恩返しを、日本人だから自分だから出来る手助けをしたいと50歳という節目の年に起業されました。
駐在員としてベトナムに来てから起業するまでの経験や今の心境、志についてお伺いしました。
自分の経験を活かして経営者を笑顔にしたい
独立されるまではどのようなお仕事をされていたのですか?
以前は医療機器の製造・販売会社に勤めていました。日本では、生産管理など工場に関わる管理の仕事から、生産企画や海外工場の支援の業務に携わっていました。2005年にベトナム、ハノイでの工場立ち上げメンバーに選出され、2006年にベトナムに赴任することになりました。
ハノイでは日本での経験の有無には関係なく出来ることはなんでも全部取り組んできました。
だんだん組織が出来てきたところで日本に帰任し、その後2013年に再度ホーチミンへ赴任になりベトナムへ戻ってきました。
起業を決めた理由は何ですか?
長年ベトナムに滞在して、ベトナムの投資環境が変化しているのは感じていました。大企業の進出が終わり、中小企業の進出が増加していました。
大企業は企業としての体力が有ります。お金と経験と人、この3つがありバックアップの体制がしっかりしているので失敗する可能性は低いです。
ただ、中小企業や零細企業の場合は、人も少ない、海外展開の経験もあまり無い、資金も潤沢ではない、ですので大企業と比べると苦労が多いんですね。
進出支援コンサルや地方銀行の融資によって、海外進出と起業までは出来るんですけど、その後の運営に関しての悩みであったり苦労であったりと、日々悶々としている方々の話を聞いていました。
その中で、私は今まで10年ベトナムにいて、立ち上げから千人規模までの社員のマネジメントを経験してきたので、この経験を活かしてお手伝いをしたい、多くの人から受けた恩を返したい、ベトナムでの様々な恩を返すために自分で会社を起こしてベトナムに貢献したいという想いがどんどん膨らんでいきました。
2015年に前職の事業が一段落し、本社から帰任が告げられたその日の夕方、車の中から本社人事部に退職しますと電話を入れました。
50歳という節目を迎えようとしていて、体も頭も動き、それなりの経験もあり、やりたいビジョンも見えてきた。起業を決断したのは全てのタイミングが合ったからです。
2016年3月11日Buddy-K Vietnamスタート
会社の事業内容についてご説明していただけますか?
事業内容としては、中小企業や零細企業の経営&運営アドバイザーとして、ベトナムに進出した後の企業や責任者が事業運営や日常の問題で困っていることに対して、私自身が責任者と一緒になって考え、これまでの経験や人脈をフルに使って課題解決をする。具体的には、先方のお考えを伺った上で、課題の解決方法を提案し、顧問契約または案件ごとの個別契約の形態で、短期から中長期に亘って、よき相談相手でありたいと思っています。
会社のコンセプト、社名の由来について教えていただけますか?
会社のコンセプトは「一緒に考えます」です。
今までの私の経験を活かして、困ってる方々の相談に乗り、進出している日系企業の社長さんが元気に、笑顔になるのが最終目標です。
みなさんと一緒に考えて、一緒に運営していく、問題を解決していく、そういった意味を込めた社名にしたいということで「Buddy-K」と社名を決めました。Buddyは相棒、仲間という意味でKは私のイニシャルから取りました。
最終目標は、皆さんが元気になって、皆さんが活き活きと経営活動をされて、私の様なアドバイザーが要らなくなることだと考えています。。
アドバイザーという肩書にはこだわりがあるのですか?
マニュアルがあってそれを教える、この通りにやればうまくいく、仕事ってそうじゃないと思っています。
私が今まで経験してきたことは、当時の会社で当時の状況があって、当時のスタッフがいて出来たのであって、すべての会社で同じことは出来ませんし、同じ成功はありません。全ての場合に当てはまる必勝法は存在しないのです。依頼された会社の現場に行って責任者に会って話を聞いて、何をやりたいのか、どうなりたいのか、なら今やるべき事は何なのかを一緒に考える。何が起きてもどんなことがあっても一緒に考えることは出来ます。全てに対しての経験は無いからこそ、私も勉強して一緒に進んでいきたいと思っています。だからこそ、アドバイザーという言葉を選びました。
起業する地にホーチミンを選んだのはなぜですか?
直近でお世話になった人がホーチミンにいるというのと、進出形態が中小企業は南部が多かったからです。立ち上げたばかりの会社なので、もちろんネームバリューはありません。ですので私個人を信用してくださっている人と、助けてもらえる人が多くホーチミンに住んでいたからです。
日本人だから出来る恩返しをベトナムにしたい
ベトナム人と仕事をする上で大切なことはなんですか?
前職でもそうだったのですが、ベトナム人の多くは給料のために決まった仕事をするのは楽しくない、やりがいがないと感じています。自分が成長できる、経験が積める仕事を求めています。ベトナム人と一緒に仕事をしていく上では、そのような環境を提供できることが大切だと思っています。
ベトナムに来てからの大きな失敗や苦労話を教えていただきたいです。
大きな失敗は無いですね(笑)、正確には無いように努めてきました。他人が見れば失敗と思うかもしれないですし、もちろん失敗は沢山有るんですけど、その度に勉強です。全てが自分の経験にとって良いことばかりで、自分に蓄積されていくと考えています。
ベトナムとはどのような国だと感じますか?
非常に活気のある国で、与えたもの以上を返してくれる国だと思っています。政治的にも安定していて、中進国になり平均所得も上がってきてますが、所得の差が激しく、農村部と都市部では差がとてもあるので、まだまだ伸びる国だと思います。
今ベトナムは日本の高度成長期と似ていて、日本が歩んで来た道を進んでいるんですよね。
だからこそ日本人がベトナムの経済発展の為に地域貢献の為に、出来ることが沢山有ると感じていますし、そういう事を考えると楽しいですね。
今後どのような事をしていきたいですか?
日本人にもベトナム人にも、もっと多くの人に会いたいです。そして、自ら足を動かして、いろんなところに行って様々なものを、五感をフルに活用して感じていきたいです。
学べることは沢山有るので、多くのことを経験して貢献していければいいなと思います。
人生死ぬまで終わりはないので、心の底から楽しく、また年齢に関係なく勉強を続けていきたいですね。
海外に挑戦したいと思っている人にアドバイスをお願いします。
日本で考えたり人の話を聞いたりするよりも、まずは「来て、見る」ことです。その国の水を飲んで食べ物を食べて空気を吸って、自分で体感することが大切だと思います。それで住めると思ったら住み続けて、無理なら別の国に行って、行けばなんとかなりますし、自然と繋がりが出来ていきます。ですので、まずは行動してください。
インタビューの感想
お話の中で「一緒に」という言葉を何度も強調して仰っていた清川さん。アドバイザーという肩書であったり、社名のBuddyからも連想できるように、お客さんと同じ目線で仕事をしていくという、清川さんの深い信念が感じられました。
また、いつまでも勉強と経験を重ねていきたいという清川さんの向上心を、私も見習っていかなければと思いました。
お忙しい中、お時間を割いて頂いた清川さんに感謝申し上げます。
取材日:5月10日加藤真友(JAC Recruitment Vietnamインターンシップ生)