レッドインボイス(公式領収書)制度

レッドインボイス(公式領収書)制度

ベトナムの法人税概要

企業の海外進出にあたって必ず気になるのが法人税ですよね。ベトナムの法人税は中小企業(売上高200億ドン以下)では20%、それ以外は25%です。2014年には22%、2016年には20%となることが決まっており、シンガポールの17%には及ばないとしても東南アジア内で高くない水準にあります。ちなみに業種によっては優遇税制があり、さらに税率が低くなることもあります。

しかし、ベトナムで注意しなければならないのは損金算入要件。実はこの損金算入要件がかなり厳しいのです。ベトナムでは政府が承認した公式領収書がなければ基本的には損金算入ができません。また、2千万ドン以上の支払いは銀行の控えなどが必要となり現金支払いでは損金算入できません。

損金算入に必要なレッドインボイス(公式領収書)とは

レッドインボイスはその名の通り赤い領収書という意味です。ベトナム語では「Hóa đơn đỏ(ホアドンドー)」と言います。以前は公式領収書が赤かったことからこの名前で呼ばれています。(日本の青色申告等と同じですね。)現在は企業がある程度自由にデザイン可能であり赤くないものも増えています。

レッドインボイスの発行には支払側の税コードが必要になります。つまり、ベトナム国内法人が設立されていない限り公式領収書は手に入りません。また、相手もこの税コードを持っている法人であることが必要になります。市場や屋台、個人商店などはこの条件をクリアできないためレッドインボイスは発行してもらえません。

レッドインボイスを発行してもらう際は発行してほしい旨を伝えて、会社名と税コードを相手に伝えます。ベトナムでは名刺に税コードを印刷している会社が多いのですが、こういった時に渡すためです。ちなみに税コードはMST(Mã Số Thuế)と表記されていることもあります。

レッドインボイス発行の場合は請求額が高額になるケースもあります

「レッドインボイスが必要な場合は10%のVATがかかります」という記載を見ることがあります。正確にはレッドインボイス不要の際に安くなる、といったほうが正しいのかもしれません。ベトナムでは売上額をすべて申告していない会社もあります。脱税行為ではあるのですが、ローカル企業を中心によくやられている手法です。ただ、レッドインボイスを発行した際は売上として計上しなければなりません。その際に初めてVAT(付加価値税・日本の消費税に相当)の10%を加えるという企業もあります。普段からVAT10%を受領するのが正しいのですが、売上計上をしておらず納税もしていないためこのようなことになっています。

(余談)賄賂のレッドインボイスが存在する?

ベトナムは社会主義国のため、賄賂を求められるという自体も起こりえます。日系企業でも賄賂を支払っている企業はあります。そのような場合、当然ですが領収書は出ないために損金算入ができません。このようなときに、レッドインボイス発行業者というものがいるそうです。天下り先ではないかという噂もありますが、いくらか手数料を払うことにより賄賂額に相当するレッドインボイスを手に入れることができ、損金に組み込めるそうです。

 

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ベトナム生活・観光情報ナビ編集部

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