ホーチミン在住日本人看護師コラム⑥~風邪という病気は存在しない。臭いものに蓋をしない治療

ホーチミン在住日本人看護師コラム⑥~風邪という病気は存在しない。臭いものに蓋をしない治療

更新日:2016年7月22日 / ライター: Hoang Khang Medical Clinic看護師 輿石光希

ベトナムでも風邪が流行っていますね。クリニックで行っているセミナーでも、風邪をひいたのだけれどどの風邪薬を飲んだらいいですか?という質問があります。

そもそも、風邪という病気はないのです。「え?風邪って病気じゃないの?じゃ、風邪って何?風邪薬って効果あるの?」
そんな疑問にお応えします。

そもそも「風邪」って何なの?

風邪とは「ウィルス」による「上気道」の感染の事を言います。正式には「かぜ症候群」と呼ばれるもので、「上気道炎」のことをさします。すなわち、ウィルスや細菌が鼻、咽頭、喉頭といった気道の上のほうに感染する病気が風邪なのです。最近では下気道(気管、気管支、肺)にまで広がるものを総称することもあります(参照:日本呼吸器学会)。

風邪をひくと辛いですよね

風邪をひくと辛いですよね

実は、上気道炎や気管支炎の病原体は90%近くがウィルスだと言われています。したがって、典型的な「風邪」は「ウィルス性上気道炎」なのです。

ウィルスは厳密には生物ではないので、「抗生剤」が効きません。ここが細菌との大きな違いです。幸い、ウィルス性の感染症は重症化するものが少ないため(例外もたくさんありますが)安静にしているしかありません。

風邪薬は風邪を治す薬じゃない

「風邪を早く治すには、やっぱり薬を飲むのが一番!」と思う方も多いと思いますが、違うのですよ。「早めに風邪薬を飲めば良くなる」とか思っている方、そもそも風邪薬に「風邪を治す成分」なんてものは入っていないのです。え~っ!じゃ何が入っているの?

風邪薬の成分は主に咳止めや解熱剤、抗炎症剤なんかで「つらさを和らげる成分」です。風邪の原因となる微生物はひとつではなく、だいたい200種類以上、さらに次々に変異していくため、変異まで考えればとてつもない数になります。そのひとつひとつに合う薬を開発するのは非現実的ですよね。それが「風邪を治す薬」が開発されない理由なのです。

「もしかして風邪薬は、体による風邪との戦いを邪魔してない?」

そのとおり。熱を下げたり、くしゃみや鼻水を止めたりしてしまうと、体の風邪との戦いを邪魔することになり、風邪が長引くことも少なくないのです。

セキがひどすぎて眠れない、高めの熱が続いて食欲が落ちて栄養をとれないといった症状が強い場合には、風邪薬を用いるのは良いかもしれません。

そもそも、なぜ風邪をひくの?

頭を使い過ぎて頭が疲れても風邪を引く。 消化器に余分な負担をかけた後でも風邪を引く。 腎臓の働きを余分にした後でも風邪を引く。 とにかく体のどこかに無理をした時に風邪を引くようです。

風邪はからだのシグナル

風邪はからだのシグナル

風邪をひくことは悪いことではなく、 生活の乱れでからだに無理が出てきたため、その無理な状態を改善するためのシグナルなのです。そのシグナルをキャッチし、 風邪をひくような生活を改めていく事が病気の予防につながっていきます。風邪をひくことは、自分自身のからだによる「今ここで治そう!」という要求だからだからです。自分のからだと対話しながら治していってほしいです。

お医者さんや風邪薬が、風邪や熱を治すわけではありません。何度も言いますが、風邪そのものを治す薬は、実はいまだに存在していません。

風邪への対処法

風邪による発熱は、熱が出る段階に応じてそれぞれの対処法があります。

熱の出始め

まずは、熱の出始めです。

「ん?熱があるかな?」と感じるとすぐに体を冷やして熱を下げないといけない思われがちですが、ここでの焦りは禁物です!熱の出始めのからだは、侵入してきたウイルスや細菌と戦う反応として、筋肉を使って熱を産出します。

熱の出始めの対処法は、体を温めて、ゆっくりと休む事!

えっ?これだけ?

これだけです!体を温めることがとっても重要なのです。熱の出始めには、寒気を感じてからだが震えたりします。この、「体が震える」ということとは、からだが熱を出そうと筋肉を震わせているのです。温かい服装で、毛布や布団でゆっくり安静することが重要なのです。

ただ、寝られる状況ではない場合は、「首」とつくところ(首・手首・足首の3か所)を温めることです。首はスカーフ、足首はレッグウォーマーを使ってみてください。夏の冷房対策にも使えるので、風邪の予防としても行ってください。

熱が上がってきている時

熱が上がってきているとき、からだのなかでいったい何が起こっているのかというと、からだの免疫機能がウイルスや細菌と必死に戦っている真っ只中なのです!

つまり、ウイルスや細菌を排除するために体温を上昇させているので、無理に熱を下げてはいけません!この時、からだはかなりの体力を使っています。体力の消耗を防ぐためにも布団に横になって、しっかり休息をとることが大事です。

からだの免疫機能がフル回転している状態なので、免疫細胞を強化するビタミンCを摂取するのもgoodです。水分はマメに取りましょう。

熱のピーク以降

どんどん熱が上昇し、発熱がピークを超えると今度は体が熱さを感じ汗が出てきます。
ここでのポイントは3つ。

  1. 汗で体を冷やさないようにすること
  2. 水分補給をしっかりすること
  3. 食事は無理にとらないこと

自分でかいた汗が冷たくなり、体を冷やしてしまわないよう、こまめに着替えるようにしましょう。汗をかくことで水分が失われているので、脱水症状にならないよう、しっかりと水分補給を行います。このとき、水やお茶よりもスポーツドリンクがおススメです。スポーツドリンクは電解質を含んでいて、水分の補給だけでなく筋肉の疲労回復にも効果的です。

熱のピークを越えてからは、火照る体を冷やすことも有効です。

風邪のピークを過ぎたら

風邪のピークを過ぎたら

冷えピタはひんやりして気持ち良いですが、からだを冷やす効果はありません。効果的にからだを冷やすのは、首、わきの下、太ももの付け根が良いです。

食事は、胃に負担がかかるので、食欲がなければ無理に食べず、食欲が出てきた時には、おかゆや雑炊、うどんなど消化によいものを少しずつ食べていきましょう。からだに負担がかからないことが一番大切です。

風邪による発熱で、熱が上がってくると体が辛くて、すぐに解熱剤を使うという人もいますが、解熱剤を使うとウイルスや細菌から体を守る力が弱くなっていってしまいますので、できるだけ自分自身の体の免疫機能を使い自然に熱を下げることをお勧めします。

ただし、38.5℃以上は、脳細胞へのダメージが考えられるのでその時は、解熱剤をしようして一時的でも熱を下げることも必要になります。

風邪を引いたかな?と思ったら、からだを温め、水分をこまめにとって、ゆっくり休む!これが一番!風邪を最短で治す方法は、「免疫をあげること」。そもそも、風邪を引かないからだづくりが必要ですね。

筆者が勤務するホアンカン医療センターでは医療相談を行っております。無料医療相談から予防接種、血液ガン診断など、日本人看護師が対応いたします。いつでもお気軽にお問い合わせください。

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ライター情報

Hoang Khang Medical Clinic看護師 輿石光希

Hoang Khang Medical Clinic看護師 輿石光希

1965年生まれ山梨県出身。幼少のころに全身やけどを負い入院。3度の形成手術を行い入院経験から看護師を目指す。日本大学医学部付属看護専門学校卒業後、大学病院、市立病院、法人病院勤務。その後、ジョインハンズコン株式会社を立ち上げ、コンサルタントとして独立。2015年からベトナムホーチミンのHoang Khang Medical Cliniにて日本人窓口の立ち上げと運営、看護師教育、看護大学での講師を行っている。

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