ユネスコ無形文化遺産に登録されたベトナム南部の伝統民謡ドンカータイトゥ(Đờn Ca Tài Tử)

更新日:2014年2月24日 (取材日:2014年2月11日) / ライター： aki

文化

2014年2月、ユネスコ無形文化遺産にベトナム南部の伝統文化であるドンカータイトゥ(Đờn Ca Tài Tử/琴歌才子)が登録されました。ユネスコ無形文化遺産とは民族文化や口承伝統など無形な文化財の保護と継承を目的としたもので、つい先日にも「日本の和食文化」が登録されて少々話題になったかと思います。このベトナム南部の伝統文化ドンカータイトゥとはどんなものなのでしょうか。

ドンカータイトゥ

1 ユネスコ無形文化遺産に登録されたドンカータイトゥ
- 1.1 ベトナム南部の伝統民謡ドンカータイトゥ(Đờn Ca Tài Tử/琴歌才子)とは
- 1.2 無形文化遺産登録記念イベント
2 ユネスコ無形文化遺産とは？
3 ベトナムのユネスコ無形文化遺産一覧

ユネスコ無形文化遺産に登録されたドンカータイトゥ

ベトナム南部の伝統民謡ドンカータイトゥ(Đờn Ca Tài Tử/琴歌才子)とは

ドンカータイトゥはベトナム南部のメコンデルタ地方に伝わる伝統民謡。口頭伝承で伝わるこの民謡は命日やお祝い事等様々なイベントで用いられています。こちらの動画はユネスコがアップロードしたものです。

元々ベトナム文化情報省の音楽学研究所が作成したもののようで、解説も全てベトナム語ですが雰囲気は伝わってくるのではないかと思います。

元々はフエの宮廷雅楽から派生したもので、19世紀の終わり頃にベトナム南部で広まり、南部を代表する民間芸能になりました。特徴的なのはったそうです。ドンカータイトゥは漢字では琴歌才子と表記しますが、琴に合わせて歌う才子(楽器も歌もできるという意味で使われる)という意味だそうです。一般の市民が集って、地面で座って農作業の後などに演奏する事が多く、プロの音楽家によるパフォーマンスというよりは一般の農民の娯楽として演奏されることが多かったこのドンカータイトゥですが、今では2000を超えるグループがこのドンカータイトゥを練習し、演奏しているそうです。

ドンカータイトゥに使われるのは様々な形をした弦楽器。上の動画を見ていると様々な楽器が出てくるかと思います。日本の伝統楽器と似ているものがあるのも興味深いですね。

無形文化遺産登録記念イベント

2月中旬にはホーチミンの統一会堂で登録記念のイベントが行われていました。

ユネスコ無形文化遺産登録記念イベント

このイベントに参加できるのは招待客だけとのことで、統一会堂の外から見るしかないのですが、それでも多くのベトナム人がバイクを停めてイベントを見ていました。イベントの内容は大型スクリーンで中継されていましたが、大学教授や関連省庁の方の挨拶や、ドンカータイトゥのパフォーマンスが行われていたようです。看板には英語も多く書かれていたので、ユネスコの方も招待されていたのでしょうか。このイベントにはベトナムのズン首相、ニャン副首相の姿もあり、ベトナムの国営テレビ局・VTVでも生中継されていました。

ちなみに、この統一会堂でもベトナムの伝統音楽の演奏を楽しむことができるので、是非行ってみるとよいでしょう。

ユネスコ無形文化遺産とは？

ユネスコ無形文化遺産と言ってもなかなかピンと来ない人も多いかと思います。英語では「Intangible Cultural Heritage」といい、条約では以下のように定義されています。

「無形文化遺産とは、慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう」

この無形文化遺産、2009年から登録が始まった新しいものです。それ以前は「傑作宣言」として、2001年より公表しておりましたが、2009年に無形文化遺産として統合されました。ちなみに、日本からは、能楽、歌舞伎、和食・伝統的な食文化など22項目が登録されております。日本の無形文化遺産一覧(ユネスコウェブサイト・英語)はこちら。